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KINTOは高い?メリット・デメリットと他のカーリースと比較【覆面調査】
TVCMでもお馴染みのクルマのサブスク「KINTO」。ここのところ読者から「KINTOってどうなの?」という問い合わせが増えてきました。そこでMOBY編集部がユーザーの立場になって覆面調査してみました!
目次
KINTOとは?

「KINTO(キント)」とは、トヨタの関連企業「KINTO株式会社」が展開するカーリースの通称名です。トヨタの関連企業ですから、取扱車種はトヨタが製造する車、新車のみの扱いとなります。
KINTO株式会社は「KINTO ONE」と「KINTO FLEX」という2つのカーリースを展開しています。主な違いは次のとおりです。
KINTO ONE | 定額の月額でトヨタブランドの新車1台を3年・5年・7年のいずれかの期間で利用できるカーリース |
KINTO FLEX | 複数台のレクサス車を新車で乗り換えができるプラン。利用期間は3年。 |
※本記事では特記がない限り「KINTO」と表示されている場合は「KINTO ONE」のサービス内容を紹介しています
「KINTO」の由来

©YUKI MURATA/stock.adobe.com
「KINTO」の名称は、西遊記の主人公、孫悟空が移動に使う「筋斗雲(きんとうん)」からとのこと。孫悟空が呼べばすぐにやってきて、空を自由自在に駆け巡る夢の“モビリティ”。豊田章男社長が「理想の車は筋斗雲」と言ったという説があります。
KINTOのはじまり
2010年代終盤、音楽はストリーミングによるサブスクリプション(定額制)サービスが浸透、北米では自動車のサブスクリプションサービスが浸透していきました。そこでトヨタは、日本の市場でも車のサブスクリプションを展開することにしました。
国内の皮切りは、2019年2月に東京エリアでのトライアルサービス、「愛車サブスクリプションサービス」というキャッチフレーズではじまりました。
このトライアルでトヨタはサービス内容、システムやオペレーションのチェックなどを行ってブラッシュアップ、2019年7月から「KINTO ONE」を全国展開することになります。
2020年1月からは「KINTO ONE」の車種ラインナップの大幅増加、サービス内容の拡充を図って現在に至ります。
料金とサービス内容
KINTOの料金形態は、次のようになっています。
- 定額の月額制
- 頭金不要
- ボーナス払い設定可
- 利用期間は3年、5年、7年の3タイプ
最も月額が安い車種は、トヨタ パッソ X“S” グレードの7年契約で月額税込29,590円でした。
主なサービス内容は、
- 車両のリース
- メンテナンス、車検、保険、税金などの維持費が利用料にコミコミ
となっています。
料金形態や主なサービス内容は、他のサブスクリプションサービス、カーリースと同じです。

KINTOのメリット
KINTOの公式HPでは、以下の4つのメリットがあると伝えています。
- 頭金不要、月々定額の支払
- WEBで完結する契約、1.5〜2ヶ月で納車
- 乗り換えができるフレキシブルなプラン選択
- 安全装備が充実した新車に乗れ、サポートも充実
この4つのメリットは、KINTOに限ったものではありません。カーリースの制度は法で定められた範囲となり、どの事業者も基本は同じとなります。部分的に事業者が独自に定める付加サービスがあり、これが各事業者毎の特徴になっています。
次項では、KINTOが掲げる4つのメリットについてそれぞれ、独自性のあるメリットなのか、他のカーリース事業者、車のサブスクリプション事業者でも同じメリットなのかを検証していきます。
1. 頭金不要、月々定額の支払
この点は他のカーリースでも同じです。月額利用料の高い、安いの違いはありますが、大差はありません。しかし、大差がないといっても契約期間が長いので総支払額の差には注意が必要です。
KINTOの利用料が高いのか、安いのかについては、この記事後半で詳しく検証していきます。
2. WEBで完結する契約、1.5〜2ヶ月で納車
WEBで完結するカーリースは、他のカーリース事業者も行っています。納期についても大差ありません。KINTOがトヨタ系列だからといって、他のカーリース業者より納期が早くなる、という状況は見受けられませんでした。
在庫があれば納車が早い、というのはカーリースに限らず、現金で買ったときも同じです。カーリース事業者毎のシステム、事務手続きなどのわずかな違いで納期に差が出る可能性はありますが、KINTOだけが納期が早い、とは言い難いものがあります。
3. 乗り換えができるフレキシブルなプラン選択
KINTOは、契約後一定期間(ざっくりと契約期間の半分前後を経過)すれば、一定の手数料(1〜6ヶ月分の利用料)を払えば、ほかの新車へ乗り換えができるようになります。
リース期間中の乗り換えができるカーリース業者はKINTO以外に「カーコンカーリース」、「オリックス」、「NOREL(中古車のもみのカーリース)」などがありますが、乗り換えができないカーリース業者が多数あります。
4. 安全装備が充実した新車に乗れ、サポートも充実
カーリースでは設定できるメーカーオプションが限定される傾向にありますが、現在の新車では、自動ブレーキをはじめとした先進安全装備を標準装備していることが増えており、カーリース業者側も先進安全装備をオプション設定することが多くなっています。
安全装備、サポートについてもKINTOに限らず、他のカーリース業者間で大きな違いはありません。

KINTOのデメリット
① 利用期間が最長7年、期間設定パターンが少ない
「おトクにマイカー 定額カルモくん」、「MOTA」では最長11年、「オリックス」では最長9年がカーリースの利用期間でした。これと比較すると、KINTOは最長7年と短くなっています。
また、利用期間設定もKINTOは3年・5年・7年の3パターンのみ。「MOTA」では5年・7年・11年の3パターン、「おトクにマイカー 定額カルモくん」では最長11年までの間で自由に利用年数が設定できました。
② 任意保険が外せない
KINTOは任意保険がついてきます。運営会社のKINTOが包括的に任意保険に加入しており、契約者はKINTOになっています。このため安い任意保険料とはなりますが、これを外して契約することができません。
親の任意保険の等級で安く任意保険に加入できている人や、車に乗っている年数が長く等級が上がって保険料が安くなっている人にはデメリットとなってしまうケースが出てきます。
【自動車保険の選び方】4つのポイントと保険料の目安|2020年最新情報
③ 軽自動車が選べない
KINTOはトヨタグループですから、トヨタ車のみのラインナップとなります。トヨタブランドの軽自動車はありますが、ダイハツのOEM。KINTOに軽自動車のラインナップはありません。
④ オプション選択の範囲が限定的
この点はKINTOに限ったことではありませんが、カーリースはオプションの選択肢が限定的です。特にエアロパーツなどのエクステリア系、インテリア系のオプションは設定されていないことが多い傾向です。

KINTOは高い?支払方法別で徹底検証
果たしてKINTOは高いのか?現金で買った場合、ローンで買った場合の支払い方法別で比較します。車種はKINTOで最も利用料が安いパッソで試算。諸条件は次の内容です。
利用期間 | 5年 |
走行距離 | 月間:1,200km 年間:14,400km 5年計:72,000km |
走行距離は、毎日片道20kmの通勤に使用、土日で100km走行で試算、利用期間5年は2回目の車検の直前までとしています。
費用比較は、5年間の総支出金額のうち含まれないものは、ガソリン代と駐車場代としています。
任意保険は、ソニー損保でインターネット申込みを使用(インターネット割引適用)年齢、保険金額等の諸条件は以下で試算しています。
契約車:満28歳、ゴールド免許
新規契約(他者契約、過去契約なし)、6C等級スタート
対人・対物:無制限
傷害:3,000万円
車両保険:一般型、免責5-10万円
※試金額は無事故で5ヵ年更新したときの試算(ソニー損保カスタマーセンターへ問い合わせて得た金額)
※この記事での表記価格はすべて税込
一括購入・残価型ローン・KINTOで比較

下記の車種、グレードで比較します。
- メーカー・車名:トヨタ・パッソ
- グレード:X“S”(下から2番目)
- 排気量:1.0L
- 駆動方式:2WD/FF(前輪駆動)
- オプション:フロアマット、ETC車載器
【現金一括購入】234万円/5年(残価含めず)
新車車両価格 | 1,265,000円 |
新車購入時諸費用 | 300,000円 |
メンテナンスパック | 200,000円 |
自動車税 | 100,000円 |
自賠責 | 21,550円 |
自動車重量税 | 5,000円 |
タイヤ交換 | 30,000円 |
任意保険 | 420,000円 |
合計 | 2,341,550円 |
新車購入時の諸費用から、5年間のすべての税金、保険に1回の車検代を含めた総合計金額は234万円。トヨタのメンテナンスパックには、車検代とオイル交換代、ワイパーゴムなどの消耗品交換費、定期点検費用が含まれています。
ただし、総合計234万円には5年後の残存試算価格(買取価格)が考慮されていません、
【残価設定ローン】222万円/5年
頭金20万円、ボーナス支払なしで5年/60回払いの残価設定ローンを組むと、ローン支払最終回時点の残価は253,000円、初回25,090円、月々23,700円となりました。
ローン支払総額 | 1,599,690円 |
自動車税 | 100,000円 |
自賠責 | 21,550円 |
自動車重量税 | 5,000円 |
タイヤ交換 | 30,000円 |
任意保険 | 420,000円 |
ローン最終追加料金 | 40,000円 |
合計 | 2,216,240円 |
車を購入するディーラーにより、金利に違いが出ることをお含みおきください。
「ローン最終通過料金」とあるのは、当編集部が調査したディーラーの規定で、残価設定ローンでは5年で64,000kmの走行距離を超えた分、1kmにつき5円が追加料金として支払うものとなります。走行距離による査定額の減少と考えて良いでしょう。

【KINTO】186万円/5年
KINTOでパッソ X“S”を5年契約したときの月額は31,020円。KINTOは任意保険、メンテナンスなどの諸費用コミコミですので、総合計支払金額は約186万円となります。
支払総額 | 1,861,200円 |
ちなみに、ボーナス払い55,000円を設定すると、月額は21,890円、総支払額は1,863,400円となり差額は誤差の範囲内となります。
5年総支払額比較一覧表
現金一括支払では5年後の残価を考慮していませんでしたので、残価設定ローンの見積り時に算出された5年後の残価、253,000円から、走行距離超過支払分の40,000円を引いて、ジャスト20万円を残価=買取価格として再計算すると次のようになります。
現金一括 | 214万 |
残価設定ローン | 222万 |
KINTO | 186万 |
ご覧のとおり、KINTOが一番安いという試算結果になりました。

KINTOより安いカーリースは?
トヨタ パッソ X“S” 2WD、利用期間5年で他のカーリースを調べると、「MOTA」で月額税込30,800円〜、「SOMPOで乗ーる」で同28,800円〜、「おトクにマイカー 定額カルモくん」で同29,920円〜、「オリックス」で同25,850円〜と、KINTOより安いカーリースが多数ありました。
しかしいずれもKINTOと全く同条件にはなりませんので、金額だけで見てしまうと不公平です。
ただ、メンテナンスの内容、任意保険の有無、乗り換えの有無を考慮すると必ずしもKINTOが安くならず、他のカーリースより高くなるケースが出てくるのは明白です。
すでに何年か車を所有していて、任意保険の等級が上がって保険料が安くなっている人、走行距離が非常に多い方、逆に少ない方などはKINTOを利用すると高くなる場合があります。
カーリースの利用を考えている方は、毎月支払う金額をいかに抑えることができるかを重要視する傾向があります。また「絶対にこれに乗りたい!」という車種へのこだわりがなく、同じような車なら月額が安い方がいい、安全装備を考えると新車には乗りたいという方も多数います。
これを考えると、KINTOの最長利用期間7年は短くなってしまいます。リース期間が長ければ長いほど月額は安くなります。
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8年以上の利用期間を設定しているカーリース
現在、8年以上の長い利用期間を提供している主なカーリースは次のとおりです。
- おトクにマイカー 定額カルモくん(11年)
- MOTA(11年)
- オリックス(9年)
現時点、最も安いカーリースは?

MOBY編集部が調べてみたところ、ダイハツの軽自動車「ミラ イース」の最安価グレード「B」、利用期間11年が最も月額が安いカーリースであることがわかりました。下記の2業者がこれをラインナップしています。
- おトクにマイカー 定額カルモくん(月額12,870円〜)
- MOTA(月額12,210円〜)
※2社の間にサービス内容に違いがありますが、ここでは割愛させていただきます。
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(まとめ)カーリースの選び方
「KINTOは高いか?メリット・デメリットは?」のテーマに沿って深く掘り下げて調査してきました。そこで見えてきたカーリースの選び方のポイントをまとめてお伝えさせていただきます。
① 月額だけに囚われない
インターネットで簡単に見積が取れるカーリース業者は少なくありません。HPに表示された金額だけに着目して比較、選択するのではなく、サービス内容、オプションプラン、走行距離などの条件、追加料金など総合的に判断する必要があります。
② 任意保険をしっかり確認
KINTOのように任意保険が付いたカーリースを利用する場合、はたして本当に付随する任意保険で良いものかどうか、十分に確認しましょう。全くの新規契約だったとしても、親の保険の恩恵を受けることが可能な場合もあります。
この2つのポイントのみしっかり抑えていれば、賢いカーリース・カーライフを送ることができるでしょう。
※本記事の情報は2020年12月時点のものです。各社サービス内容の変更等が発生している可能性がございますこと、おことわりさせていただきます。
- 執筆者プロフィール
- MOBY編集部
- 新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...