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笑福亭笑瓶×アウディ A8:Vol.1「世界最高のセダン」MOBYクルマバナシ
【Profile】笑福亭笑瓶1956年11月7日生まれ。大阪府出身。
愛車:アウディ A8、メルセデス・ベンツ 500SL
Vol.1:「世界最高のセダン」
本日お持ちいただいた愛車はアウディ A8ですが、何か購入の決め手はあったのでしょうか?
元々ビッグセダンが大好きで、初めて買ったセダンはベンツの230E。中古で150万円くらいやったかな。そこからヨーロッパ車にハマって、これまでベンツのSクラス、BMW 7シリーズ、ジャガー XJ、それからベントレー フライングスパーと乗り継いで……流れ流れてアウディ A8 ロングに。
アウディA8のこだわりのポイントを教えてください。
今までは中古とか、新車でも在庫車を乗り継いでたんやけど、アウディ A8は初めてドイツ本国にオーダーメイド。外装のカラーはもちろん、内装のシートカラーからウッドパネル、手すりをウッドにしてもらうとか、細かいところまで決めさせてもらいましたね。
つり革をウッドに変えてる人なんか殆どおらんと思うし、完全に同じ車は2台もないと思うねん。
現在所有されている愛車は、このアウディA8とメルセデス・ベンツ 500SLでしたよね。
東京に来て間もない頃……バブルに向かって景気が良くなって行く東京で、はじめに見たのが500SECのケーニッヒだったんやな。映画『バットマン』のバットモービルみたいやなと。かっこええなと。
それで500SECのケーニッヒを中古で手に入れて乗ってたんやけど、昔のテレ朝の近く、今の六本木ヒルズのところに500SLのABCっていうフルモデルチューンしてある車が路駐してあって、これもかっこええなー思うて。でも目が飛び出るほどの価格やからね。高嶺の花で、それを舌舐めずりしながら見てたんやけど、バブルが崩壊した後かな。知り合いの車屋さんが中古のケーニッヒチューンの500SLを見つけてきて、「ありましたよ」と教えていただいて。それで無理して買って、もう20年以上保有していますね。
頻繁に車を乗り換えられている印象ですが、500SLだけは所有し続けていらっしゃいますよね。
頻繁というわけでは……大体3年から5年おきやね。
500SLは自分にとってあまりにも衝撃がデカい車だった。ケーニッヒのワイドボディにしてて、おしりが綺麗でセクシーやからね。
なんやろうね、無理して手に入れたところもあるしね。当時はバブルが弾け、不景気なっていくにも関わらず500SLを手に入れたわけやから、すぐに手放しても損するだけやと。
乗れない状況になることも考えた上で、経済的に許すならば……と甘えさしてもらって、宝物みたいに保持してる感じ。
車に対して一途なのですね。
今乗ってるアウディ A8に関しては、車が届く頃にはすっかり冷めてたけどね(笑)。
というのもドイツに発注したあと、生産してから船でスエズ運河を渡って、インド洋やら南シナ海を通って……その一連の流れを逐一電話で報告してもらったんですよ。「今東シナ海です!」という報告に「遅いんちゃう?」と返せば、「いやいや、こんなもんですよ!」って。届くのに半年は待ったね(笑)。
俺は冷めるのが早いから、時が経つにつれてどんどんテンションが下がる。半年も待たされると「もういらんな」「ミュルザンヌも中古なら手え届くんちゃうん?」「ジャガーがええの出しとんなー」とか、色々気が変わってた。
普通なら心待ちにしてた車がようやく届くと嬉しいですよね。営業所も「オーナー様!よかったですね!」ってキーを贈呈してお祝いするらしいんですけど。俺はアウディ A8が手元に来た頃には、もうすっかり……(笑)。
そうすると、実際に初めて乗られた時も?
冷めてたね(笑)。でも、A8はやっぱり評価が高いよね。整合性というか、居住感とか、いかなる状況においてもこれほど完成された4ドアセダンは他に類を見ない。
発売されてから3〜4年は経ってるから日進月歩でA8の上をいく車もあるかもしれんけど、これが出た時はそのように『世界最高のセダン』って評価されてたよね。
笑福亭笑瓶さんが所有するアウディ A8。ボディカラーはシンプルなブラックで、極限までムダが削ぎ落とされたシルエットが一層と映える。
シリーズ3代目となるこのアウディ A8は、『The Art of Progress(革新の美学)』というコンセプトのもとに開発された。細部まで光る美しいデザインと最新テクノロジーが融合した、アウディを代表するフラッグシップモデルである。
インテリアは全て笑福亭笑瓶さんによるオーダーメイド。ベージュのレザーをベースに、ハンドルやシフトレバー、グリップには天然ウッドが採用され、やわらかな雰囲気が漂う。
リアに記された『A8 L』の”L”は『ロング』の意。ロングモデルはホイールベースが130mm拡張され、後部座席の居住性がより高められている。
笑福亭笑瓶さんの審美眼にかなったんですね。ベントレーのミュルザンヌも欲しいと以前おっしゃっていましたよね。
以前ベントレー フライングスパーを高望みした時「試乗されたらどうですか?」と言われまして。第三京浜まで行ってちょっとアクセル踏み込んでみたら、エンジンが「ンーーーーーーーー!」って。
ベントレーはフルタイム4WD・ツインターボでしょ。普通のFRだと加速した時に、「ぐん」と体が後ろに引っ張られる。ところがベントレーは前輪でも引っ張りよるから、アクセル踏み込んだら「ンーーーーーーーー!」いうて、そのまま走りよんねん。今まで感じたことのない走行感覚なわけよ。リビングがそのまま動いてる、みたいな。
ほんで次乗る車を考えた時に、アウディが思い浮かんだ。アウディも4WD・ツインターボで、ベントレーと同じ仕組みなんよ。それでよくよく話を聞いてみたら、ベントレーもアウディも同じグループだと。
「はっはー、そうきましたかアウディさん。それにしたらリーズナブルな価格になってますねえ」みたいなね(笑)。手厚い装飾はベントレーの方が良いやろうけど、エンジンに関しては「同じだ」「さすがだ」という感覚が走りますね。
ビッグセダンでいうたら、乗るのはこのアウディ A8ロングが最後やと思う。60歳を超えて、これを何万キロ乗るのかわからんけど。
ビッグセダンに目がないという笑福亭笑瓶さんが、はじめて新車で購入された現在の愛車・アウディ A8ロング。外装から内装までドイツ本国にオーダーメイドしたというこだわりが光る、非常に上品な1台でした。
次回“MOBYクルマバナシ”第2回では、笑福亭笑瓶さんの幼少期・青年期の車にまつわるお話をお伺いします。お楽しみに!
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Vol.2「淫美な秘密基地」
Vol.3「惚れ抜いた感情」
Vol.4「車って夢があるよな」
Vol.5(最終回)「最後の避難場所」
取材:米永豪、田神洋子
撮影:市川晶
文:米永豪
編集:田神洋子
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- 執筆者プロフィール
- MOBY編集部
- 新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...