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マツダのロータリーエンジンとは?仕組みやメリット、燃費などを解説

ロータリーエンジンの概要

マツダミュージアムに展示されているロータリーエンジン

ロータリーエンジンとは、市場の多くを占めるレシプロエンジン(レシプロエンジンはピストンの往復運動を、クランクシャフトで回転運動に変換し、そのエネルギーで走行するエンジン)と違い、ローター回転運動をエキセントリックシャフトに伝え、そのエネルギーで走行するエンジンです。

その起源はドイツのNSU社という自動車会社にあります。

ドイツの自動車メーカー・NSUが1964年に発表した世界初のロータリーエンジン搭載車「ヴァンケル スパイダー」
©brudertack69/stock.adobe.com

ロータリーエンジン自体の開発は、マツダがロータリーエンジン開発に着手する何十年も前から欧州で進められており、フランスのシトロエン社やロシアのアフトヴァース社もロータリーエンジン搭載車を発表していました。

しかしいずれも開発がうまくいかず、量産には至りませんでした。

1960年代初頭、東洋工業(現:マツダ)の松田恒次社長が「会社が生き残るためには独自の技術が必要だ」とし、数多あるロータリーエンジンの方式の中から、「バンケル・ロータリーエンジン」を選択し、開発に着手しました。

マツダ コスモスポーツ
マツダが開発した最初のロータリーエンジン搭載車「コスモ スポーツ」

東洋工業は、部品を精巧に削りだす優れた技術力と情熱をもって、世界中どの自動車メーカーも成し得なかったロータリーエンジンの量産車を世に送り出すことに成功しました。

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ロータリーエンジンの仕組みは?

ロータリーエンジン
Softeis CC 表示 – 継承 3.0 / CC BY-SA 3.0
出典 : https://ja.wikipedia.org/

エキセントリックシャフトと呼ばれる部品をコアに三角形の形をしたローターを組み合わせて出来ています。

一般的なレシプロエンジンでは、エキセントリックシャフトがクランクシャフトと同じ役割を果たし、ローターがピストンに該当します。レシプロエンジンでは、ピストンとクランクシャフトをコンロッドで連結し、エネルギーを伝えています。

ロータリーでは、エキセントリックシャフトにローターが直接ついているため、コンロッドのようにエネルギーを仲介する部品がありません。

レシプロエンジンが吸気→圧縮→膨張→排気のサイクルを順々にこなしていくのに対して、ロータリーエンジンはローターによって区切られた3つの空間で一連のサイクルを同時並行で効率よく一気にこなしていきます。つまり、理論上はロータリーエンジンが1回転で得られる爆発によるエネルギーは同排気量のレシプロエンジンの3倍あるということになるのです。

これがロータリーエンジンがレシプロエンジンに比べ圧倒的に排気量が少なく、燃焼効率がいいと言われる所以です。

”悪魔の爪痕”問題

ロータリーエンジンがその革新的な効率性と構造のスマートさから、開発車たちの注目を一気に集めたのもつかの間、ある大きな壁に直面します。

ローターによって区切られた3つの空間を密閉するアペックスシールという部分が、回転するたびに異常に磨耗してすぐに使い物にならなくなってしまったのです。

チャターマーク(悪魔の爪痕)

悪魔の爪痕とは、ロータリーハウジング(レシプロエンジンではシリンダーブロック)に、爪でひっかいたような傷ができてしまう状態で、簡単にいうとエンジンブロー(エンジンが破損状態)であるということです。

微妙な寸法の差でこの現象が発生し、ローターとアペックスシールの取り付け、ロータリーハウジングの製造、加工には1/1000mm単位の加工精度が求められます。

この問題は、日本カーボン株式会社による高強度カーボン材のパラグラファイトによって、解決に至っています。

ロータリーエンジンの構造は?

ハウジング

160SX CC 表示 – 継承 3.0 / CC BY-SA 3.0
出典 : https://ja.wikipedia.org/

レシプロエンジンでいうところのシリンダーブロックと同じ役割をしています。回転する三角形のローターをつつむ外壁です。

三角形のローターが回るため、だるま型に削られた形状は独特で、悪魔の爪痕の被害が最も及んだ部分でもあります。

エキセントリックシャフト

レシプロエンジンでいうクランクシャフトと同じ役割をしています。ローターの回転運動を制御しつつ、その運動力を駆動輪まで伝達するロータリーエンジンにとってコアになる存在です。

ローター

出典 : https://ja.wikipedia.org/ Milkmandan~commonswiki GFDL(GNU FDL) 1.2

ロータリーエンジンの最も象徴的な部品です。燃焼し回転することでエネルギーを生み出す源となっているのが、このローターです。

レシプロエンジンではピストンに該当する部品で、RX-3のエンブレムのモチーフになったり、RX-8の純正シートにもロータリーの形状がデザインされるなど、象徴的です。

アペックスシール

天然ガス CC 表示 – 継承 3.0 / CC BY-SA 3.0
出典 : https://ja.wikipedia.org/

ローターの頂点に取り付けるカバーのようなもので、内壁に沿って動きます。このアペックスシールはローターとハウジングの隙間を無くし、圧縮した空気の漏れを防ぐという役割もあります。

レシプロエンジンでいうところのピストンリングで、役割は似ていますが、上下運動しかしないピストンと違って動きが複雑で、動く距離も長いため、製造する側に要求される加工、取り付けの技術が極めて高い部品でもあります。

ロータリーエンジンのエンジン音

ロータリーエンジンの魅力の一つと言われのがこの独特の高音、通称ロータリーサウンドです。

エンジン音自体が比較的静かなので、高速回転するタービンの「ヒュイーン」という独特の高音が際立って聞こえるのが特徴。レシプロエンジンでは出ない独特なエンジンサウンドを奏でてくれます。

速度が上がれば上がるほどこの高温は静かになるというから、実際に乗ってみたいものです。

速すぎ…ロータリーエンジン搭載のラジコンカーが目で追えない

エンジン音まとめで聴き比べ!

普段は大して差を感じないエンジン音ですが、聴き比べてみると思ったよりも大きな違いがあるものです。

こちらの記事では、スポーツカーからハイパーカーまでさまざまな車のエンジン音をまとめています。ぜひ、ご覧になって聴き比べてみてください。

エンジン音がかっこいい車11選|GT-R,WRX STI,RX-8のロータリーサウンドなど!

ロータリーエンジンのメリットとデメリットは?

メリット

  • 排気量の割に高出力
  • レシプロエンジンと比較して部品の数が少なく、コンパクトかつ軽量
  • コンパクトなので、エンジンのレイアウト自由度が高い
  • レシプロエンジンより軽量で、フロントが重くなりにくい
  • アクセルレスポンスの良さ
  • エンジンに振動が少なく、搭乗者がエンジンの振動を感じにくい

デメリット

  • 排気量の割に燃費が伸びない(RX-8で実数値8km/Lほど)
  • 排ガスに多くの有害物質が含まれる
  • レシプロエンジンに比較して低速トルクが少ない
  • レシプロエンジンよりトルクが細いため、エンジンブレーキが効きにくい

根本的な構造上の特徴から大きな利点もある一方、燃焼室が回転しながら位置を変えるため点火プラグと混合気の距離が離れ、ガソリンの点火が上手くいかなくなるため、燃費が悪くなります。

デメリットはあるものの、実際に運転した人にしかわからない独特の気持ちよさが車好きたちを虜にしているようです。

人気漫画「頭文字D」のキャラクター、高橋涼介は作中で「軽量コンパクトなロータリーエンジンがもたらす最大の恩恵はパワーなんかじゃなく、理想的な前後重量配分によって実現する運動性能」というコメントを残していますが、スポーツカーやレーシングカーでは50:50の前後車軸重量という、バランスを重視しています。

これを実現するために、前後車軸の間にエンジンを搭載するミッドシップレイアウトや、ポルシェなどに採用されるエンジンとミッションを前後に切り離すトランスアスクルなどのレイアウトがあります。

頭文字Dでのコメントは、バルクヘッドギリギリにマウントされるロータリーエンジンが、フロント車軸より後方に本体が位置し、フロントミッドシップともいえるレイアウトで、前後重量バランスを50:50に近づけるために、軽量コンパクトの利点を活かして作られていることを表現した発言といえます。

ロータリーエンジンが生産中止となった理由は?

デメリットの項目にもありますが、一番の理由は「排出ガス問題」にあります。

これは、京都議定書をはじめとする環境対策により、自動車の排気ガス規定が年々厳しくなっていることが背景にあります。ロータリーエンジンに関わらず、90年代~00年代で名機と呼ばれた、JZ系や3S、RB系やSR、EJ20、4G63などのエンジンもその壁に阻まれ、生産することができなくなったといわれています。

そして、新たな問題としてCAFE(企業平均燃費:Corporate Average Fuel Efficiency)という規制があり、「燃費の問題」も重くのしかかってきています。

CAFEでは、販売した車の燃費を平均した値が基準をクリアしなければ、メーカーにペナルティーがかかるという内容ですので、EVやハイブリッドなどで基準値を大きき上回る燃費を誇る車種を販売し、その平均値を下げるリスクを負いながらも生産できるのであれば、こういったスポーツエンジンは復活できるといえます。

マツダがロータリーを復活させるためにはMX-30のような車種でEVやハイブリッドカー市場でのシェアを占め、企業平均燃費を上げていくというのが、ロータリーを再び製造するために残された道になっているのではないでしょうか。

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この記事の執筆者
MOBY第3編集部

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