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AWDとは?4WDと何が違う?2つの表現があるのはなぜ?仕組みとメリット・デメリット
四輪駆動車とほかの駆動方式の構造的な違い
四輪駆動車とそれ以外の駆動方式の間には、具体的にどのような構造的違いがあるのでしょうか。
トランスファーの有無
トランスファーは四輪駆動車に装着されている主要部品の1つです。トランスミッションの駆動を別の軸へ伝える役割を果たしています。
四輪駆動車はFF車(前輪駆動車)ベースとFR車(後輪駆動車)ベースに分けられるのですが、FF車ベースのトランスファーはミッションの横方向の回転を縦方向に変換してプロペラシャフトを回転させます。そのプロペラシャフトがリア・でファレンシャルを動かし、リアアクスルが連動して後輪を駆動させるという仕組みです。
これに対してFR車ベースの場合、トランスファーとフロントプロペラシャフトがトランスミッションを利用して前輪に動力を伝える構造となっています。
エンジン出力軸を基準に見ると、FR車ベースは縦置きエンジン、FF車ベースは横置きエンジンになっていることにも気がつきます。
つまり、FF車ベースの4WDにおけるトランスファーは横方向のエンジン出力軸の回転を縦軸にも使えるようにすること、そしてFR車ベースのトランスファーは縦方向のエンジン出力軸の回転を横方向にも使えるようにする役割を担っているのです。
日本国内だけでなく海外にも熱烈なファンを持つスズキ・ジムニーは、FR車ベースの4WDです。車体下部を除くとFR車特有の縦に長いトランスミッションケースを確認できます。
トランスファーとリアデフのオイル交換が必要になる
トランスファーとリア・デファレンシャルのギアオイルを定期的に交換する必要があります。交換頻度は車種や車両の程度によりけりですので、DIYで交換される方は一度サービスマニュアルなどで確認しましょう。
これらに使用されるギアオイルの規格ですが、メーカー純正品はAPI規格のGL-5がほとんどです。エンジンオイルとは異なり、ケースから溢れるくらいまで入れることが一般的となっています。
6輪以上の自動車の駆動方式はどうなっている?
6輪以上ある車両の多くは特殊な仕様
ほとんどのクルマは四輪ですが、視野を広げると6輪以上の車輪が装着されているクルマが存在することに気がつきます。
メルセデスAMG G63 6×6はその代表例です。車種名称に6×6とあるように、6つの車輪全てが駆動する仕様となっています。すべての車輪が駆動するので、これもAWDですが、あえて数字で表現すると6WDとなります。軍用車をベースに製造されたこのクルマの価格は8,000万円で、かなり高価であることがわかります。
さらに、AVTOROSシャーマン8×8という八輪駆動車も存在します。この車両は必要に応じて四輪駆動と八輪駆動の切り替えが可能です。
6輪以上の車両の車輪数と駆動輪の見方
トラックメーカーのホームページなどを見ると、「6×4」や「8×4」などの表記を見ることがあります。これは前の数字が車輪数を、後ろの数字が駆動輪の数を示しています。例えば6×4と表記されている車両は6本の車輪を持ち4つの車輪を駆動させる仕様です。別の3軸で4つのタイヤを駆動する仕様とも言えます。
大型トラックには車輪が多く装着されている
日本国内で見かける車輪数6輪以上の自動車と聞いて真っ先に思い浮かぶのは大型トラックです。街中でざっくり見るだけでも、車輪が6つあるものや8つあるものを確認できます。
メーカーのホームページを参考にすると、6×4、6×2、8×4などが多く、大型トラックのAWDというのはほとんどないようです。
AWDと4WDの2つの表現があるのは何故?
四輪駆動車は日本において4WDと表現するされることに馴染みがありますが、国外を見てみると4WDよりもAWDのほうが浸透しているようです。これは先にも紹介したように6輪自動車や8輪自動車の存在があると考えられます。
日本国内ではじめて四輪駆動車を生み出したのはスバルで、そのスバルが自社の四輪自動車をシンメトリカルAWDと呼んでいるように、日本国内でもAWDの表現が以前より普及していることは明らかです。
ホイール・インセットや馬力表示の国際化なども合わせて考えると、以前よりも世界基準が意識されていると言えるのではないでしょうか。
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- 執筆者プロフィール
- 監修者プロフィール
- 鈴木 ケンイチ
- 1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレー...