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スキャンダルで幻になったプリウス以上の超低燃費車も?1990年度の超低燃費車たち【推し車】
1970年代の厳しい排ガス規制と省エネ対策を乗り切り、環境対策と高性能の両立が可能になった国産車は1980年代に躍進、日本製スポーツモデルの黄金期と言われた1990年代を迎えます。
当初は高性能のために使われた、可変バルブ機構や電子制御燃料噴射技術、DOHCヘッドなども効率化のため緻密な制御を行うのに好都合。
ハイブリッドカーの登場もあって、「普通に走って実燃費がリッター二桁台なら燃費がいい」と言われた時代は1990年代後半に終わりました。
トヨタ プリウス(初代・1996年)
21世紀に間に合った、世界初の量販ハイブリッド乗用車
発表会でエンジン音を立てずにスルスルと初代プリウスが現れた時、世界は初めて「現実的な価格で買えて実用に十分な性能を持つ、モーターで走る電動車」を目にします。
まだモーターの役割は少なく制御も未熟、わずか58馬力のミラーサイクルエンジンは重い走行用バッテリーの充電切れでモーターアシストが止まると、1.2t超のボディに対して明らかにアンダーパワーと発展途上だったものの、当時の10・15モードは28.0km/L。
同時期の軽自動車が低燃費モデルでもせいぜい22km/L台だったのに対し、実燃費が常時10km/L台以上で収まる本物の超低燃費車であり、外部からの充電を要せず発進から低速までのもっともエンジンの効率が悪い領域で、モーター走行が可能でした。
普及のキッカケとなる大ヒットは3代目(2009年)を待たねばなりませんでしたが、世界を一変させたというインパクトで、初代プリウスは歴史に残るクルマです。
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本日の在庫数 9568台 平均価格 178万円 支払総額 28~829万円
ホンダ インサイト(初代・1997年)
打倒プリウスの究極エコカー
手強いライバル車を打倒するためのモデルはエコカーにも存在し、初代インサイトなど「とにかくプリウスより低燃費を叩き出す」に徹し、それ以外の全てを割り切った典型的な例。
初代プリウスが実用性にも優れた背の高い4ドアセダンなのに対し、小型軽量で空気抵抗も少ない絞ったボディへ大型バッテリーを積んだため荷室の床面が異様に高く、ほとんど何も載せられない2シータークーペです。
ホンダ初の実用ハイブリッドシステム「IMA」はトヨタの「THS」より効率的ではなかったものの、1リッターSOHC VTECエンジンと、わずか800kg台の軽量オールアルミボディ、後輪のほとんどにカバーまでかけた空力性能で、10・15モード燃費は驚異の32.0km/L。
CVT以外に5速MTも設定、プリウス以上の燃費スペシャルというより走りの良さで評価されるクルマでしたが、ここからトヨタvsホンダのハイブリッドカー対決が始まりました。
- 最新「インサイト」中古車情報
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本日の在庫数 399台 平均価格 103万円 支払総額 22~318万円
三菱 ピスタチオ(1999年)
ハイブリッドカーだけが超低燃費車にあらず!(たとえ50台限定でも)
究極の低燃費車として脚光を浴びたハイブリッドカーですが、軽自動車やリッターカー級のコンパクトカーでは初代インサイトのように、バッテリーなどシステムの容積や重量が過大で無理に搭載しても実用性がなく、実用性を持たせると燃費低減効果が期待できません。
そこで、自治体や一部法人向けにわずか50台限定販売という実験車ながら、ミニカをベースに1.1L GDI(直噴)エンジンとアイドリングストップなど効率化、装備の簡素化だけで、初代プリウス以上の超低燃費とベース車同様の実用性を両立したのが、ピスタチオでした。
三菱が後に燃費偽装スキャンダルを起こし、ピスタチオの30km/Lも非公式な燃費になったとはいえ、「軽自動車やリッターカーでも工夫次第でエコカーを作れる」と、ハイブリッドシステムに向かないクルマの将来性を証明したのは確かです。
※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。
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- 執筆者プロフィール
- 兵藤 忠彦
- 1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...