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「木目調が最高にシブい!」日本初のスポーツワゴン?シビックカントリーとは【推し車】
目次
地味な2代目「スーパーシビック」の派手な派生車
43年前にホンダが2代目シビックの派生モデルとして発売した同社初のステーションワゴン「シビックカントリー」。
2代目シビック自体は初代ほどのインパクトに欠け、サイズアップはしたものの上級のアコードほどではなく、中途半端なコンセプトで地味な存在に終わりましたが、それだけにシビックカントリーのような派生車は次世代の布石として重要です。
初期1,500台には発売記念で標準、その後はオプションだった木目調サイドパネルなど、1970年代末に始まった初期RVブームに合わせた遊び心も加え、ユーザーの好みが多様化していく1980年代半ばにはシビックシャトルへと発展していきました。
ホンダ初、LM700/800も入れれば2発目のステーションワゴン
4輪車進出以来、S500/600/800といったスポーツカー「S」やT360の排気量拡大版T500といったラインナップで始まったホンダの小型車ですが、1965年にはライトバンのL700とピックアップトラックのP800も発売。
このうちL700には豪華仕様の「LM700」、および後にL800やP800同様、排気量を拡大した「LM800」もラインナップしており、Sシリーズ由来のDOHCシングルキャブエンジンを積んでいることを考えれば、商用登録とはいえ「日本初のスポーツワゴン」とも言えました。
その後も販売実績が良好なら追加されたはずのホンダ1300バンにだってLM的な豪華仕様や、乗用登録のステーションワゴンが追加されたかもしれませんが、まず同社に必要だったのは小型車市場で好評を得てガッチリ食い込む足がかり。
そういう意味で初めて成功したのは初代シビック、続いて上級車種の初代アコードで、これらは4ドアセダンやライトバンなど、多様な車種展開を実現するためのベーシックモデルでもありました。
1979年7月にモデルチェンジした2代目シビック、通称スーパーシビックには、当初から3/5ドアハッチバックと5ドアバンをラインナップ、最後のシビックバンをベースに、ホンダ初の乗用登録ステーションワゴンとして1980年1月に発売したのがシビックカントリーです。
1979年代末に始まった初期RVブームに対応
日本では1970年代末頃より、バンやピックアップといった商用車、クロカン車をオシャレにコーディネートしたり、レジャーで使い倒す「初期RVブーム」が到来しており、1990年代の大ブームほどではありませんが、メーカー各社も特別仕様車や新型車で対応します。
ホンダもステップバンなどが中古車市場で人気になり、1981年にはアクティバンをベースとした乗用ユースモデル(登録上は商用車のまま)の「ストリート」を発売しており、シビックカントリーも、そうした流行の追い風を受け、満を持しての登場でした。
基本的にはシビックバンをベースに、内装のフルトリム化と洒落たカラーコーディネートで質感を上げ、後席は4段階のリクライニング調節が可能なほか、運転席横のボタンを軽く押すだけでテールゲートのロック解除が可能な、電磁式テールゲートオープナーも追加。
前方に畳めばフラットなラゲッジスペースを生み、車幅いっぱいのテールゲートや低床ラゲッジによる積み下ろしのしやすさなどはシビックバン譲りです。
エンジンはバンの1,335cc70馬力から、60〜70kgほど増えた車重を補ってあまりある1,488cc80馬力のCVCCエンジンで、スポーツワゴンとまではいかないものの、シビック譲りの活発な走りが期待されます。
面白かったのは、発売記念として初期の1,500台にはボディサイドへ木目調サイドパネルが標準装備されたこと(それ以降はオプション)、そして「シビックワゴン」ではなく、あえて「シビックカントリー」と名乗ったことです。
これは同時期同クラス車の日産 サニーカリフォルニアと同じく、「バン」と同義に捉えられていた「ワゴン」の名を嫌ったらしく、バンと見た目上の差別化を図った木目調サイドパネルもサニーカリフォルニアと共通でした。
ワゴンブーム到来!とはいかず、地道な実績づくり
しかし、1990年代のRVブーム中に人気となったステーションワゴンと異なり、シビックカントリーの販売実績ははかばかしくなかった、と言われています。
「リアサスがバンと同じリーフリジッドで、走り味も当然バンそのもの」だったことや、木目調サイドパネルがないとライトバンそのものな見た目、スポーツ性を期待できるほどではないエンジンなど、「結局はバンの乗用モデル」と看破されたのが原因だったようです。
バンではなく、ホイールベースが同じ5ドアハッチバックや4ドアセダン(1980年9月追加)をベースにワゴン化すれば話は別だったかもしれませんが、まだワゴンブームでもない当時、そこまで踏み切ることはできませんでした。
それでもシビックのステーションワゴンがこれ1台で終わったわけではなく、次の3代目(ワンダーシビック)や4代目(グランドシビック)には後継の「シビックシャトル」がラインナップされています。
特に4代目ベースの2代目シビックシャトルは、現在でいうクロスオーバーモデルの「ビークル」をラインナップ、ラインナップが乏しいホンダの数少ないRVとして長らく生産されて根強い人気を誇るなど、シビックカントリーの蒔いた種は確実に育ちました。
※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。
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- 執筆者プロフィール
- 兵藤 忠彦
- 1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...