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《とにかくカッコ良かったトヨタの「ダルマ」》国産スペシャルティカー初ヒット作!初代セリカ【推し車】

旧車人気を支える1台、初代セリカ

トヨタ博物館で展示中の、 初代セリカ1600GT前期型

かつてはトヨタ系スペシャルティカーの人気車種、スポーツ性も高くてWRCに出場するグループBマシンのベース車を販売したり、グループA時代にはGT-FOURが活躍、スキー映画でも道なき雪上を激走する見せ場を作るなど、とにかくカッコよかったセリカ。

最後はスポーツクーペがウケない時代にひっそり7台36年の歴史を閉じましたが、初代A20/30系は今でも「人気の旧車」として定番車種のひとつです。

ノーズが低く突き出した近代的な流線型クーペとは異なり、丸目4灯ヘッドライトを配したフロントマスクごと突き出すような迫力あるデザインが力強く、小さいながらもアメリカンマッスルカーのような雰囲気が魅力です。

今回はトヨタ博物館に展示されている、「ダルマ」の通称で愛された初期型の画像を交えつつ紹介します。

カローラとコロナの中間を埋めたセリカ/カリーナ

カリーナの2ドアセダン/2ドアハードトップGTとは一線を画したプロポーション

1966年に発売された初代トヨタ カローラは、高度経済成長期の真っ只中、生活に余裕が出てきてマイカーを求める中流層向けに大ヒット、日産の初代サニーなどとともに、頑張れば誰でも買えるマイカーが出揃ったこの年は後に「マイカー元年」と言われます。

カローラを扱っていた販売チャンネル、「パブリカ店」も1969年にはカローラ店」と改称、文字通りトヨタの主力車種として成長していき、それに先立つ1967年にはスプリンターやミニエースを販売するための「トヨタオート店」を設立。

この頃から、「複数の販売チャンネルで取扱車種を増やせば、それだけ売れる」という時代に突入、2020年にトヨタブランド全販売チャンネルで全車種取り扱いを開始するまで、トヨタの強力な販売体制を支えました。

1970年頃には主力大衆車のカローラ/スプリンターと1クラス上のコロナがモデルチェンジを控えており、1.2〜1.4リッター級の前者と、1.5〜1.6リッター級の後者の間を埋める新型車を販売すれば、さらに売れそうな勢いです。

それもカローラ店(カローラ)、トヨタオート店(スプリンター)、トヨペット店(コロナ)と異なり、クラウンより手頃な大衆車を販売していないトヨタ店向けなら、さらに具合がよい…というわけで開発されたのが、カローラとコロナの中間車、初代「カリーナ」。

そしてカリーナの姉妹車として並行開発され、カローラ店向けに発売されたスペシャルティカーが初代「セリカ」でした。

マスタングなどにならった、スペシャルティカー

この顔立ちから「ダルマ」の愛称で親しまれた

トヨタとしては単にカリーナを売るだけではなく、同じプラットフォームを使って安価なスポーツカーを作れば売れるのでは?という目論見がありました。

その頃のトヨタでは1970年までにトヨタ2000GT/1600GT、トヨタスポーツ800といった1960年代のスポーツカーが軒並み販売終了することとなっており、カローラ/カリーナ/コロナの2ドアスポーツ版がその後継というのでは、少々物足りません。

しかしその頃、アメリカでは1960年代に普通の乗用車をベースとしながら、スポーティなボディや強力なエンジンを搭載してスポーツカーへ仕立て上げた「スペシャルティカー」というジャンルが流行しており、同様の手法でトヨタ版スペシャルティカーを作ることに。

後のカリーナと並行して開発が始まった2ドアクーペは、カリーナの2ドアセダンや後に追加される2ドアハードトップとも全く異なる専用ボディと車名が与えられ、1969年の東京モーターショーでデザインスタディ的なコンセプトカー「EX-1」を出展。

1年後の1970年12月、カリーナと揃って「セリカ」として発表されました。

好みの仕様を作れた「フルチョイスシステム」だったが……

LB登場以降の後期型ではボンネットが長く、全体的にフロントマスクは前進するため、この顔は前期型クーペならでは

発売時の初代セリカは丸目4灯ヘッドライトが奥からにらみ、アメ車的な迫力あるフロントマスク、それまでボディから独立した張り出しのようだった前後バンパーもボディと一体化したデザインなど、「未来の国からやってきたセリカ」というキャッチコピーそのまま。

エンジンは1.4/1.6リッター/同ツインキャブの直4OHVエンジンに加え、ホットモデルの「1600GT」には新開発の直4DOHC2バルブ・ツインキャブエンジン2T-Gを搭載、後にカリーナやカローラレビン/スプリンタートレノにも搭載されますが、当初はセリカ専用です。

しかし初代セリカの本質は「足のいいやつ」カリーナ譲りの軽快な操縦性や強力なエンジンではなく、エンジン、ミッション、内装を選べて自分好みのセリカを仕立て上げられる、マスタング譲りの「フルチョイスシステム」でした。

それまでも、ディーラーでスポーツキットなどオプションパーツを組み込めましたが、オーダー時から好みのエンジンを積んだグレードへ好みのミッション、内装で生産されて納車されるというのは画期的だったのです。

もちろん、ユーザーの注文に応じて事実上の受注生産をするわけですから、販売現場から工場へとスムーズにオーダーする仕組みが必要となり、コンピューターによる即日注文登録用の「デイリーオーダーエントリー」というシステムまで開発しました。

ただしこのフルチョイスシステムには穴があり、ホットモデルの1600GTだけはGT専用エンジンにGT専用内装のみ、ミッションも5速MTのみと全く選択できず、しかもユーザーに大人気だったのは1600GTだったのです。

せっかくのフルチョイスシステムは全く活用されないまま1600GTばかりが売れた初代セリカでしたが、外観からしてオシャレなデートカーというより硬派なスポーツカーでしたから、1600GTに採用しても、結局は5速MTに専用外装しか選ばれなかったかもしれません。

そもそもディーラーで「たくさんの組み合わせから選べますよ、さあどうします?」と言われても面倒くさいもので、その後も類似したシステムを採用した車種は、いずれも短期間で廃止されてしまい、人気のオプションを集めた特別仕様車が一般的になります。

「ダルマ」と「LB」の違い

便利でさらにマッスルカー的なボリュームあるLBと異なり、ダルマのクーペには力強さと軽快感が同居している

独立トランク式の2ドアノッチバッククーペで始まったセリカですが、1973年4月にはテールゲートをもつ3ドアハッチバッククーペの「リフトバック」が登場、日本でのセリカはこれ以降3代目まで2ドアクーペもラインナップしますが、主力はリフトバックとなります。

単にリフトバック化しただけではなく、ボンネットを伸ばし、より厚みのある垂直なフロントマスクへ、さらに奥まった位置から丸目4灯ヘッドライトがにらんで迫力を増しました。

同時にリフトバックへは2リッターDOHCエンジンの18R-Gを搭載する2000GTもラインナップ、軽快性は吹け上がりの良さでは2T-Gを積むクーペ1600GTが勝ったと言われるものの、一般的に人気があったのはリフトバック2000GTのようです。

リフトバックの発売翌年にはマイナーチェンジでクーペも同じフロントマスクとなり2000GTも追加、1975年にはボディの大型化と、そのままでは排ガス規制への対応が厳しかった1600GTが廃止されます(2代目で電子制御インジェクション化により復活)。

なお、初代セリカの愛称は「ダルマ」と「LB」の2つあり、「LB」はリフトバック全般、「ダルマ」は厳密にいえばLBと同じフロントマスクになる前のクーペ前期型ですが、「ダルマセリカ」といえば一般的には2ドアクーペ全般をそう呼ぶことが多いようです。

※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。

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執筆者プロフィール
兵藤 忠彦
兵藤 忠彦
1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...

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