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【愛車が狙われてるかも?】CANインベーダーとは?仕組みと対策方法を解説

スマートキー車両の盗難手法として、これまでは「リレーアタック」というものが主流でした。しかし、近年はより悪質な「コードグラバー」という手口が台頭。後者はまだまだ知名度が低く、これから更に被害が増加していくと考えられます。

しかし、コードグラバーの認知度が徐々に増加してきた矢先、またもや新たな盗難手法が登場しました。その名も「CAN-INVADER(CANインベーダー)」。

本記事ではCANインベーダーの詳細な手口や対策方法を解説していきます。

CANインベーダーとは?

車両盗難のイメージ
©Tomasz Zajda /stock.adobe.com

CANインベーダーとは、車のいたるところに通っている「CAN信号」という配線を経由して車両のシステムに侵入し、解錠やエンジン始動などを行う盗難手法です。

海外ではすでに認知され始めている手法で、日本でも徐々にCANインベーダーによる被害が増加しています。

ちなみに海外でCANインベーダーは「OBD Port Theft」や「OBD Car Theft」などと呼ばれているようです。OBDというのは、CANインベーダーの手口(後述)に登場するシステムの名称に由来します。

リレーアタックやコードグラバーとの違い

リレーアタックやコードグラバーに共通するのは、盗難する車両のスマートキーが発する電波を利用するという点。

一方のCANインベーダーは、スマートキーの電波を利用せず、自動車のシステムに直接侵入します。そのため、スマートキー車を狙った従来の犯行とは対策方法も異なってくるのです。

CANインベーダーの仕組み・手口

OBDデバイスを使って車両を修理する人のイメージ
©AS Photo Project /stock.adobe.com

まず、CANインベーダーの解説へと移る前に、現在ほぼすべての車両に搭載されている「OBDⅡ(オービーディーツー)」というシステムについて簡単に説明します。

OBDⅡとは、要するに自動車の情報が集約されるターミナルのような機能です。

近年の自動車はもはやコンピューターと言えるほど複雑な構造をしているため、故障した際にどこに不具合があるのかを判別するのが困難。OBDⅡはそんな時にどこの状態が悪いのかを自己診断してくれるシステムです。

OBDⅡに接続するスキャンツールの例
OBDⅡに接続するスキャンツールの例
©freezeframe /stock.adobe.com

OBDには専用のコネクターがあり、整備工場やディーラーなどが自動車を修理する際、「スキャンツール」と呼ばれる診断機を接続することで異常の内容を読み取ることができます。

OBD専用コネクターの車両装着位置は、メーカー関係なくほぼ統一されており、運転席の足元にあることがほとんどです。

OBDの悪用=CANインベーダー

ここでCANインベーダーの説明に戻ります。CANインベーダーは、自動車の様々な情報が集約されるOBDⅡへと不正にアクセスし、盗難する車両を解錠、運転できる状態にします。

具体的には、OBDⅡに繋がる「CAN信号」という配線にアタックすることでシステムへと介入しています。

CAN信号は専用の機器さえあれば車外からもアクセス可能で、スマートキーは必要ないというのがCANインベーダーの手法となります。

CANインベーダーが成功してしまうと、ドアロックの解錠はもちろん、純正カーアラームの解除や合鍵の作成まで可能だと言われています。

CANインベーダーによる盗難方法

従来のCANインベーダーは、OBDⅡのシステムに介入してセキュリティを解除する機器と、エンジンを始動させる機器とに分かれていました。

そのため、エンジンルームやバンパー内を通るCAN配線に機器を割り込ませてセキュリティやドアロックを解除した後、車内のOBDⅡコネクタに始動専用の機器を接続するなどしてエンジンを始動させる必要がありました。

しかし近年は、これらの機能が統合された新型CANインベーダーが数十万円程度の価格で出回っており、配線に割り込ませればセキュリティ解除とエンジン始動の両方ができるようになったため、さらに短時間での犯行が可能になっています。

また、CANのシステム解析も進み、対応車種も続々と増えている模様です。

CANインベーダーの対策・盗難防止方法

物理的なセキュリティを講じておくことで、車上荒らしには遭っても車両そのものを盗難されるリスクは大幅に減少できます。

タイヤロックやハンドルロックを導入する

タイヤロックやハンドルロックは、CANインベーダーはもとよりリレーアタックやコードグラバーにおいても有効な防犯対策です。

タイヤロック
タイヤロック
©Ivan/stock.adobe.com

特にタイヤロックに関しては見た目のインパクトもあるため、そもそも犯人が盗難しようとする気持ちを消沈させる効果も期待できます。

ハンドルロック
ハンドルロック

ハンドルロックのみの場合は、強固なタイプを選ばないと、近年は簡単に破壊されてしまいます。安く抑えようとして性能が低いものを購入しても、意味をなさない場合があります。

2つ同時に使用するのが理想的ですが、車に乗り降りする際の手間が増えてしまうのが唯一のデメリット。使う使わないに関わらず、不安なときに備えて車内に収納しておくだけでも心持ちが変わるでしょう。

最強のハンドルロックはコレ!

センサーを強化した社外セキュリティの装備

CANインベーダーで解除できるのは純正防犯装置のみであるため、CANとは切り離された社外セキュリティであれば、ある程度の防犯効果は見込めます。

加藤電機株式会社は、同社が開発する防犯装置であるバイパーおよびホーネットと連動可能な、CANインベーダー盗難時の車体への不正アクセスを検知できるダブルポイントループセンサーを新たに開発しました。

CANインベーダーとはいえ、車にまったく触れることなく盗み出すことはできません。ダブルポイントループセンサーを組み込んでおけば、CAN配線にアクセスするためのボンネットのこじ開けやバンパーの取り外しなど、最大2箇所の異常を検知してアラームを作動させられます。

またこのセンサーは、車両盗難時の純正ホーンやバッテリー配線の切断に加え、カーナビ・カーオーディオ・マフラーなどの盗難にも効果を発揮します。

他にも有効な防犯対策

タイヤロックやハンドルロックのように車そのものを盗まれないようにする対策に加え、自宅の駐車場に監視カメラを設置したり、盗まれても位置がわかるようにGPS発信機を取り付けたりする、といった盗まれた後の対策も重要。

盗まれた後に車両が発見される可能性を高めることができます。

通用しない対策

ブリキ缶に入ったスマートキー
CANインベーダーには通用しないが、リレーアタックやコードグラバーといった盗難には有効。
©KATSU/stock.adobe.com

CANインベーダーは冒頭でも解説したとおり、スマートキーを必要としない盗難手口です。

そのため、スマートキーを電波遮断タイプのキーケースに入れたり、金属製の缶で保管したりといった、リレーアタックやコードグラバーで有効だった対策は通用しません。

狙われやすいのは高級車(特にトヨタ・レクサス関連)

出典:日本損害保険協会「第21回自動車盗難事故実態調査結果」

コードグラバーの記事でも解説しましたが、日本損害保険協会「第21回自動車盗難事故実態調査結果」によると、最も盗難にあっているのはトヨタのランドクルーザー、レクサスのLXやRXといった高級SUV

実際、これらの車種の盗難は2020年1月現在でも多数報告されています。

また、盗難が発生しやすい場所は自宅の屋外駐車場、時間帯は夜22時~翌朝9時の間だと言われています。

執筆者プロフィール
MOBY編集部
MOBY編集部
新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...
監修者プロフィール
鈴木 ケンイチ
鈴木 ケンイチ
1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレー...

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