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ワンボックスカーのメリットは?ミニバンやSUVとの違いや人気車種

ワンボックスカーとは?

ハイエース バン スーパーGL(2022年)外観
ワンボックスカーの代表車種「トヨタ ハイエース」

「ワンボックスカー(1BOXカー)」とはボディ全体が1つの箱型になっている車のことです。ワンボックスカーはフロントシート下にエンジンを置く「キャブオーバータイプ」の車であり、ほかの車種に見られるボンネットを持ちません。

また、ワンボックスカーは商用貨物車をベースに発展した車種であり、広い車内スペースを持つことが最大の特徴です。特にフロントシートより後ろの空間が広く、他車種とくらべて積載性に優れます。

近年のメディアはミニバンとワンボックスカーを同一ジャンルとして扱う傾向にありますが、正確には両者は異なる車種です(両車種の違いは後述)。

車のタイプを分ける「ボックス」とは?

ワンボックスカーのイメージ

ワンボックスカーの名称にある「ボックス」とは、エンジンルーム、居住空間、荷室が収まるスペースを指す車用語です。ボックスは建物でいう部屋であり、ワンボックスカーでは1室(ワンボックス)に上記の3セクションすべてが収まっています。

こうしたボックスでのジャンル分けは、ワンボックスカー特有のものではありません。ワンボックスカー以外の乗用車は、ツーボックスカーまたはスリーボックスカーなどに分類されます。

ツーボックスカーとは?

ツーボックスカーのイメージ

居住空間と荷室が一体になったスペースと、エンジンルームの2室で車体が構成される車をツーボックスカーと呼びます。ステーションワゴンハッチバック車、SUVなどがツーボックスカーに該当します。

ツーボックスは積載性と走行安定性を両立できるボディ構成です。リアシートの収納により荷室を拡大でき、かつエンジンがボンネット内にあるため車高を低く設計することができます。汎用性が高く、商用車からスポーティーな車まで、さまざまなモデルの基本構成となっています。

スリーボックスカーとは?

スリーボックスカーのイメージ

スリーボックスカーとは、エンジンルーム、居住空間、荷室がそれぞれ独立したスペースに収まっている車です。セダンクーペがスリーボックスカーに該当します。

スリーボックスカーは車体剛性が高く、車内の遮音性にも優れます。また、居住空間と荷室が分かれているため、トランクを開け閉めしても外気が室内に入りません。これらの点から、スリーボックスカーは走行性能と快適性を高めやすいボディ構成だといえます。

ワンボックスカーとミニバンとの違いは?

ミニバンの代表車種「トヨタ アルファード」

前述したように、ワンボックスカーとミニバンは異なる車種です。形状は似ているものの、車体構成や主用途、車種としての成り立ちなどが異なっています。

ミニバンとは?

ミニバンのイメージ

ミニバンとは、1990年代に確立したカージャンルで、箱型ボディの先端に短いボンネットが備わる3列シート車を指します。エンジンがボンネット内に収まっているため、ボックスでの分類はツーボックスカーに該当します(ボンネットの短さから1.5ボックスカーとも呼ばれます)。

ミニバンは乗用車向けに開発されたカージャンルであり、元祖とされる三菱 シャリオや日産 プレーリーはステーションワゴンに近い形状をしていました。また、ミニバンブームの火付け役となったトヨタ エスティマでは、乗用車の設計とワンボックスカーゆずりのパッケージングを融合させています。

こうした成り立ちからわかるように、ミニバンの主用途は乗用です。現行車においても、商用ベースのワンボックスカーと乗用ベースのミニバンでは、さまざまな点が異なっています。

ワンボックスカーとミニバンの主な違い

エンジン位置と駆動方式

前述したように、ワンボックスカーのエンジンはフロントシート下に収まっています。エンジンは動力を車両後部に伝えやすい縦置きで、基本的な駆動方式はFR(後輪駆動)です。

これに対して、ミニバンのエンジンはボンネット内に横置きされており、基本的な駆動方式は乗用車の主流であるFF(前輪駆動)です。なお、4WD車がラインナップされている点は、ワンボックスカーとミニバンで変わりません。

運転席の位置と運転感覚

ワンボックスカーでは運転席がフロントタイヤの上に位置するため、ミニバンとくらべてドライバーの視点が高くなります。また、ボンネットを持つミニバンとくらべて、ワンボックスカーの運転席位置は車体のフロント寄りです。

このように運転席の位置が違うため、ワンボックスカーとミニバンの運転感覚はやや異なります。ほかの乗用車種とさほど変わらない感覚で乗れるミニバンに対して、ワンボックスカーの運転感覚はトラックに近く、特に路地や交差点での曲がり方には慣れを要します。

ワンボックスカーのメリット

©bignai/stock.adobe.com

ワンボックスカーには、ミニバンやSUVにはないメリットがあります。以下にあげるメリットに魅力を感じて、ワンボックスカーを選ぶ方も少なくありません。

積載性が高い

ミニバンやSUVとくらべて、ワンボックスカーは積載性に優れます。フロントシートが車両の前寄りに位置するため、2列目のシートから後ろの空間が広く、大量の荷物を積むことができます。ミニバンやSUVも高い積載性を有しますが、商用車ベースのワンボックスカーには敵いません。

大人数で乗れる

ワンボックスカーの乗用モデルには4列シート車が多く、ロングボディのワゴンで10人乗りとなっています。これに対して、ミニバンの乗車定員は最大8名、SUVは最大7名です。スポーツチームで移動するようなシーンでは、ワンボックスカーの乗用モデルが役立つでしょう。

運転がしやすい

ワンボックスカーは車両感覚がつかみやすく、運転しやすいカージャンルです。ミニバンやSUVより運転席の位置が高いうえに、ボンネットを持たないため視界がよく、大柄な車種ながら楽に運転することができます。

ホビーユースに適する

ワンボックスカーにはユーティリティナットを備えるモデルが多く、バーやフックなどを取り付けて、ホビーユース仕様に荷室をアレンジできます。また、荷室の広さを活かして、ミニバンやSUVには置けないサイズのベッドシステムを設置することも可能です。

ワンボックスカーのデメリット

©dimedrol68/stock.adobe.com

快適性が低い

ミニバンやSUVとくらべると、ワンボックスカーは車内の快適性に劣ります。ワンボックスカーはフロントシート下にエンジンを置くため、車内に侵入するノイズや振動が他車種より大きくなります。また、運転席の位置が高いため、急カーブではドライバーの上体が横に強く振られます。

車内装備が簡素

商用車をベースとするワンボックスカーは、ミニバンやSUVとくらべて車内装備が簡素です。インテリアは実用性重視のテイストとなっており、高級感や上質感に欠けます。また、ワンボックスカーの多くは、ミニバンのような多彩なシートアレンジができません。後席をスライドできないモデルもあるため、使い方によっては不便が生じます。

後輪が空転しやすい

ワンボックスカーはボディの長さから車体後部が軽く、かつFRレイアウトのため、走行シーンによっては容易に後輪が空転します。上り坂での急カーブや雪道では特に注意が必要です。これに対して、FF車であるミニバンやSUVは、前輪で車体を引っ張る仕組みのため、同様のシーンでも比較的安全に走行できます。

執筆者プロフィール
加藤 貴之
加藤 貴之
1977年生まれのフリーライター。10年以上務めた運送業からライターに転向。以後8年以上にわたり、自動車関連記事やIT記事などの執筆を手がける。20代でスポーツカーに夢中になり、近年は最新のハイブリッド車に興...

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