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【日産 プレジデント(150型)】国産を代表するショーファーカーの初代
目次
プレジデントに代表されるショーファーカーとはどんな車?
高級車にも色々な種類がありますが、日産 プレジデントは誕生当時から国産車を代表するショーファードリブンカー(ショーファーカー)として知られます。
ショーファー(Chauffeur)とは「お抱え運転手」の意味で、運転手が操縦(=Driven(ドリブン))する車であることからそう呼ばれます。運転手付きが一般的であるため前席よりも後席が優先され、後席利用者がくつろぐための様々な装備・仕様が施されるのが特徴です。一方、高級車であってもオーナー自らが運転するのを前提とした車は、オーナードリブンカーと呼ばれます。
ショーファードリブンカーとして代表的なモデルには、国産ではこの記事で紹介する「日産 プレジデント」やトヨタ センチュリーが、外車ではロールスロイス ファントム、メスセデス マイバッハなどが有名です。
初代プレジデントは総理の公用車としても採用
プレジデント 150型がデビューしたのは1965年。セドリック スペシャル 50型の後継モデルとして登場しました。当時の国産セダンは1.5Lクラスのファミリーセダンが主流のなか、ホイールベースは余裕の2,850mmとし、最高級モデルとしています。ちなみに同時期に発売されたプリンス スカイライン 1500 デラックスのホイールベースは2,390mmですので、プレジデントがいかに大きかったかが伺えます。
デザインでは直線基調としながらも、大きさを主張しずきず角がとれたメローな仕上がり。ホイールベースは大きく後席優先としていますが、Aピラー・Cピラーともにクウォーターピラー(三角窓)を設けるなど、ドライバー・前席側にも配慮したデザインが採用されました。
グレードにはA・B・C・Dが用意され、Dが最上位グレード。画像の車両はCグレードです。A・Bではエンジンが3.0L 直列6気筒OHVとなるH30型が、C・Dではエンジンは3.0L V型8気筒OHVのY40型が搭載されています。初代 プレジデント 150型は、1973年に2代目プレジデント 250型にバトンタッチされるまで約8年にわたり国産ショーファーカーとして活躍しますが、そのなかには当時の佐藤栄作総理の公用車や、警視庁交通機動隊に納入された速度取り締まりパトカーとして使用されたものもありました。
国産初のパワステも搭載!初代プレジデントの豪華な快適装備
プレジデント 150型のエンジンには前述どおり3.0L 直列6気筒(H30型)と、当時としては非常に珍しい3.0L V型8気筒(Y40型)が搭載。H30型では最高出力を130PS、Y40型では180PSを達成しています。
さらに特筆すべきは何といっても先端技術・快適装備の充実ぶりでしょう。いくつかあげてみると、乗用車で国内初採用となるパワーステアリングをはじめ、リモコン式フェンダーミラー・パワーウィンドウ・熱線入りリアウィンドウ・防眩インサイドミラー・無段変速ワイパー・パワードアロックなどが装備。さらに後席用にトランクマウントとなるクーラーも用意される豪華さで、まさにショーファーカーにふさわしい仕上がりとしています。
日産 プレジデント 150型はめったに流通しない超稀少車!
日産 初代 プレジデント 150型は今ではめったに流通しない超稀少車となっているため、出回った場合、どの位の価格となるかは残念ながら不明です。ちなみに誕生時(1965年)の新車販売価格は300万円となり、同時期に販売されたプリンス スカイライン 1500 デラックスの73万円と比べてもその高額さはダントツとなっていました。出回った際の価格は非常に興味深いと言えるでしょう。(2019年8月時点)
- 最新「プレジデント」中古車情報
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本日の在庫数 48台 平均価格 178万円 支払総額 75~450万円
日産 プレジデント 150型のスペック詳細
下記スペックは、1968年式のY40型(V型8気筒)搭載のC・Dグレードのスペックとしています。
・エンジン:V型8気筒OHV
・最高出力:180PS/4,800rpm
・最大トルク:32.0kg・m/3,200rpm
・ボディサイズ:全長 5,045mm 全幅 1,795mm 全高 1,460mm ホイールベース 2,850mm
・車両重量:1,600kg
・トランスミッション:3速AT
・駆動方式:FR
・乗車定員:5人
・新車時車両価格:300万円
撮影:宇野 智(MOBY)
※2019年6月、日産自動車がメディア向けに開催した、神奈川県座間市にある「日産ヘリテージコレクション」の取材会にて撮影
- 執筆者プロフィール
- 石黒 真理