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減衰力とは?調整すると乗り心地は変わる?車高調・可変ダンパーのダンピングのセッティングも

減衰力を理解するために知っておくべき基礎知識

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ばねはロール量を決める

コイルスプリングに代表される各種ばねは、自動車のロール量(車体がどれくらい左右に傾くか)を決定づけます。各ばねにはバネレートというものが決められていて、1mm縮めるために必要な力を示しています。

例えば10kg/mmであれば、10kgの力がかかるとばねが1mm縮むということです。

ショックアブソーバーはばねの振動を抑える

前述のようにばねは縮むわけですが、ばねを縮める力がなくなれば反力で伸びてくることは周知のとおりです。その反力をしなやかに逃がして抑えることがショックアブソーバーの役割であり、そのために使われる力が減衰力なのです。

ショックアブソーバーがなくスプリングだけのサスペンションが装着されているとすると、その車は凹凸がある路面で縮んでから、長い時間ぼよんぼよんとはね続けます。

また、ショックアブソーバーの減衰力は、コーナーリング時の自動車のロールする速度(ロールスピード)にも影響を与えます。これはぜひとも覚えておいてください。

ばねやショックアブソーバーで使われる単位

減衰力関連でよく使われる単位を紹介しますと、まず1つがピストンスピードです。

ショックアブソーバー内部で動いているパーツで、単位m/sec(1秒あたりに何メートル動くのか)で表されます。この単位が出てくる際には共にN(ニュートン)あるいはkgfが使われ、減衰力の大きさを表します。

もう1つがばねの単位です。先ほども少し紹介したバネレートのことで、そのばねを1mm縮めるためにどれくらいの力が必要であるのかを表しています。例えば10kg/mmであれば、10kgの荷重(力)がかかったときにばねが1mm縮むというわけです。

ショックアブソーバーの圧側・伸び側

ショックアブソーバーが縮むときの減衰力は圧側、反対に伸びるときの減衰力は伸び側と表現されるのが定番です。この知識は、減衰力調整可能な車高調を導入してセッティングする際に大いに役立ちます。

速いピストンスピードと遅いピストンスピード

前半部にてショックアブソーバーの構成部品の1つにピストンがあると説明しました。ピストンが動く速度の違いは、発生する減衰力の大きさに影響します。

ピストンスピードが速くなるにつれ、より大きな減衰力が発生する特徴です。実際、コーナーリング時にロールしてもサスペンション経由で衝撃は伝わりませんんが、段差を越すときには強い衝撃が車内へ伝わってきます。

前述の事例からわかるように、コーナーリング時(ロール時)のピストンスピードは遅く、反対に路面の凹凸にタイヤが乗ったとき(ピッチング時)のピストンスピードが速い、というのが基本です。

先ほど紹介した単位で表すと、遅いピストンスピードは0.1m/secで、速いのは0.3m/sec。つまり、1秒あたり20cmの差で速い・遅いが決まること、そして0.2m/secはそれらの中間に位置して「目安」となり得ることがわかります。

車高調によくある減衰力調整ダイヤルはどういうもの?

©I Viewfinder/stock.adobe.com

可変ダンパー:減衰力の強さを変更するもの

ショックアブソーバーの減衰力を強くしたり弱くしたりすることができます。いわゆる可変ダンパーのことです。

この種のサスペンションは「〜段調整」と表現されていて、この段数が多ければ多いほど減衰力を細かく・大きく調整することが可能です。

時計回しで締め込んだところが最も強い減衰力を、反対に緩め切ったところが最も弱い減衰力になります。

調整ダイヤルで減衰力を強く/弱くするとどうなる?

可変ダンパーにも種類があります。圧側と伸び側の減衰力が同時に調整されるタイプか、それともそれぞれ独立して減衰力を調整できるタイプなどです。

圧側と伸び側の減衰力を同時に調整するタイプ

圧・伸び側両方が同時に調整される場合、ダンパーの減衰力が縮むとき・伸びるときの両方で減衰力が強く/弱くなります。

縮むときではバネレートが高くなったかのような乗り味、いわゆる「硬い足」に、そして弱くすると反対に低くなった柔らかい足のような感覚です。減衰力調整の影響が圧側・伸び側の両方へ及んでいることがわかります。

圧側と伸び側の減衰力を独立調整できるタイプ

圧・伸び側それぞれの減衰力を独立調整できる仕様であれば、上記のような同時的な変化を起こすことはありません。

伸び側の減衰力をそのままで圧側を強くすることも弱くすることもできますし、その反対も然りです。セッティングの側面ではこちらのほうが選択肢を多く提供しますが、選択肢が多い故にセッティング難易度が高くなることも事実です。

伸び側・圧側それぞれの減衰力独立調整機能を持つ可変ダンパーサスペンションのなかには、圧側の低速・高速それぞれの減衰力を調整できるハイスペックな製品もあります。

例えば株式会社キャロッセがCUSCOブランドで展開する「CUSCO SPORT X」で、伸び側・圧側低速・圧側高速それぞれの減衰力の24段調整が可能です。

ダンパーについて詳しく知りたい方はこちら!

どれくらいの減衰力に調整すればよいの?

減衰力調整機構が設けられているサスペンションのデータを製造メーカーは必ず持っていますので、よくわからない人はメーカーに問い合わせてどのダイヤルの位置(減衰力の強さ)を基準にするべきか回答を得るようにしましょう。

メーカー問い合わせページや取扱説明書に記載されていることもあるので、まずそれらを確認するところから始めるのがおすすめです。

装着したらまずは慣らし運転をしよう

新品で減衰調整機能付き車高調を購入・装着したら、まずは慣らし運転をしましょう。

ダンパーを推奨減衰力より少し弱くした状態で車をロールさせ、ピストンをシリンダーになじむようにゆっくりと動かします。直線を長く走るよりも、カーブが続くワインディング向きの山道をロールする範囲でゆっくりと走るのが良いです。

ショックアブソーバーの解説はこちら!

ローダウンとシャコタンの違いとは?

キャンバー角のポジティブとネガティブとは?

執筆者プロフィール
中華鍋振る人
中華鍋振る人
自動車とバイクに関連する記事を書いています。モータースポーツは観戦よりも参戦派。道交法や違反に関する情報を、法律に詳しくない人にもわかりやすく解説しています。

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