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「RV」って何?RVブーム以前~1960年代までの「原始的RV」ダブルキャブピックアップトラックやライトバンたち【推し車】
目次
ボンゴで火がつき1960年代には既に数多かった原始的ミニバン
現在はFF低床の乗用車用プラットフォームへ、6~8人乗り3列シートを装備して、広い車内スペースを売りにしたものが多い「ミニバン」ですが、その原型はライトバンより少し遅れ、ボンネットを持たず全長にわたる箱型ボディのフルキャブオーバー車の登場以降です。
おおむね1960年あたりに800~900cc級小型バンの日野 コンマース、軽商用バンのくろがね ベビーやスバル サンバー(初代)が登場し、その時点でコンマースには10人乗りワゴンが存在し、サンバーにも4人乗りでワゴン的な快適性をカタログでアピールしています。
基本的には過積載にも耐える堅牢な足回りやシャシーを持つとはいえ、昔の道路整備が劣悪だった日本でドッシンバッタン走っていは中の荷物が傷みますから、むしろ乗用車以上に気を使った4輪独立懸架サスペンションなどの作りは、乗用ワゴンにも向きました。
もちろん、定員乗車と大量の荷物積載を両立する能力も現在と同様に重宝されますが、その能力をレジャー向きにも提案したのは1966年のマツダ ボンゴ(1966年)あたりが先駆けのようです。
フォルクスワーゲン タイプ2(いわゆるワーゲンバス)やサンバー同様、リアエンジン配置で最後列まで快適に乗れて、特に前輪への駆動伝達用プロペラシャフトがない時代で2列目はフラットで足元は広く、運転席もエンジンから遠くて快適。
それゆえボンゴは、フルキャブオーバー1BOX車全般が「ボンゴ」と総称されるほどのヒット作になりますが、ロータリーエンジンに傾倒したマツダに代わり、トヨタが初代ハイエースワゴン(1967年)や、800cc級のミニエースコーチ(1968年)を発売して定番化。
他にも1969年に三菱 初代デリカコーチ、ダットサン(日産) サニー/チェリーキャブコーチを発売するなど、各社ともフルキャブオーバー1BOXバンの「3列シートミニバン化」には熱心でした。
なお、フルキャブオーバー1BOXではありませんが、1964年に発売された短いボンネットを持つ1.5BOXバンのサットサン キャブライト コーチは、「国産ミニバン初のスライドドア車」(助手席側後席のみ)となっています。
まだレジャー用途というより、送迎用マイクロバス的な用途の方が多かったであろう時代の産物ですが、ミニバンこそが国産の原始的RVでもっとも発展していたジャンルです。
仕事だけじゃない!走りに遊びに楽しい2シーター「軽トラック」対決
- 執筆者プロフィール
- 兵藤 忠彦
- 1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...