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【日産PAO(パオ)】冒険を求めて!車をファッションに高めた名車

既成概念を破る!パオ誕生秘話

日産 パオ フロント サイド
ドアヒンジの半露出、バンパーはパイプ状など、全てに統一感があるパオ

1989年にデビューしたPAO(パオ)は、日産が80年代から90年代にかけて発売した「パイクカー」シリーズの第2弾。当時の日産は「技術の日産」のスローガンのもとプロジェクト901を立ち上げるなど意欲に熱く、さらにデザイン性においても優秀性を図ろうとする方針が示されました。

パイクカー第1弾モデル「Be-1」のヒットで市場の手応えを感じた日産。第2弾モデルのコンセプト決定に際し、当時異例だったアパレル企画会社ウォータースタジオ(現:ウォーターデザイン)に引き続き協力を依頼します。第2弾モデルの開発には「世間の車に対する既成概念から一歩踏み出すこと」「~している気分を味わえること」「車の序列・格付けにはこだわらないこと」などが掲げられました。

それを証明するように、パオ発売時のカタログには「街を見まわすと、なんだかみんな冒険を求めている。でも、未開の地とか秘境に挑むには、金も暇も勇気もない。それなら頭の中で、心の中で冒険しましょ。(1989年1月発行パオカタログより一部抜粋)」というコピーが採用され、大きな反響を呼びました。ちなみにパオの車名は中国語の包(パオ)に由来。モンゴル遊牧民が使用する移動式家屋ゲルを中国読みしたものです。

ベースカーとはまるで別物。個性が際立つパイクカーとは

日産 Be-1 フロント サイド
日産パイクカー第1弾。参考出品されるなり高い反響を呼んだBe-1(日産自動車広報画像)

パイクカーとは、デザイン性が高く尖った印象の車や、ベースカーと全く違った印象を持ち個性を際立たせたデザインの車のこと。古い時代に兵士が使用した槍の一種であるPike(パイク)に由来しています。

日産ではこのパイクカーをシリーズ化し、1987年第1弾となるBe-1を発売。限定1万台の販売台数は約2ヶ月で完売し大きな話題となりました。第2弾となるのがこの記事で紹介するパオ。その後フィガロ、ラシーン、エスカルゴなど次々に新モデルを発表します。

極めてシンプルにして緻密なパオのデザイン

日産 パオ リア サイド
上下開きとなるテールゲート。ランプやナンバー灯もキュート

パオのベースとなったのは初代マーチK10型ですが、マーチの面影はどれ1つ見当たりません。ボディはフレームにわざと張り付けたのみに見えるパネルに、アクセントとしてボンネットやサイドにはプレスラインが。ヒンジは半露出、パイプ状バンパー、開閉可能な三角窓・フリップアウト式(内側押し出し式の開閉窓)のリアクウォーターウィンドウ、上下開きとなるテールゲートを採用。ボディカラーはアーシーカラーと呼ばれる専用色のアクアグレー、オリーブグレー、アイボリー、テラコッタが用意されました。

内装ではさらにスッキリとした印象で、ボディ色に統一されたスチール製平面インパネに大ぶりの一眼丸形メーター、ステアリングは直線・2本スポーク。エアコン・カーステレオはオプションで、スイッチ類もあえてクラシックに仕上げられています。

パオは一見すると無駄なものを排した極めてシンプルでありながら、実は全てが統一され「わざとシンプルに見える」緻密な計算がなされたデザインであると言えるでしょう。

自分らしいカスタマイズで楽しむのが「パオ流」

日産 パオ 内装
スチール製インパネが逆に新鮮!

パオのボディバリエーションは、ルーフがメタルトップとキャンバストップ。パワートレインは初代マーチのノーマルグレードと同等とし、エンジンは1.0L 直列4気筒SOHCのMA10S型、トランスミッションは5速MT・3速AT。最高出力52PSとしています。サスペンションにはフロントがストラット、リアが4リンクコイルです。

パオは約30年前の車でありながら、発売以来自分なりのカスタマイズで楽しむユーザーが多い車。計器・スイッチ類・シート・ドアノブ・時計・インパネ・さらにボディカラーやエンジンなどをカスタムし、自分らしい唯一の1台としてライフスタイルに溶け込んでいるのがパオ流と言えるようです。

パオは今でも人気車!流通量も多め

パイクカーシリーズのなかで一番の売れ行きを誇ったパオの流通量は、30年前の車とはいえ多く、中古車価格は15万~138万円となっています。高価格となっている個体はキャンバストップやワンオーナー車、エアコン装備車、レストア済みなどとなっているようです。(2019年9月時点)

日産 パオのスペック詳細

・エンジン:直列4気筒SOHC(MA10S型)
・最高出力:52PS/6,000rpm
最大トルク:7.6kg・m/3,600rpm
・ボディサイズ:全長 3,740mm 全幅 1,570mm 全高 1,480mm ホイールベース 2,300mm
・車両重量:760kg
トランスミッション:5速MT/3速AT
・駆動方式:FF
・5人
・新車時車両価格:-

撮影:宇野 智(MOBY)
※2019年6月、日産自動車がメディア向けに開催した、神奈川県座間市にある「日産ヘリテージコレクション」の取材会にて撮影

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この記事の執筆者
石黒 真理