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30年モデルチェンジしなかった“様式美”!「日本の誇り」の象徴・トヨタ センチュリーの歴史【推し車】

侘び寂び、おもてなしで続けられるかの岐路に立つ最高級車

トヨタ車の中でも特別規格の仕上げ!人工太陽灯による塗装面検査を受ける現行の3代目センチュリー

1960年代に始まる、日本の「官公庁や大企業など向け黒塗り高級車」の歴史において、常にそのトップを争い、打ち勝ち、今に至るまで唯一生き残っているトヨタ センチュリー。

「格」だけなら匹敵するレクサスLSでもいいですし、何なら最近は「税金の無駄遣い」「アルファードでいいじゃないか」「地元メーカーのクルマは使わないのか」と言われ、自治体向けとしてはすっかり嫌われ者になった感もありますが。

それでもトヨタの、そして日本車全ての「フラッグシップサルーン」としての特別感は揺るぎなく、これからも国産ショーファードリブンカーの頂点に立ち続けるのか、それとも変革していくのか、今回はそんなセンチュリーの歴代モデル+αをご紹介。

プロローグ:クラウンエイト(1964年)

後席に人を乗せていないカタログ写真など、まだショーファードリブンになりきっていなかったセンチュリーの前身、クラウンエイト

1950年代後半から1960年代はじめにかけ、戦後復興期にどうにか作っていたような戦前型やトラックベースからようやく脱却、本格的な国産乗用車を開発・販売可能になっていた日本の自動車メーカーですが、一方で官公庁や大企業の公用車は相変わらず輸入車でした。

しかし、「日本でもちゃんとした自動車を作れるようになったのだから、いつまでもショーファードリブンカーにキャデラックやパッカードを使うはいかがなものか?」となるのは当然の流れ。

これに応えた国産車メーカーは、日産がセドリックスペシャル(1963年)、プリンスはグランドグロリア(1964年)を発売しますが、いずれも既存車に大排気量エンジンを積み、ホイールベースを延長した程度。

初めての「本格的な大型高級乗用車」としては、1964年4月にトヨタが発売した「クラウンエイト」でした。

2代目S40系クラウンとデザインは似ているものの、ホイールベースはもちろん全長・全幅が拡大され、国産市販乗用車初のV8エンジン、2.6リッターのV型を搭載したクラウンエイトはまさにライバル車とは「別格」で、日産から初代プレジデントの登場を促します。

30年モデルチェンジしなかった「様式美」:初代(1967年)

30年作っても「走るシーラカンス」などと決して言われず、国産高級ショーファードリブンの様式美だった初代センチュリー

クラウンエイトでライバルに先駆け、ショーファードリブンカーを実用化したトヨタですが、1965年に日産が発売した初代プレジデントには、はるかに大きいボディ、4リッターV8または3リッター直6のパワフルなエンジンで圧倒されます。

しかしトヨタも1967年11月には本命のフルサイズ・ショーファードリブンを発売、トヨタグループ創業者の豊田佐吉の生誕100年、さらに翌年には1868年の明治維新から100年を控えていた事から、「センチュリー(世紀)」と名付けました。

全長は5m以内に収まる4,980mmでプレジデントより若干全長は短く、V8エンジンも3リッターと排気量は小さかったものの、ホイールベース2,860mm、全幅1,890mmはむしろ上回り、フロントのエアサスや豪華内装など装備面も充実。

エンジンを最終的に4リッターへ拡大(1982年)、ホイールベースを延長したリムジン追加(1989年)といった改良やモデル追加を行いつつ、2代目へモデルチェンジするまでの30年間、基本的なデザインや構造は変えずに販売しています。

これだけ同じモデルを続けても、古さを感じさせるよりは重厚感や高級感に磨きがかかり、センリュリー独自の「様式美」を構築しました。

30年越しのキープコンセプト!:2代目(1997年)

新しいようで変わらないキープコンセプトデザインと、V12エンジンで有無を言わせない「格」を演出した2代目センチュリー

30年ぶりにモデルチェンジしたセンチュリーですが、2代目になってもセンチュリーにしか見えないほど変わりないデザイン、1990年代後半にして堂々とそそり立つフェンダーミラーという「様式美」にはビックリしました!

搭載されるエンジンはさすがに最新で、国産乗用車用では初の、そしておそらく最後になるであろう5リッターV12エンジン1GZ-FEで、まだ馬力自主規制時代だったため自然吸気とはいえ5リッターDOHCなのに最高出力280馬力にもまたビックリ。

宮内庁にも採用されて皇室や宮家の御用達にもなりますが、それとは別に日産 プリンスロイヤル後継の御料車として「センチュリーロイヤル」も開発、一見すると豪華版センチュリーに見えるのに、サイズがフタ回りほどでかいのにも三度目のビックリ!

何かと規格外で驚かされてばかりの2代目センチュリーでしたが、この頃にはライバルの日産がすっかり凋落、同クラスのショーファードリブンを開発できるのがトヨタだけになっており、「日本車全てのフラッグシップモデル」にふさわしく気合の入ったクルマでした。

なお、世界中の日本大使館などでも使われ、「日本車の様式美」を輸出した事でも話題になっています。

様式美か変革かの瀬戸際に立つ:3代目(2018年)

GRMN版の登場やSUV版の噂など、「様式美」の意義が問われているようにも思える3代目センチュリー

気合の入った2代目センチュリーですが、21年と意外な短命?で3代目へモデルチェンジ、自慢のV12エンジンはさすがに時代に合わせ5リッターV8ハイブリッドへ、プラットフォームも4代目LSロングボディ版がベースになるなど、特別感はやや薄れます。

一方でセンチュリーのシンボルであり、「様式美」にとっては大事な鳳凰エンブレムや異次元の深みを誇る塗装、近代的ではあってもやはりセンチュリーにしか見えないデザインは健在で、大きく変わったのはフェンダーミラーから全車ドアミラーになったくらい。

ただし価格は大幅に上がり、2021年5月の価格改定ではついに車両本体価格が2,000万円を突破(2,008万円)、そもそも受注時のカスタマイズ前提でカタログ価格はあってないようなクルマとはいえ、自治体などが使うには無駄遣いと指摘される事が増えてしまいます。

「ショーファードリブン(運転手つき)の高級セダン」が時代に合わなくなってきたためか、実験的なスポーティ仕様の「センチュリーGRMN」が製作されてみたり(未発売)、SUV版の登場が噂されるなど、センチュリーも大きな変革が促されるようになりました。

初代は30年、2代目は21年でモデルチェンジしたセンチュリーですが、価値観の変化には逆らえない雰囲気もあり、4代目へのモデルチェンジは案外早いのかもしれません。

※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。

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執筆者プロフィール
兵藤 忠彦
兵藤 忠彦
1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...

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