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三菱のGDIエンジンはなぜ消えた?致命的な欠陥から中古車のメンテナンスまで
GDIエンジンとは?
GDIエンジンとは「Gasoline Direct injection engine(ガソリン直噴エンジン)」の略語ですが、この記事では三菱が1996年から2007年に採用していた直噴エンジンを取り上げます。
ガソリン直噴エンジンは、燃料であるガソリンをシリンダー内に高圧で直接噴射するしくみ。ノッキングを起こしにくい、燃費を悪化させずに出力向上させやすいなどの強みがあります。
三菱は1996年に独自の直噴エンジンであるGDIエンジン採用車を販売。ギャランとレグナムから始まり、次第に三菱自動車のラインナップの多くに搭載されるようになります。低燃費で高出力、サイズもコンパクトで地球環境にやさしい車として売り出されました。
GDIエンジンを搭載したモデルは、1998年にはオーストリアのカー・オブ・ザ・イヤー環境保護賞を受賞。デンマークでもカー・オブ・ザ・イヤー特別賞を受賞するなど、世界各国でその性能が高く評価されました。
1999年には、三菱GDIエンジンはヒュンダイ・ボルボ・プジョーなどの、各国を代表するメーカーに技術供与を行っています。
直噴エンジンについてはこちら
GDIエンジンを搭載したモデル
ギャラン
1969年から販売されているギャランですが、1996年発売の8代目モデルにGDIエンジンが搭載されています。1996年~1997年のカー・オブ・ザ・イヤーを受賞しました。
全長 | 全幅 | 全高 |
---|---|---|
4,620 | 1,740 | 1,420 |
ホイールベース | 車両重量 | 乗車定員 |
2,635 | 1,240 | 5 |
[単位]全長・全幅・全高・ホイールベース:mm 車両重量:kg 乗車定員:人 |
エンジン種類 | 直列4気筒DOHC筒内直接噴射 |
---|---|
排気量 | 1.8L |
最高出力 | 110[150]/6,500 |
最大トルク | 178.5[18.2]/5,000 |
トランスミッション | 4AT/5MT |
駆動方式 | FF/4WD |
使用燃料 | ハイオク |
[単位]最高出力:kW[PS]/rpm 最大トルク:N・m[kgf・m]/rpm |
- 最新「ギャラン」中古車情報
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本日の在庫数 18台 平均価格 179万円 支払総額 70~400万円
レグナム
1990年代のステーションワゴンブームに、うまく乗る形で登場したのが、ギャランのワゴン版とも言えるレグナムです。レグナムはGDIを搭載した1世代のみの販売となっています。
全長 | 全幅 | 全高 |
---|---|---|
4,670 | 1,740 | 1,500 |
ホイールベース | 車両重量 | 乗車定員 |
2,635 | 1,310 | 5 |
[単位]全長・全幅・全高・ホイールベース:mm 車両重量:kg 乗車定員:人 |
エンジン種類 | 直列4気筒DOHC筒内直接噴射 |
---|---|
排気量 | 1.8L |
最高出力 | 110[150]/6,500 |
最大トルク | 178.5[18.2]/5,000 |
トランスミッション | 4AT/5MT |
駆動方式 | FF/4WD |
使用燃料 | ハイオク |
[単位]最高出力:kW[PS]/rpm 最大トルク:N・m[kgf・m]/rpm |
- 最新「レグナム」中古車情報
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本日の在庫数 5台 平均価格 158万円 支払総額 136~173万円
GDIエンジンに生じた欠陥とは?
有害物質の排出と技術不足
「燃料消費-35%、パワー+10%、CO2排出-35%」というのが、GDIエンジンの当初のキャッチフレーズ。つまり、高出力と低燃費を両立できて環境にやさしく、2010年までの安全基準を満たしたエンジンと謳っていたのですが、現実は想定通りにはいきませんでした。
カタログに載っている10-15モードでの燃費はよかったのですが、実燃費は以前とあまり変わらず、低燃費化に成功しているとは言いがたかったようです。
また、GDIエンジンは、エンジン内のカーボンの付着が、他の車よりも激しいという面もありました。その結果エンストやエンジンルームからの異音、マフラーからの黒煙などの症状が頻発。エンジンオイルの早期交換や、エンジン内のカーボン除去を必要とするなどの事象が多く見られるようになりました。
そのうえ、車から排出される窒素酸化物や粒子状物質を抑制するためのNOx法に対応できなかったことは、「環境にやさしい」と謳っていたGDIエンジンには、大きな痛手となりました。
リコール隠し問題も影響?
さらに、2000年・2004年の、三菱自動車の相次ぐリコール隠しという不祥事も、GDIエンジンに追い討ちとなります。
当時の三菱自動車のCMで、さかんに流されていた「GDI倶楽部」。「環境にやさしいエンジンの車に乗っています」というイメージアップのものでした。
ところが後に、本来リコールしなければならいような不具合が見つかった車両を修理する際に、「GDI倶楽部」のステッカーを貼って、未修理の車両との判別を計っていたことが判明。国にリコールの事案があるということを届けることなく、組織ぐるみでひっそりとリコール処理をしていたことがわかりました。
つまりGDI倶楽部とは環境にやさしい車という意味ではなく、リコール隠蔽のための道具に過ぎなかったということになります。
その他にも燃費の不正なども見つかり、三菱自動車本体の信用は一時ガタ落ちになり、2007年にはGDIの製造販売は終了してしまいました。
その他にも燃費の不正なども見つかり、三菱自動車本体の信用は一時ガタ落ちになり、2007年にはGDIの製造販売は終了してしまいました。
- 執筆者プロフィール
- MOBY編集部
- 新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...