更新
オイル漏れの原因は?放置するとどうなる?修理方法と費用、予防方法も
エンジンオイルは自然に減っていくものですが、減りが早い場合はオイル漏れの可能性があります。エンジンオイルの減りが早いときの対策や、エンジンオイル漏れの対処法と原因別の修理方法を解説します。
オイル漏れの確認方法
どんな液体が漏れていると「オイル漏れ」?
車の下に液体が垂れている場合、触った感触がベタベタしていればオイルと判断できます。冷却水などの水であればサラサラしています。
また、オイルなのか液体なのかは、蒸発しているかどうかでも見分けられます。オイル以外の液体が漏れている場合、エンジンの熱によってすぐに乾きます。
しかし、オイルはなかなか乾燥しません。そのため、いつまでも湿っている状態が続いている場合、オイルであると考えられます。
冷却水の場合、甘いような独特のにおいがします。そして、乾くと着色が残るのですぐにわかるでしょう。
ただし、何のオイルなのかを見分けるのは難しい
しかし車の下に流れているオイルが、本当にエンジンオイルなのかどうかを見極めるのは素人では難しいでしょう。
車にはエンジンオイルの他に、トランスミッションオイル、トランスファーオイル、パワステオイルなども使われています。オイル漏れがひどい場合、ひと目では何のオイルなのか分からない場合もあります。そのようなときには、オイル漏れの場所を突き止めることで、何のオイルが漏れているのかを判断します。
例えばトランスミッション付近から漏れていればトランスミッションオイル、トランスファー付近からであればトランスファーオイルであると分かるのです。
しかし、この方法は車の構造や基礎的な知識がなければ判断できません。原因特定が難しいという件は、後述します。
原因特定には地面に垂れたオイルの道筋をたどろう
オイル漏れの確認方法は目視によって行います。そもそもオイルが漏れている状態とは、大きく2つに分かれます。
- 穴があきオイルが漏れている
- にじみが進行し漏れに変わった
ここでは後者の「にじみが進行し漏れに変わった」ことに関してお話しします。
オイル漏れの原因はガスケットの劣化がほとんどです。漏れたオイルは重力により下へ下へと流れますので、オイルが漏れているかどうかの確認は車の下から行います。
液体が漏れている場合、箇所から流れている道筋をたどり、オイル漏れの原因を見つけましょう。
オイルが漏れやすい箇所は以下の通り。
- タペットカバーのガスケット(カムシャフトの上にあるフタ)
- オイルパン(オイルを溜めておくケース)
- フロントカバー(タイミングチェーンのカバー)
もちろん、上記に挙げた場所以外で漏れが発生することもあります。しかし、どんな場所でオイル漏れが発生しようと、下に流れていくことに変わりありません。そのため、下からの確認が最も分かりやすく、発生場所を探りやす方法となります。
素人がオイル漏れの箇所を特定するのは難しい
注意すべきことは、オイルが付着しているパーツがオイル漏れの箇所だとは限らないということです。
先ほどもいいましたが、オイルは重力によって下へ下へと流れます。そのため、例えばタペットカバーでオイル漏れが発生していた場合でも、時間が経てばオイルパンまで落ちます。見たままで判断してしまうと、オイルパンからの漏れだといった誤診につながるのです。
何も知らなければそもそもどこからオイル漏れが発生しやすいのかもわからないでしょう。車種によってオイルの漏れやすい場所などもあるので、オイル漏れはプロに任せることをオススメします。
もし自分で確認する場合、どのくらい漏れているのかを見る程度にしておきましょう。
オイル漏れの応急処置方法
エンジンオイルが漏れている場合、とにかく最初にしなければならないのが減った分のオイルを足すことです。
しかし、これで漏れが止まったとしても、悪化して再び漏れるようになる可能性はありますし、ひどい場合には効果はありません。以下の方法により、自分で応急処置的に対処できる場合もあります。
また、あまりにもオイル漏れがひどい場合には効果はありません。しかし以下の方法により、自分で応急処置的に対処できる場合もあります。
1.エンジンオイル漏れ止め剤を使う
オイルの漏れ止め剤というものがあります。これをエンジンオイルに混ぜて入れておくと、劣化していたゴム類を回復させ、オイルの漏れを止めるという仕組みです。
漏れ止め剤により、シール類をふやかし膨張させ、密封性を確保します。つまり、密封性を高く保つことで、オイル漏れを防止するのです。
そのため、シールが割れてしまったり破損している場合にはあまり効果がありません。
安いものだと千円台から買うことができます。また、オイルと混ぜて使いますので、同時にオイル交換をした方が良いでしょう。漏れ止め剤とオイル交換合わせても数千円で対応することができます。
ただし、即効性のあるものはほとんどなく、効果が出るまでにはある程度の走行や時間が必要です。
2.エンジンオイル添加剤を使う
オイル添加剤は、シリンダー内に被膜を作り、シリンダーの損傷を防ぐ効果があります。膜を作ることでオイル漏れを多少は改善させることができます。
しかし、そもそもオイル漏れに対して使う商品ではないので、効果はあまり期待できません。
そして、オイル添加剤も粘度の高いものから低いものまでさまざまです。もしオイル漏れの応急処置として使うのであれば、粘度の高いものを使用しましょう。
3.エンジンオイル自体を変える
これもオイル添加剤と同じ考え方で、粘度の高いオイルに交換することで漏れが止まる場合もあります。
しかし、オイル粘度を上げることで燃費の悪化や、以前より加速性能が悪くなることもあるので、きちんと理解したうえでオイル粘度を変えましょう。
オイル漏れの修理方法と修理費用
ほとんどの修理はガスケットやシールの交換
故障でない限り穴が開くということはないので、オイル漏れのほとんどはガスケットやシールの交換になります。
修理費用は部品代と工賃が発生しますが、ガスケットやシールの部品代はとても安いです。単体で数百円程度、もしくは1,000円から2,000円ほどであることがほとんどでしょう。
それよりも、漏れている箇所を分解し、ガスケットやシールを交換する作業の方が大変です。
工賃は車種や工場によってまちまち
工賃に関しては車種やどこでお願いするのかによって工賃が大きく変わるので、目安の金額をお伝え出来ません。
例えば、よくオイル漏れを起こすタペットカバーのガスケット一つにしても、周りの装置をほとんど外さず作業できる車種もあれば、周りの装置を外さないとタペットカバーへアクセスできない車種もあります。
このように車によって作業工数も違いますし、難易度も変わります。
また、オイルが漏れた箇所だけの作業の場合もありますが、ついでに劣化した他のオイルシールやガスケットを一緒に交換しておくなんてこともよくある話です。そのため、ここで目安金額を伝えても全く参考にならないですし、相場の工賃もありません。
事前に知りたいのであれば、整備工場へ作業をお願いする車を持ち込み見積もりを出してもらいましょう。
【整備士から一言】有効な対処方法はガスケットの交換
エンジンオイルの漏れの原因の多くは、ガスケットなどの劣化です。特にオイルパンやタペットカバーなどに取り付けられている液状ガスケットが劣化し、オイル漏れの原因になっていることが多くあります。有効な対処方法はガスケットの交換です。
なかにはオイル粘度を高くして漏れないようにいするという方もいますが、その方法はあくまで応急処置にすぎません。ガスケットなど漏れている原因を改善しないといつまでもオイル漏れは発生し、放置すればするだけ状況は悪化します。
オイル漏れはオイル管理が悪く、あまりエンジンオイルの交換をしない車によく見られます。オイル漏れを防ぐ方法は、正しいタイミングでのエンジンオイル交換といえるでしょう。
どの程度のオイル漏れなら車検に通る?
オイル漏れが発生していれば車検には通りません。また、「1分間に何㏄減っている程度ならOK」というような細かな決まりもありません。
検査員が車の下回りやエンジンルームを見て「オイル漏れをしている」と判断されれば、車検に合格できません。
また、漏れとにじみでは漏れるオイル量が違いますが、例えオイルにじみであってもひどければ車検に通らないこともあります。
自分で確認するときはどこに注意すればいい?
自分自身で車の下回りを確認したとき、「オイルが付いて汚いな」と感じるのであれば、車検には通らないと考えましょう。
ただし、検査員はあくまでも現状でオイルが漏れているかどうかを見ているだけにすぎず、どの部分から漏れているのかを確認するわけではありません。
そのため、オイル漏れを修理していた場合でも、漏れたオイルを拭き取りきれいな状態にしておかないと、漏れていると判断されることがあります。
このようにオイル漏れの定義はあいまいな部分が多く、検査員によって感じ方が違うため、「前回の車検では合格したのに、今年は落とされた」なんてことも起こりえます。
大事なことは、車を誰が見てもオイル漏れはないと断言できる状態にしておくことです。
- 執筆者プロフィール
- 山北吏(つかさ)
- 1989年生まれ。現役整備士(整備士3級)webライター。webライター歴は1年半。愛車はインプレッサ(GH8)。車に乗るなら絶対MT!実家が田舎だったこともあり山道は得意!整備士として働き始め3年目。前職は輸入業...