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車のサイドブレーキの意味や構造とは?正しい使用方法から調整方法までご紹介

サイドブレーキとは?

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「サイドブレーキ」とは、駐車中の車が動かないようにタイヤを固定するブレーキ装置です。作動させるとリアブレーキがかかり、解除するまでタイヤがロックされます。

サイドブレーキという名前は通称であり、車の取扱説明書では「パーキングブレーキ」と記載されることが一般的です。広義のパーキングブレーキは駐車用ブレーキの総称で、操作方法の異なる複数のタイプがあります。その1つであるサイドブレーキは、運転席の横に操作レバーがあるタイプで、1980年代ごろまではパーキングブレーキの主流でした。

当時の名残りから、現在もパーキングブレーキ全般をサイドブレーキと呼ぶ場合があります。各種パーキングブレーキの多くは基本構造が共通しており、実質的にほぼ同じものと考えて差し支えありません。以上の点から、ここからの解説ではサイドブレーキとパーキングブレーキを同義として扱います。

サイドブレーキとフットブレーキの違い

車に備わるブレーキ装置には、サイドブレーキのほかに「フットブレーキ」があります。フットブレーキはブレーキペダルで操作する減速用のブレーキ、すなわち車のメインブレーキです。

走行中の車の減速や停止に用いることから、フットブレーキには強力な制動力が求められます。このため、フットブレーキは機構が複雑であり、油圧やエンジン負圧などを利用して、制動力が増大するように工夫されています。

一方、停車している車にかけるサイドブレーキには、フットブレーキのような強い制動力は求められません。その代わりにタイヤへの持続的な拘束力が求められるため、サイドブレーキはシンプルで壊れにくい設計になっています。

サイドブレーキの仕組み

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サイドブレーキの構造はごく単純で、操作部とワイヤーおよび「ラチェット機構」で構成されています。ラチェット機構とは、歯車の回転方向をストッパーで一方向に制限する機構です。

サイドブレーキの操作部は、ラチェット機構とワイヤーを介してリアブレーキにつながっています。フロントではなくリアのブレーキにつながっている理由は、操舵で動かないリアのほうがワイヤーの張力を効かせやすいためです。

操作部でワイヤーを引くとリアブレーキがかかり、ラチェット機構によりワイヤーを引いた状態が保たれる、というのがサイドブレーキの仕組みです。サイドブレーキを解除する際は、リリース操作によりラチェット機構のストッパーが外れて、スプリングの力でワイヤーが元の位置に戻ります。

なお、近年普及している電動式のサイドブレーキには、ワイヤーを使わないタイプもあります。

ブレーキ本体はフットブレーキと兼用?

上記のとおり、サイドブレーキはリアのブレーキにつながっていますが、ブレーキ本体は必ずしもフットブレーキと兼用になっているわけではありません。サイドブレーキに使われるブレーキ本体の種類は、以下のように車のタイプにより異なっています。

車のタイプサイドブレーキの本体
リアがドラムブレーキの車
(軽自動車、小型車など)
ドラムブレーキ
(フットブレーキと兼用)
リアがディスクブレーキの小型スポーツ車ディスクブレーキ
(フットブレーキと兼用)
リアがディスクブレーキの高級車・高性能車インナードラム
(ディスクブレーキの内側にドラムブレーキを装備)

重量のある高級車や高性能車では、リアのディスクブレーキの内側にサイドブレーキ用のドラムブレーキを備えています。なぜこのように複雑な方式(インナードラム式)を採用するのかというと、ディスクブレーキよりもドラムブレーキのほうが高い制動力を発揮できるためです。

インナードラム式を採用しない車では、リアのフットブレーキとサイドブレーキが兼用になります。小型スポーツ車の多くはディスクブレーキをリアに備えますが、軽量さや価格の安さを重視するためインナードラムは装備されません。

サイドブレーキの種類|運転席のどこにある?

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サイドブレーキを分類すると、操作方法の異なる4タイプに分かれます。各タイプの特徴や操作部の位置を見ていきましょう。

手引き式

「手引き式」は運転席の横のレバーで操作するサイドブレーキです。狭義でいうサイドブレーキはこのタイプで、近年はMT車が設定された車種や、比較的安価な軽自動車などに採用されています。

感覚の繊細な腕で操作することから、手引式サイドブレーキは「ベーパーロック現象」が生じた際の減速にも利用できます。ベーパーロック現象とは、ブレーキフルードの沸騰によりフットブレーキが効かなくなる現象です。コントロール性に優れる手引き式ですが、腕の力の弱い方は使いにくさを感じる場合があります。

足踏み式

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「足踏み式」はAT車専用のサイドブレーキで、ブレーキペダルの左隣りに設置されたペダルで操作します。日本でAT車が大きく普及した1980年代に、足踏み式サイドブレーキは登場しました。

力の強い足で操作でき、かつインテリア設計の自由度を高められることが足踏み式のメリットです。この反面、足踏み式では手引き式のような繊細なブレーキコントロールができません。

ステッキ式

「ステッキ式」は、ハンドルの左下(または右下)に設けられたグリップで操作するサイドブレーキです。手引き式より古くからあるタイプで、省スペース性に優れるものの、操作がやや複雑なため近年の車にはあまり採用されていません。日本の現行車では、トヨタ ハイエースとホンダ N-VAN(MT車)がステッキ式サイドブレーキを採用しています。

電動式

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「電動式」はモーターの力で作動するサイドブレーキです。日本車では2006年発売のレクサス LSで初採用された方式で、近年では一部の軽自動車にも採用されています。

電動式サイドブレーキの特徴には、スイッチ1つで操作できる手軽さと、オート機能があげられます。操作スイッチは指1本で操作できるサイズで、シフトレバーの近くに設置されることが一般的です。

オート機能とは、特定条件下においてサイドブレーキの作動と解除を自動化できる機能です。たとえば、ACC(アダプティブクルーズコントロール)の自動停車とブレーキホールドは、電動式サイドブレーキのオート機能により実現しています。

サイドブレーキの使い方や順番

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手引き式

手引き式サイドブレーキの操作は次の手順で行います。

  1. ブレーキペダルを踏みながら、ブレーキレバーを上限まで引き上げる
  2. ブレーキ警告灯の点灯を確認して、ブレーキペダルから足を離す
  3. 解除する際はまずブレーキペダルを踏み、次いでブレーキレバーを少し引き上げる
  4. ブレーキレバー先端の解除ボタンを押したまま、ブレーキレバーを下限まで下げる
  5. ブレーキ警告灯の消灯を確認する

サイドブレーキのレバーを引き上げる際はカチカチと音がします。この音はラチェット機構のストッパーが歯車にはまる音で、一般に「ノッチ音」と呼ばれています。ノッチ音はサイドブレーキが正常に機能していることを示す音であり、普段は気にしなくても問題ありません。

足踏み式

足踏み式サイドブレーキの操作は次の手順で行います。

  1. 右足でブレーキペダルを踏みながら、左足でサイドブレーキのペダルを奥まで踏み込む
  2. ブレーキ警告灯の点灯を確認して、各ペダルから足を離す
  3. 解除する際はまずブレーキペダルを踏み、次いでサイドブレーキのペダルを踏み込む
  4. サイドブレーキのペダルから足を離す
  5. ブレーキ警告灯の消灯を確認する

足踏み式サイドブレーキを解除する際は、カチッと音がするまでペダルを踏み込んでください。この操作によりラチェット機構のストッパーが外れて、スプリングの力でペダルが元の位置に戻ります。

ステッキ式

ステッキ式サイドブレーキの操作方法は車種により異なります。ハイエースの場合は次の手順で操作できます。

  1. ブレーキペダルを踏みながら、ブレーキグリップをいっぱいまで引っ張る
  2. ブレーキ警告灯の点灯を確認する
  3. 解除する際はブレーキペダルを踏みながら、ブレーキグリップ裏側の解除ボタンを押す
  4. 解除ボタンを押したまま、ブレーキグリップを左に回す
  5. ブレーキグリップを奥に戻し、ブレーキ警告灯の消灯を確認する

ハイエースと異なり、N-VANの場合はステッキ式サイドブレーキに解除ボタンがありません。N-VANのサイドブレーキを解除する際は、ブレーキステッキを手前に引きながら左に回し、使用前の位置に戻します。

電動式

電動式サイドブレーキは多機能であり、複数の方法で操作できます。ここでは、手動で電動サイドブレーキを操作する手順と、オート機能が作動する条件を解説します。

手動での操作手順

電動サイドブレーキは次の手順で手動操作できます。

  1. ブレーキペダルを踏んだ状態で、サイドブレーキのスイッチを引き上げる
  2. モーターによりサイドブレーキがかかる
  3. 解除する際はブレーキペダルを踏んだ状態で、サイドブレーキのスイッチを押し下げる
  4. モーターによりサイドブレーキが解除される

電動サイドブレーキは、走行中に手動で作動させることも可能です。走行中にスイッチを引き続けるとサイドブレーキがかかり、スイッチ操作をやめると解除されます。

オート機能の作動条件

電動式サイドブレーキのオート機能の使用時には、次のような条件で自動でサイドブレーキが作動します。

  • シフトレバーを「P」に入れる
  • シフトレバーが「P」以外のときに運転席のシートベルトを外す
  • シフトレバーが「P」以外のときに運転席のドアを開ける
  • 車の電源をOFFにする

上記は一例であり、オート機能の作動条件は車種により異なります。なお、電動式サイドブレーキ採用車の多くは、アクセルオンでサイドブレーキが自動解除される機能を備えています。

サイドブレーキを下ろし忘れた!そのまま走るとどうなる?

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サイドブレーキは制動力があまり強くないため、解除を忘れて発進しても、気付かずに走り続けてしまう場合があります。そのまま長距離を走ると熱による部品の破損や「フェード現象」が生じ、最悪の場合は事故や火災につながりかねません。

フェード現象とは、摩擦熱によりブレーキの制動力が低下する現象です。制動力が低下すれば、自ずと事故の起こる確率が高まります。また、フェード現象を起こすほどの高熱は、部品の燃焼による火災の原因にもなります。

もっとも、上記のような危険な状態は急に発生するわけではありません。サイドブレーキをかけたまま走行すると、まず加速が鈍りますし、走行を続けるとゴムの焦げる匂いがします。これらの症状に早めに気付くことができれば、サイドブレーキが原因の事故や火災を未然に防げるでしょう。

その他サイドブレーキの使用に関する注意点

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冬場の凍結に注意

冬場にサイドブレーキを使って駐車すると、ワイヤーが凍結してしまい、ブレーキを解除できなくなる場合があります。気温が氷点下まで下がる日は、サイドブレーキの代わりに輪止め(車止め)を使って駐車したほうがよいでしょう。電動式サイドブレーキのついた車にお乗りの場合は、自動でサイドブレーキがかかる機能を停止したうえで、輪止めを使用してください。

なお、サイドブレーキが凍結してしまった場合は、エンジンをしばらくかけて暖気すると熱でワイヤーが解凍されます。この方法でサイドブレーキを解除できない場合は、JAFやディーラーに連絡してください。

長期間駐車ではサイドブレーキを使わないほうがいい?

サイドブレーキを長期間かけたままにするとワイヤーが固着する、といわれることがあります。たしかに、駐車している間にワイヤーが固着して、サイドブレーキを解除できなくなるケースはあるようですが、めったに起こることではありません。

サイドブレーキのワイヤーケーブルは、内部に水が入らない構造になっています。ケーブル内に水が入らなければ、ワイヤーの固着は起こりません。長年メンテナンスをしていない旧車でもないかぎりは、サイドブレーキをかけたまま長期間の駐車をしても問題ないでしょう。

サイドブレーキの調整方法【引きがイマイチだなと思ったら】

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サイドブレーキを操作した際に、違和感を覚えたり、普段より引きがイマイチと感じたりすることがあるかもしれません。このような場合には、次の点をチェックしてみてください。

  • ノッチ数は適切か
  • レバーやペダルを操作して異音が出ないか
  • レバーやペダルがスムーズに元の位置に戻るか

「ノッチ数」とは、サイドブレーキをかける際にノッチ音が鳴る回数です。車の取扱説明書に記載された適正回数と、実際のノッチ数がずれている場合は、サイドブレーキの調整が必要になります。レバー・ペダル操作時の異音や戻りにくさが気になる場合は、ディーラーや自動車工場に点検に出したほうがよいでしょう。

引きしろの調整方法

サイドブレーキの調整方法には、ブレーキの効きを調整する方法と、レバーの引きしろを調整する方法があります。前者は実践のハードルが高く、後者は比較的簡単に実践できます。ここでは、レバーの引きしろの調整手順を見ていくことにしましょう。

  1. ブレーキレバーのブーツ(カバー)を外す
  2. ブレーキレバー根本の調整用ナットを締める
  3. フットブレーキを10回ほど踏む
  4. ブレーキレバーのノッチ数を確認する
  5. 左右のリアタイヤを同時にリフトアップする
  6. ブレーキレバーが下りた状態で手でタイヤを回す
  7. タイヤの回転に抵抗を感じなければ作業完了

上記は、手引き式パーキングブレーキのノッチ数が、適正値より多い場合の調整手順です。ノッチ数が適正値より少ない場合は、手順2で調整用ナットを緩めてください。

なお、サイドブレーキの調整方法を誤ると、ブレーキの故障や事故につながる場合があります。自力での整備が不安な場合は、ディーラーや自動車工場などに調整を頼むようにしましょう。

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執筆者プロフィール
加藤 貴之
加藤 貴之
1977年生まれのフリーライター。10年以上務めた運送業からライターに転向。以後8年以上にわたり、自動車関連記事やIT記事などの執筆を手がける。20代でスポーツカーに夢中になり、近年は最新のハイブリッド車に興...
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