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「逆に雨の日も楽しめる…のか?」初代スマートフォーツーの『クロスブレード』が開放的すぎる【推し車】

新ジャンル車でバギーを作るのは自動車メーカーの定番?

フェラーリのエンブレムはシャレだと思いますが、イタリアンレッドのボディカラーといい、妙に似合ってしまう flickr.com Author:Brian Snelson CC BY-SA 2.0

従来の概念を覆すような自動車が登場すると、その可能性を追求すべく、あるいは「いかにこれまでのイメージにとらわれない製品を実現すべく」などの理由で、ゲテモノじみた珍車を作ることがよくあるのですが、開放的なバギースタイルもゲテモノの定番。

最近だとシトロエンが電動クワドリシクル(超小型車)のアミでバギー車を限定販売しましたし、日本でもEVミニカー「コムス」の中古車をベースにしたバギー仕様が、東京オートサロン2022でお披露目されています。

画期的な2シーターマイクロカーとして誕生した初代「スマート」でも、「クロスブレード」を限定販売、オフロードやクロスオーバーというより、昔のミニ・モークみたいに陽気なビーチバギー風と考えた方がいいクルマですが、面白い乗り物ではありました。

初代スマートフォーツーの開放的すぎる「クロスブレード」

スラリとしたスポーツカーでもないのにこういうクルマを作ってしまうセンスは、ミニ・モークなどに通じるもので日本人にはなかなか…と思うが、ダイハツ フェローバギィ(1970年)の例もあるので実は万国共通かも flickr.com Author:Brian Snelson CC BY-SA 2.0

斬新なコンセプトで知られる時計メーカーの「スウォッチ」が企画し、実用化しようと組んだフォルクスワーゲンが呆れて投げ出し、次にパートナーとなったダイムラーAG(メルセデス・ベンツ)はモーター駆動を排除したので、スウォッチが手を引き。

こんなグダグダのゴタゴタがあったおかげで、気がついたらメルセデス・ベンツグループの実験用ブランドみたいな扱いになって、元々のコンセプトを考えた人は誰もいなくなったという、1998年に発売されるまで紆余屈折を経まくった「スマート」。

その代表的なモデルで、当初はブランド名だけで呼ばれ、後にバリエーションが増えると「フォーツー(For Two)」を追加された2シーターマイクロカーは、かなり奇怪な存在でした。

ヨーロッパでは昔からサイクルカー、クワドリシクルなどという名で存在するマイクロカーながら、従来からのモデルと違って6速セミATと組み合わせた598ccターボをリアに積んで高速走行も可能な、全長が極端に短い2シーターモデル。

日本なら「4人乗れる軽自動車でいいじゃん」となりますし、実際スズキが2人乗りの「ツイン」(2003年)は、チープな割に快適装備を揃えるとアルトより高い事もあって、全然サッパリまるっきり売れません。

しかし、当初宣伝された「スウォッチカー」というコンセプトやブランドイメージ、海外のデザインはハイカラに見えてしまう民族的なクセもあってか、日本ではいつの間にか、意識高い系向けマイクロカーとして定着した時期もありました。

それでも2002年に2,000台限定で「スマート クロスブレード」が発売され、日本にも輸入されるとわかった時は、ギョッとしたものです。

だって、屋根もドアもない4輪シティコミューターなんて、雨や雪が降りまくる日本でどう使ったらいいのか、かなり困惑しますもの。

撥水シートと防水性の高い内装で雨が降っても安心?!

これを日本でも「着こなせる」なら、クルマ趣味としてある意味での達人になれると思う…もちろん雨が降ってきて慌てるようではいけない。 flickr.com Author:Brian Snelson CC BY-SA 2.0

見ての通り、スマートクロスブレードには屋根がなく、それどころかフロントウィンドウの代わりに、走行風を乗員に直撃させないためのリフレクターがチンマリと生え、ドアの代わりは緩衝材が巻かれたサイドセーフティバー(※)しかありません。

(※「アームレスト兼用」だそうな)

こんなの雨が降ったらどうするんだと聞けば、シートは撥水加工してあるし、樹脂製の床面や防水処理された内装は濡れても問題ないので、安心して乗ってくださいというわけですが、人間が濡れるのは自己責任。

しかも室内を日光から守るトノカバーが標準装備ですから、駐車中は安心です…えっ走行中?ナイロン製だから走ったら破けちゃいますよ!と、万事こんな調子ですから、カリフォルニアならともかく、日本ではちょっとなーと思う人が多いでしょう。

しかし2,000台が限定販売されたうち、日本へは初期に25台が輸入されて抽選販売され、物好きなコレクターによる応募多数だったのか、他の国では案外売れずに余ったのか、後には追加で34台が予約販売され、合計59台が正規輸入販売されたそうです。

オープンカーというより、ミニ・モークのように雰囲気だけ味わう「ビーチバギー」に近いクルマですが、日本だと走らせてよい場面が限られるからか、発売から20年以上たった今でも、時々出てくる中古車の走行距離は多くてもおおむね数千km台。

必然的に「低走行で程度良好のレア車」となるため、それなりの値段がつきますが…皆さんなら買いますか?それで夏には近所の海水浴場でも行っちゃいます?水着を着ていれば、突然の雨でも安心かも…?

※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。

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執筆者プロフィール
兵藤 忠彦
兵藤 忠彦
1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...

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