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【意外と知らない】商用車と乗用車の違いとは?税金や車検から乗用車との比較まで
目次
商用車とは|乗用車と何が違う?
商用車は貨物車のみにあらず
まず乗用車とは、道路運送法が定義する「人の運送の用に供する車」を指します。自動車の中でも、人が乗ることを重視するのが乗用車ということです。
ところが一方、「商用車は、トラックやバンなどの貨物車を指し、乗用車の対義語である」という定義は一般的なようで、実は間違いです。商用車を明確に定義する法律は存在せず、あくまで自動車メーカーが「商用車」または「ビジネスカー」として販売しているものを、商用車と定義することができます。
商用車には、大きく分けて乗用車と貨物車の2種類が存在します。商用車は乗用車を含んでいるため、貨物車としての商用車と乗用車を比較したとき、はじめて違いが生じることになります。
当記事では、今回のテーマである商用車に含まれる乗用車と貨物車の法的区分の違いについて、「ナンバープレート」・「車両の構造」・「税金」・「車検」の4つのポイントから、それぞれ詳細に解説していきます。
乗用車と商用車の違い①|ナンバープレート
赤丸で囲われているのが分類番号
車の用途の違いはナンバープレートに表れます。
乗用車で「自家用車」もしくは「事業用車」として乗られているもの、商用車で「貨物車」もしくは「乗用車」として乗られているもの、これはクルマのオーナーがどのように国に届け出をして登録しているかが違うものなので、ナンバープレートを見ればその内容がわかるのです。
ポイント①【分類番号】
後の「車両の構造」の項でも記載しますが、貨物車と乗用車、この2種類の車両には、国土交通省の通知「自動車の用途等の区分について(依命通達)」で、荷室部分と居住部分の面積の違いなどの構造条件によって区分が異なり、ナンバープレートの違いが生じます。
自動車登録の際に配布されるナンバープレート、その上部に記載される3桁の数字(分類番号)を見れば、乗用車と貨物車のどちらで登録されているのかすぐに見分けることができます。
乗用車は、数字の頭一桁目が「3(普通乗用車)」・「5/7(小型乗用車)」となるものが該当します。一方の貨物車は、「1(普通貨物車/大型貨物車)」・「4/6(小型貨物車)」となります。
補足すると、乗用車でも貨物車でもない「乗合自動車」という区分もあり、これは乗車定員11人以上のバスなどが該当し、「2ナンバー」が付与されます。
ポイント②【プレートの色】
自家用車と事業用車、この2種類の車両には、”運賃を取るか否か”によって法的な区分が異なり、ナンバープレートの違いが生じます。
自家用車には、運賃を取らずに個人用に乗る車を指し、最も一般的な白いナンバープレートが付与されます。一方、タクシーやバス、トラックのように、輸送目的の先に顧客がいて、その顧客から運賃を取る場合は、事業用車登録をすると、緑色のナンバープレートが付与されます。ちなみに、軽自動車の場合は自家用車なら黄色地に黒文字、事業用車なら黒地に黄色文字といった色分けもされています。
上記の区分けに、乗用車と貨物車の差はありません。
乗用車と商用車の違い②|車両の構造
商用車によく見る平坦なベンチシート
商用車は、その用途から「荷物を多く積載できること」と「長距離を走れること」という条件が乗用車以上に求められます。乗用車と商用車の車両の構造は、同じ場合もありますが、左記の条件を達成するため、通常の乗用車とは異なるプラットフォームで開発された商用車も存在します。
例えば商用車には、乗用車と同型のエンジンを搭載するにしても、市街地の走行性能を重視して低中速トルクを太くしたり、貨物可能な領域を確保するために後部座席がリクライニングしない固定式を採用しているなどの特徴が見られるものが多くなります。
ちなみに、商用車に含まれる乗用車と貨物車には、道路運送法で定められた車両構造の違いが明確に存在し、「1ナンバー」と「4ナンバー」である貨物車である主な法的要件は以下の通りです。
・貨物可能なエリアの床面積が1㎡以上あること(軽自動車は0.6㎡以上)
・貨物の積卸口の寸法が縦80cm×横80cm以上あること
・貨物可能部分の座席は、すべてが折りたたみ式又は脱着式の構造であること
上記をはじめとした要件を満たせば、乗用車を後から貨物車として登録し直すことも可能です。
- 執筆者プロフィール
- MOBY編集部
- 新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...