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減衰力とは?特性や調整方法と可変ダンパーのダンピングのセッティングについて

車を安定して走らせるためには、サスペンションダンパーによる減衰力が非常に重要な役割を果たします。ダンパーが発生する減衰力のダンピング特性の解説とともに、減衰力可変ダンパーの調整の仕方、セッティング方法などを解説します。

減衰力とは?

ショックアブソーバー

©iStockphoto.com/ pomxza

車のサスペンションは、コイルスプリングと、ダンパー(ショックアブソーバー)によって構成されています。
ダンパーとは、大きく早い力が加えられたときに、その力をゆっくりした動作へと変換する機能を持ちます。
そのゆっくり動作させる力のことを“減衰力”といいます。
“減衰力”とはその名のとおり、ダンパーに入力された大きな力を、次第に弱くするための力のことを指します。
dumper(ダンパー)のdampとは"ゴミを捨てる"という意味を持ちます。
ダンパーに加わる大きな力を、オイルの抵抗により熱に変換して、ゴミを捨てるように、少しづつ力を弱めるという意味です。

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車における減衰力

ショックアブソーバ ダンパー減衰

車が走行する際は、路面の凹凸をコイルスプリングが吸収しています。
しかし、サスペンションのコイルスプリングは要するにバネですから、力を加えて縮ませれば、それだけ大きな力で伸び上がろうとします。
もしダンパーがなく、スプリングだけの車があったとしたら、常に上下に揺すられながら走る、遊園地のアトラクションのような車になってしまうでしょう。
しかも、サスペンションに加わる力は速度が高まれば高まるほど大きな力となります。
その力は、一輪あたりの重量×速度の2乗で大きくなるため、その状態で高速道路など走ろうものならポンポン跳ね回り、まっすぐ走らない上にハンドルも効かない危険きわまりない車になります。
そのスプリングの動きを抑えるために、車のサスペンションにはダンパーが装着されます。
走行中にスプリングが発する大きな力をダンパーによって減衰させることで、車は安定して走行することができるのです。

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2つの減衰力

荒れた路面をハイスピードでコーナリングするラリーカー

減衰力には二種類の特性があります。
一つは路面の凹凸を越えたときなどに発生する“早い動きに対する減衰力”。
もう一つが、ブレーキを踏んだときやカーブを曲がるときなど、車体が傾く際の“遅い動きに対する減衰力”です。
実際には減衰力は二つに分かれているわけではありませんが、考え方として、このように分けたほうが減衰力というものを理解しやすいと思います。
荒れた路面をハイスピードでクリアしなければいけないラリーカーなどは、特にダンパーの減衰力のセッティングが重要です。
この二つの減衰力をいかに高いレベルで両立するかが車のサスペンションにおける最大の課題なのです。

早い動きに対する減衰力

凹凸を乗り越えたときに発生する、いわゆる"突き上げ"といわれる現象。
これは、ダンパーが大きすぎる減衰力を発生させるために起こります。
そのときのダンパーの動く速さは、およそ毎秒0.3メートルほど。
これを“早い動きに対する減衰力”とします。
ダンパーはその構造上、オイルの抵抗によって減衰力を発生させます。
そのため、入力される動きが早ければ早いほど、大きな抵抗を生じることとなり、突き上げ感が増すことになります。
ということは、乗り心地をよくするためには減衰力は弱い方が良いということになります。
しかし、弱すぎる減衰力では走行中の車体はフラフラと頼りないものとなってしまいます。

遅い動きに対する減衰力

加減速時の前後の動きをピッチングと言い、コーナリング時の左右の傾きをロールと言います。
これら車の姿勢を制御するのもダンパーの減衰力が仕事をしています。
毎秒0.1メートル程度の遅い動きを指し、“遅い動きに対する減衰力”とします。
弱い減衰力のダンパーや劣化したダンパーを装備した場合、曲がろうとハンドルを切って車体がロールした瞬間にグラッと傾くと非常に怖い思いをします。
またブレーキを踏んだ瞬間、ガクンとつんのめり、前傾姿勢になってしまうと、大きな加重移動が起きて車の直進安定性が崩れてしまいます。
速度が高い場合にはバランスを失ってスピンしてしまう恐れもあります。
これらの現象は、減衰力が弱く、車の姿勢変化が速すぎるため起こります。
サーキットなど、高い速度域で減衰力を高めるのは、車の姿勢変化のスピードを減衰力を高めることで抑えこみ、コントロール性を確保するためなのです。

ピッチングやロールについては以下の記事を参考にしてください。

減衰力調整ダンパー

アフターマーケットで減衰力調整ダンパーなるものが販売されています。
これは減衰力を任意に調整できる機構を持ったダンパーです。
アッパーマウントや、下部のダンパーシリンダーに付いた調整ダイヤルでダンパー内の抵抗値を可変させ、減衰力を車の使い方に合わせて調整できるものです。
"無段階調整"とうたっていても、上限なしに減衰力を高められる訳ではないということには注意をしてください。
あくまで、そのダンパーに設定された範囲内で無段階に調整できるということです。
ダンパーは伸縮するものですから、伸び側と縮み側の減衰力のどちらか、またはそれぞれを独立して調整できるもの、両方を同時に可変させるものなどがあります。
メーカー各社でそれぞれ特長がありますので仕様を確認の上、選ぶことが大切です。

減衰力調整ダンパーでできること

減衰力を調整できるということは乗り心地とハンドリングを使用目的にあわせて調整できるということです。
家族や恋人を乗せてドライブのときは減衰力を弱めて乗り心地重視に。
一人でワインディングを楽しむときは減衰力を強めてダイレクトなハンドリングとコントロール性を優先させるという風にです。
とはいえ、いちいちセッティングを変えるためにフードをあけるのも手間なので、普段はオールマイティはセッティングに落ち着くと思います。
ちなみに、製品によってはダンパーにモーターをを取り付け、車内から減衰ダイヤルを調整できる製品もありますので検討してみてください。

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減衰力のセッティング

一般公道におけるセッティングは安全第一です。
あまり極端なセッティングは重大な事故に繋がる恐れがあるため控えた方がよいでしょう。

まずは、荒れた路面を普通に走行するより高めの速度で走行してみて、車がフラつかないところまで減衰力を上げます。
そこを基準として、あとは好みで調整するのがよいでしょう。
リアの減衰力はその変化を感じ取りやすいのですが、直進安定性に関わってくるので念入りに調整したいところです。
リアを強めすぎると、車が跳ねて唐突な挙動をする傾向にあります。
リアを弱めすぎると、いわゆる腰砕け感がでてしまいますが、フロントに対してリアを弱くすれば、大きく乗り心地に貢献します。

変化を楽しみながらいろいろと試してみてください。

サスペンションの過渡特性

レクサス LS500 F SPORT 外装

純正ダンパーは、低速の街乗りから、高速道路までのあらゆる条件での使用を想定してセッティングされ、出荷されます。
しかし、コストの兼ね合いもあることから、やはり低速ではコツコツと突き上げ感があり、速度を上げればフラフラとして安定しないという妥協した減衰力のセッティングの傾向にせざるをえません。
しかし、近年の車は常用速度域の高い海外での販売も視野に入れていることもあって、純正ダンパーでも質の良いものが使われるようになっています。
純正ダンパーによほどの不満がないかぎり、ある程度へたってから交換した方が、交換したときの恩恵が大きく感じられると思います。

車の姿勢制御の基本特性を決めるのがスプリングの仕事だとすれば、その過渡特性を決めるのがダンパーの減衰力の仕事です。
しかし、車の姿勢制御はサスペンションだけで決まるわけではなくボディを含めた車全体で考える必要があり、非常に奥深いものです。
一度はまりこむと面白くて抜け出せなくなる恐れがあります。
あまりの深入りにはくれぐれもご注意ください。

サスペンションに関する記事はこちら