更新
スバル インプレッサ G4 2.0L 試乗レポ|高コスパな絶滅危惧種
#ロングドライブ試乗レポート_vol.45
#絶滅させないで
今回の試乗車は、2019年10月に大幅改良された「スバル・インプレッサ G4 2.0i-S EyeSight」。
目次
試乗インプレッション

まずは試乗インプレッションを結論からお伝えします。
詳細については後述します。先に、スバル・インプレッサをあまり良く知らない方向けの解説を。ご存知の方はお読み飛ばしくださいませ。

スバル・インプレッサとは?
初代デビューは1992年、現行モデルは2016年のフルモデルチェンジで5代目。初代インプレッサ WRX ではWRC(世界ラリー選手権)で3連覇を飾りブームに火を付けた。当時、ランエボこと三菱ランサーエボリューションは好敵手。初代よりスポーツセダン、スポーツワゴンの2つのボディタイプを展開している。初代から先代までは名機「EJ20」型エンジンを搭載したモデルをラインナップ、2019年に惜しまれながら生産中止へ。ラストモデル555台限定「WRX STICK EJ20 ファイナルエディション」の購入者はその10倍以上だったとか大人気。先代はSUV「インプレッサ XV」がデビュー、今では独立した車種「XV」に。セダンは「G4」と先代から名付けられた。





運転席に座った瞬間、「あ、乗りやすい」と感じた。

スバルさんへ取材すると、いつも耳にするのが「0次安全」。運転席に乗り込み、走る前から始まるクルマの安全がそれ。運転席から視界の良さは、その「0次安全」で重要なファクターとされています。インプレッサ G4は乗った瞬間に、セダンという高くない車高にも関わらず、視界の良さを感じました。クルマの四隅が直感的に、それも即感じられるところ、なるほど、これは安全につながるとなと取材で訊いたお話を再確認、体験しました。これは毎週違うクルマに乗っている筆者だから感じれるものではないはず。初めてハンドルを握るクルマを座ってすぐに「乗りやすい」と感じれるかどうかは、安全のみならず運転する愉しみにも繋がる重要な要素です。
全体的に扱いやすい、使いやすいセダン

全長4,640mm、全幅1,775mmと大きすぎないボディサイズは、狭いところでも取り回しに楽ですし、室内空間も必要十分に取れます。セダンとしての機能性、使いやすいインテリアに仕上げられています。詳しくは記事末尾の画像ギャラリーをご覧ください。
CVTが良くなってる。

筆者の自宅すぐ近くにある、カーシェアリングサービスに、一世代前のインプレッサ・XVのハイブリッドがあって何度か利用したことがあるのですが、停止状態からの加速がイマイチ、アクセル踏んでも進まない、もたつく、という印象を持っていました。2019年の2月に、スバルが毎年開催するメディア向け雪上試乗会で、現行XVで長距離を運転したのですが、その時CVTがよくなっていることを体感しています。
🔗蔵王温泉へXVで行く【SUBARUテックツアー第10弾雪上試乗会レポートVol.1】
試乗したインプレッサ G4は、それよりもさらに洗練された感じ。停止状態から、やや深めにアクセルを踏んだとき、踏んだ分だけきちんとエンジンの回転と加速がついてきます。もたつく印象はなくレスポンスよくスピードを上げていきます。2019年10月の大幅改良で、CVTの小型軽量化、変速比幅の拡大などがされており、それが走りの良さに大きく貢献しているのでしょう。
足回り、エンジン、ボディが良い。

恵比寿にあるスバル本社でインプレッサ G4 をお借りし、麻布方面に向かった数キロの時点で「なかなかいいじゃん」と感じました。前述したCVTの他、ボディ剛性の高さ、フラットな乗り心地、ちょうどいいパワフルさのエンジンといったトータルバランスが実によくまとめられいる、という印象を受けました。
試乗車のエンジンは新世代「BOXERエンジン」、水平対向2.0L直噴NA(自然吸気・ノンターボ)を搭載、ほぼすべての部品が新設計になり、軽量化、低摩擦化を実現したとのこと。なお、2020年になってからは、1.6Lエンジン搭載車が追加されています。

車両総重量は1,400kgと、軽くはない(AWDですし)ですがフロントが重たい重量配分になりますが、走りの印象は軽快。エンジン、トランスミッション、プラットフォームの三位一体がなせる技なのでしょうか。

「アイサイト・ツーリングアシスト」 が賢い

インプレッサ G4大幅改良モデルから、「アイサイト・ツーリングアシスト」が全車標準装備されました。時速0km~約120kmの全車速で、ハンドル、ブレーキ、アクセルの操作をアシスト、ドライバーの疲れを大幅に軽減しています。実際に使用してみましたが、この手の支援システムでは、車間距離の空け方、ブレーキのタイミング、減速後再加速などに難がありがちですが、さすがSUBARU。熟成された感があります。特に、嬉しいのは再加速性能。設定で4段階に再加速の度合いを変更できます。某社の某車の某システムでは、加速する気あるんかないんかはっきりせい、と言いたくなるようなシロモノもありますが…

また、歩行者保護エアバッグを装備、SUBARUが掲げる「死亡交通事故ゼロ」がここに顕れています。

コスパ高し!

運転支援系の先進システム、安全装備てんこもり、四輪駆動で、付いてないものを探す方が大変なくらいの装備が付き、スバルらしい心地よい走りを楽しめるインプレッサ G4、車両本体価格は300万円を切っています。コスパはとても素晴らしいです。
ひとつだけ付いてて欲しいなと思った装備は、ドアハンドルタッチ式のドアロック機構。リモコンのボタンを押さなくても車との距離でロック、アンロックしてくれたらさらに嬉しさアップします。まぁ、筆者の好み、ぜいたく品ではありますが。
21世紀になってから市民権を失いつつあるセダン。ことにミドルクラス以下のボディサイズのセダンは絶滅危惧種。セダンもなかなか良いのになぁと思う次第。最後にセダンとハッチバック、他のボディタイプとの比較を筆者主観で記し、セダンのそこそこの復興を祈願し筆を置くことにします。
セダンの良さとは?
今や、日本国内を走る車は背の高い軽自動車かSUVがマジョリティ、次いでよく見かけるのがミニバンで、セダンはマイノリティ。それもセダンはほぼドイツ高級ブランドと国産高級セダン。ミドルクラス以下のセダンはほんと少なくなりました。そこで、改めてセダン(も)好きの筆者がその良さを力説します!
ポイントをまとめると、
- 静粛性に優れる
- ボディ剛性に優れる
- 安全性に優れる
- 乗員ファースト
- 意外に荷物が積める
といったところ。少し視点を変えますと、
- SUVと比較すると維持費が安い
- 立体駐車場の高さ制限は気にしなくて済む
- どうせトランクは頻繁に使わないでしょ
- セダンはクルマの基本形だ
後半なかばやっかみになってしまいましたが、筆者的には以上9点となります。もう少し補足しましょう。
セダンは、エンジンルーム、キャビン、トランクと3つの箱が組み合わさった格好です。キャビンとうるさいエンジンは分離(他のボディタイプでも同じですが)、トランクも分離。SUVやハッチバックでは、音の出る後輪付近の荷室空間とキャビンが同一空間のため、遮音性、静粛性はセダンの方が物理的に有利になります。まぁ、令和時代のクルマでは、そこに差がでるようなことはなくなりましたが。ボディ剛性も同じく。箱3つなので頑丈にしやすく、乗り心地も良くなります。これも令和時代のクルマでは差がなくなってきていますが。ただ、絶対的にセダンが優位になるのは、後ろからの衝突時。俗に言う「カマを掘られた」とき、セダンならトランクルームが衝撃吸収ゾーンになり、乗る人の命を守ってくれます。
SUVと比較したとき、セダンは重量が軽くなります。このため、車種によっては自動車重量税が1ランク安くなります。また、タイヤもSUVよりセダンの方が小さく交換時の費用負担も少なくなります。これも車種によりけりですが、車体が比較して小さくなる(とくに断面にしたときの)ことから燃費にもプラス。
セダンは自動車が今の姿格好になる前のモータリゼーションを築いた、基本的なクルマのカタチです。いろいろな意味で「乗員ファースト」。運動性能もよく経済的。使いやすさでは下手なSUVよりセダンが勝ります。
インプレッサ G4は、国産車ではライバル不在のセダンです。ちょっとは売れてくれないと、このモデルで絶滅してしまう恐れがあるとか。押し売りはしませんが、買って損はないでしょう。迷ったらセダンのインプレッサ G4をお買い求めください。(この記事は広告ではありません)

撮影・文:MOBY編集部 宇野 智
























スペック・価格
スバル インプレッサ G4 2.0i-S EyeSight
全長 | 4,640mm |
全幅 | 1,775mm |
全高 | 1,455mm |
ホイールベース | 2,670mm |
車両重量 | 1,400kg |
乗車定員 | 5名 |
エンジン | 水平対向4気筒DOHC直噴 |
排気量 | 1,995cc |
最高出力 | 113kW[154ps]/6000rpm |
最大トルク | 196N・m[20kgf・m]/4000rpm |
駆動方式 | AWD(常時四輪駆動) |
トランスミッション | CVT |
使用燃料 | レギュラーガソリン |
燃費 | JC08モード燃費:15.8km/L |
新車車両価格 | 税込2,893,000円 |
- 最新「インプレッサG4」中古車情報
-
本日の在庫数 249台 平均価格 110万円 支払総額 37~230万円
- 執筆者プロフィール
- 宇野 智
- モーター・エヴァンジェリスト/ライター/フォトグラファー/ビデオグラファー/エディター エヴァンジェリストとは「伝道者」のこと。クルマ好きでない人にもクルマ楽しさを伝えたい、がコンセプト。元MOBY編...