更新
車の冷却水の点検・補充方法|漏れたり減ったりするとどうなる?補充・交換費用は?
目次
車のエンジン冷却水とは?何のためにあるの?
車の冷却水は「ラジエーター液」「クーラント液(LLC)」などと呼ばれ、ただの水(水道水)とは成分が全く異なります。
冷却水はエンジンを冷やしてオーバーヒートを防ぐとともに、エンジンが錆びないようにする大切な役割があります。
車の前部に取り付けられているラジエーターは、走行で風が通ることによって冷却水を循環させ、エンジンを冷やします。うまく冷却できない場合、エンジンが高熱になりトラブルが起きてしまいます。
冷却水は時間が経つと蒸発するため、放っておくと冷却効果が十分に得られなくなってしまいます。そのため、冷却水は定期的に点検して必要があれば補充や交換をする必要があります。
クーラント液(LLC)とラジエーター液の違いは?
クーラント液とラジエーター液は同じものです。呼び名が違っているだけだと理解しましょう。その他に「不凍液」と呼ばれたりもします。
ラジエーターとは冷却水を冷ます装置であり、ラジエーターの中にクーラント液が流れているため、ラジエーター液と呼ばれています。
車の冷却水が「減る」はOK、「漏れる」はアウト
車の冷却水が少し減る分には問題ありませんが、少しでも漏れてしまうとアウトです。冷却水はエンジンを冷ます役割を持っており、少なすぎたり無くなってしまうと、エンジンの故障に直結します。
減ることに関してはOKと言いましたが、冷却水が減っている理由が「漏れ」であれば少しだとしてもアウトです。時間経過と共に無くなってしまうからですね。
基本的に冷却水の通り道が漏れていなければ、多少、冷却水が減るだけでトラブルは起こりません。問題がないのに冷却水が減る理由は、ホースのつなぎ目や金属のつなぎ目などがあり100%密閉できないからです。
大幅に冷却水が減っていた場合、どこかに漏れがあるのではないかということを疑いましょう。
誰でもできる冷却水点検・補充のやり方
冷却水(ラジエーター液・クーラント液)ってどこにあるの?
冷却水(ラジエーター液、クーラント液)は、エンジンルーム内のリザーバータンク内にあります。
冷却水はピンクや緑に着色されていますので、色のついた液体が入った、半透明のプラスチック容器を探しましょう。キャップの天面には「冷却水」とか「COOLTANK」と表記されていることが多いです。
冷却水の点検方法
冷却水の点検は、リザーバータンクと呼ばれるサブタンクで行います。サブタンクには冷却水量の目安線が書かれています。
「FULL」「LOW」もしくは「MAX」「MIIN」などと書かれており、「この線より下ならアウトなので、これ以上入れないでね」という基準線です。この基準線の範囲内に水面があればOKです。
もし、分かりづらいのであればライトで側面から照らし少し車を揺らしてみましょう。また、リザーバータンクの種類によっては、蓋にレベルゲージがついているものもあります。
そのような場合では、一度レベルゲージについた冷却水を切ってもう一度差し込み、水面を確認します。
1.冷却水の温度が下がっているか確認
点検の前に、冷却水の温度が上がってしまっていないか確認します。
運転席のメーターパネルにある水温計を見てみましょう。「C」の方にメーターが振れていれば、冷却水の温度が充分下がっている証拠です。これで冷却水の点検準備OKです。
2.リザーバータンクの液面ラインを確認
リザーバータンクの側面を見ると、FullとLowといったラインが記されています。この2つのラインの間に液面が確認できれば大丈夫です。
3.冷却水の色を確認
冷却水の色が補充時に比べて明らかに変色している場合は、冷却水を補充もしくは交換しましょう。
ちなみに冷却水の色はメーカーによって違いますが、通常は写真のような鮮やかな緑色や赤色が多いです。
冷却水の補充方法
冷却水には色が付けられています。補充する際は同じ色の冷却水を選ぶようにしましょう。
冷却水に使われているのは以下の4つ色です 。
- 青
- 緑
- 赤
- ピンク
性能によって色を分けている場合もあるので、必ず色は統一するようにしましょう。補充する際は希釈量を守って補充する必要があります。
希釈方法は水道水と混ぜるだけであり希釈割合は、クーラントの種類や対応する温度によって変わります。クーラントの容器に書かれているので分量を守って希釈しましょう。
補充場所はサブタンクです。基準線内で保てる量を補充します。
注意点としては、車の種類によってはサブタンクのキャップがラジエーターキャップになっているものがあるので、そのような車の場合、温度が上がっている状態で補充を行わないことです。熱い状態でラジエーターキャップを外すと、高温の冷却水が飛び出し火傷してしまいます。
ラジエーターの冷却水が空っぽになっていたときは?
ラジエーターの冷却水が空っぽになっていた場合、絶対にエンジンをかけないようにしましょう。そしてどうしても動かす必要があるのであれば、水道水でもいいので補充してから動かします。
しかし水道水はあくまでも応急処置です。冷却水を使わなくてもいいということではないので、誤解しないようにしてください。
空っぽになっていたということは、どこかで冷却水が漏れている可能性が非常に高いです。補充すればいいと思うかもしれませんが、穴の大きさによっては数分で冷却水が空になる可能性も十分あり得ます。
そのため、整備工場へ連絡しすぐに漏れの原因を突き止めてもらうようにしましょう。もし、タンクが空になっているのに気づかずに運転を続けた場合、エンジンが焼け付き数百万円の修理費用が発生します。
冷却水の補充・交換時期や交換費用は?
冷却水(ラジエーター液、クーラント液)の交換時期は一般的に約2年と言われています。
冷却水の主成分であるエチレングリコーレンと言われる物質は、時間の経過とともに酸化と腐食が進み、劣化していくためです。
2年経っていない場合でも車の使用頻度や環境要因などによって補充や交換する必要は出てきます。
交換費用も5,000円程度なので、基本的には半年に1回は行っておいたほうが安心です。
補充用と交換用、2種類の冷却水を使い分けよう
冷却水には、そのまま使える「補充用」と自分で水道水で薄めて使う「原液」の2種類に分かれています。
少量補充したいときは「補充用」、全量交換など大量に使う場合は「原液」がおすすめ。必要に応じて使い分けましょう。
なお、冷却水を使わずに水道水だけを補充すると、錆びや凍結のリスクが高まるのでやめましょう。
急に減っている場合は冷却水漏れかも
リザーバータンク内の水位が短期間で急激に減っている、補充したのに水位が下がり続けるなどの場合は、冷却水漏れのおそれがあります。
車のフロント下部(エンジンの真下)に、色付きの水溜まりがある場合は要注意です。
冷却水漏れを放置すると、エンジンが十分に冷却されず、オーバーヒートを起こす可能性があります。そうなる前に、早めに漏れている箇所を特定し、修理を行いましょう。
クーラント(LLC)とは?単なる冷却水?色や交換時期は?エア抜きと漏れに注意!
冷却水はガソリンスタンドで補充してもらえる?値段は?
冷却水はガソリンスタンドで補充してもらえます。値段は400円から1,000円程度です。
なかには冷却水を販売しているガソリンスタンドもあります。その場合、冷却水を購入し補充してもらうことになるので、高いものであれば数千円かかることもあります。
簡単な作業なので、補充が必要であれば気軽に頼みましょう。
冷却水に不凍液は入れるべき?
寒冷地では冷却水が凍ってしまうのを防ぐために、冷却水に混ぜる不凍液や、寒冷地専用の冷却水が販売されています。
近年では、不凍液が初めから混合されている冷却水(クーラント液)が一般的です。寒冷地で使用する車の場合は「不凍」や「寒冷地用」などの表記がある冷却水を選んでおけば、不凍液を別途用意する必要はありません。
また、原液タイプの冷却水の場合、希釈倍率を変えて寒冷地に対応できる場合があります。詳しくは商品のラベルなどを確認しましょう。
【整備士から一言】タンク内の水量に注意しよう
車の冷却水にはクーラントが使用されています。エンジン内を循環しエンジンが高温になりすぎるのを防ぐ役割を持ちます。
漏れの原因は、ラジエーターサイドタンクの割れや、ホースやラジエーターキャップの劣化などさまざま。ホースなどには異常がない場合でも、ファンモーターが故障したことでクーラントが冷却されず、圧力に負けラジエーターキャップ付近から漏れてくることもあります。
漏れは目視でしか見つけられませんが、漏れがひどい場合はタンク内の水量が大幅に減っていきます。まずはタンクを確認してみましょう。
漏れを修理するには故障箇所の部品交換が必要ですが、エア抜き作業なども必要なため、知識がなければお店に依頼しましょう。
リザーバータンクが付いていない車もありますので、ラジエーターの内側を見て冷却水の減り具合などをチェックする場合も。
いずれにせよ短期間で急激に減っている場合は、漏れの箇所を目視できなくても可能性が高いと考えましょう。
不安なときは自己判断するのではなく、ディーラーや整備工場などで車のプロに点検してもらいましょう。
オーバーヒートしたまま走行するとどうなる?前兆はある?
ウォーターポンプの故障に早く気がつくためには?症状や異音の種類をご紹介!
エンジンのオーバークールって知ってる?冬場は燃費が30%悪化することも!
- 執筆者プロフィール
- 山北吏(つかさ)
- 1989年生まれ。現役整備士(整備士3級)webライター。webライター歴は1年半。愛車はインプレッサ(GH8)。車に乗るなら絶対MT!実家が田舎だったこともあり山道は得意!整備士として働き始め3年目。前職は輸入業...