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日本車に対抗するために提携しよう」海外メーカーから発売されたいすゞ車たち【推し車】
「日本車」という括りはあるものの、日本車メーカーでも時に輸入車を自社ブランドで売る事があるように、日本車が遠く離れた異国で、海外メーカーのブランドをつけて売られる事も少なくありません。
長らくGMグループの一員であり、現在も提携関係は続いているいすゞ車など典型的な例で、GMが北米などで売るクルマをずいぶん作ってきました。
今回はその中の代表的な3台を紹介しましょう。
シボレー LUV(初代・1972年)
ピックアップトラック「ファスター」の米GM版
後に深刻な対米貿易摩擦の原因となる日本車の北米進出は、まずは安価な大衆車やトラックなど実用車から始まり、特にミニトラックとも呼ばれた小型ピックアップトラックは、日本では大柄過ぎるトラックに慣れた米メーカーにとって、むしろ不得意分野でした。
しかしそこは合理的発想の国アメリカで、日本車に対抗するもっとも手っ取り早い手段は日本車メーカーと提携し、日本のピックアップトラックを売ることだというわけで、GMもいすゞを傘下に置いてすぐ、いすゞ製ピックアップトラックの販売を始めました。
それがいすゞ ファスター(初代)のGM版で、低価格ブランドのシボレー LUVとして発売、目論見通りに好評を得たLUVはヒット作となり、GMがこのカテゴリーで一定のシェアを得る足場づくりに貢献したのです。
シボレー/ジオ スペクトラム(1984年)
2代目ジェミニの米GM版
初期の規格型ヘッドライトなど、フロント周りの北米仕様化が、デザイナーの巨匠・ジョルジェット・ジウジアーロをかなり不愉快にさせたものの、その後のデザイン改善で気を取り直したエピソードを持つ、スペクトラムは、2代目いすゞ ジェミニのOEM版。
「シボレー」ブランドの大衆/若者向けセダンとして販売好調、1989年にGMがシボレーよりさらに低価格帯ブランドの「ジオ」を立ち上げるとブランド移籍、モデル末期は「ジオ スペクトラム」として販売されました。
初代ジェミニの頃は乗用車にそれほど期待されておらず、ベレット後継がどうしても必要とねじこんでようやく、オペル カデットCがベースのジェミニを作れたくらいでしたが、このスペクトラムで信頼を得て小型乗用車でも重用されます。
しかしその結果、3代目ジェミニで早くも開発・生産能力不足を露呈してしまい、乗用車メーカーとして短命に終わったのは皮肉な事です。
- 最新「ジェミニ」中古車情報
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本日の在庫数 18台 平均価格 173万円 支払総額 60~659万円
アスナ サンファイア(1992年)
2代目ピアッツァのカナダ向けGM小型車ブランド版
同じ北米でもアメリカよりはるかに市場規模が小さいなど、アメリカと同じ販売網では問題があったカナダにおいて、GM各ブランドから需要のある車種を集め、統一ブランドで販売するのを目的としたカナダ版GMブランド「アスナ」。
当時、アメリカの低価格帯ブランド「ジオ」で販売されていたいすゞ車もアスナへ供給される事となり、インパルス(日本名ピアッツァ)の2代目が「サンファイア」の名で販売されました。
ただし発売直後、開発・生産能力の限界で3代目ジェミニ系(ジェミニ各車、ピアッツァ、PAネロ=ジオ ストーム)の熟成不足や供給遅延と問題を抱えたいすゞは、経営資源を商用車やSUVへ集中するため乗用車から撤退。
サンファイアもわずか1年程度しか販売されず、「アスナ」自体もGMの場当たり的なブランド戦略が見直されると、わずか3年ほどであっさり廃止されてしまいました。
※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。
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- 執筆者プロフィール
- 兵藤 忠彦
- 1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...