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車の原価っていくら?自動車の製造過程から製造原価と原価率で徹底解剖!

メーカーに採っては極秘情報のため自動車の原価や原価率が公表されることはありません。しかし、ユーザーとしては自分の愛車がいくらで作られているのか、原価が気になるところではないでしょうか? 今回は自動車の製造過程から製造原価と原価率で徹底解剖します。

車の原価率を知る前に製造工程を知る

マツダ CX-3

マツダ CX−3 製造過程

車の原価の話をする前に、ここでクルマの製造工程をおさらいしておきましょう。
車は工場での下記の6つの工程を経て完成します。

(1)プレス工程

プレス工程

車のボディはコイル状の鉄板を加工することからスタートします。
適切なサイズに鋼板を切断し、金型に合わせてプレスすることで、ルーフやフロア、サイド部分などのパネルを製造して行きます。

(2)車体組み立て工程

車の製造 組み立て工程 マツダ

プレス加工されたパネルを溶接ロボットで繋ぎ合せて組み立てる工程です。
クルマの骨格となるボディを作り上げるため、パネルの厚さや部位によって溶接方法を使い分けます。

(3)塗装工程

車の製造 塗装工程 マツダ

美しい塗装の仕上がりには、清潔さが必要不可欠です。
組み立て終わったボディは洗浄され、クリーンな塗装ブースに運ばれます。
サビを防ぐためにボディごと電着塗料の入ったプールに浸したあと、下塗り、上塗りとロボットで入念に何度も塗装します。

(4)エンジン製造工程

ボディの組み立て、塗装と並行して専用の工場でエンジンの製造を行います。
エンジンの製造は金属の鋳造・鍛造を行い、さまざまな部品を機械加工して組み立てて行きます。

(5)組み立て工程

車の製造 組み立て工程 マツダ

ボディにエンジンや足まわり、タイヤ、さらにはガラスやシートなどの部品を流れ作業で取りつけて行きます。
大きく重たい部品は機械がアシストします。
ボディにさまざまなパーツが組みつけられるごとに、だんだん私たちの知る車の姿に近づいて行きます。

(6)検査工程

車の製造 検査工程 マツダ

部品の組みつけが終わったクルマは、数百項目におよぶ厳しいチェックが行われます。
走行検査をはじめ、計器やランプ類の作動点検、排ガス検査、高圧シャワーの下をくぐらせる水漏れテスト、さらにはユーザー目線での特別検査も実施します。

製造の過程が紹介されたマツダ CX-3についてはこちら

自動車工場の見学をしてみたい方はこちら

車の製造原価はどうやって決まる?

こうしていくつもの工程を経て完成した車はディーラーへ運ばれ、私たちユーザーに販売されます。
ここで気になるのは車の原価です。
新車の製造原価はメーカーの極秘情報となっているため、詳細が一般に知られることはありません。
しかし、複雑な原価計算を抜きにして製造原価の話をひと言でまとめるとしたら、それは「重さ」と「台数」と「手間」ということになります。

車の重さについて

トヨタ ヴィッツ

ヴィッツ

トヨタ カローラ

トヨタ カローラ

まずは「重さ」から説明しましょう。
一般的には車重1tの車よりも、車重1.5tの車のほうが販売価格は高くなります。

例えば、トヨタ・ヴィッツ1.0Fの車重は970kgで価格は1,291,091円です。
価格を重量で割ると1kg当たり1,331円になります。
いっぽう、トヨタ・カローラアクシオ1.5Xの車重は1,090kgで価格は1,584,655円です。
価格を重量で割ると1kg当たり1,454円になります。
つまり、カローラはヴィッツよりも120kg重くなって293,564円高くなっていると言うことになりますが、1kgあたりの車重に直すと、その差は123円しかありません。

昔は「車は1kgで1,000円」などと言われました。
これは当たらずとも遠からずと言ったところで、高級車は4,000円を超えるものも珍しくはありませんが、1,000〜1,500ccクラスの小型大衆車は1kgあたり1,000円台となっているようです。
最近はプラスチックの部品も増えましたが、車は鋼板を加工して組み立てている以上、大まかに行ってしまえば、「車は重いほうが高い」と言うことができると思います。

少し話は変わりますが、重さで税金にも変化があります。
詳しくは以下の記事をご覧ください。

車の生産台数について

船積みを待つマツダ ロードスター

次に「生産台数です」。
車の値段を決めるに当たって重要なポイントとなるのは、そのモデルが生産終了を迎えるまでにどのくらいの台数が作られるかと言うことです。

例えば、新車の開発に500億円かかり、生産設備に200億円の新規投資が必要な場合、合計金額は700億円になります。
このモデルを1ヵ月に5000台、4年の生産期間中に24万台製造するとすれば、1台あたりの開発費と生産設備の負担は約29万円になります。

その車がヒットして生産台数が増えれば1台当たりの負担は減りますし、反対に不人気車となってまったく売れなければ1台当たりの負担は増えてしまいます。

車の製造の手間について

↓少量生産の高級車は熟練した行員の手作業での組み立てになることが多い

最後に「手間」です。
これは「ラインスピード」と言い換えることができます。
つまり、1台の車にどれほどの時間(=労力)を掛けるかと言うことにほかなりません。

一般的にオートメーション化された工程で作ることを前提にした大衆車ならラインオフするまでの時間は短く、高級車になればなるほど人手と時間を使って、細部まで丁寧な仕上げを行うためにラインオフするまでの時間は長くなります。
ユーザーはアクセサリーが豊富なほど豪華だと思うのかもしれませんが、装備品の装着にたいした手間も時間も掛からないので、じつは上級グレードとベーシックグレードの差はライン上ではほとんどないのです

車の装備品の原価は意外と安い?

自動車メーカーが製造しているのは車本体だけで、エアコンやエアバッグ、シート、タイヤ、ホイールなどの各種装備品はすべて専門メーカーから購入し、工場では車体に取付けているだけです。
車の原価の多くはボディ、エンジン、トランスミッション、サスペンション、ブレーキ、シート(意外と高くてセットで20万円を超えることもあります)でほぼ決まります。
逆に言えば、エアコンやステレオ、エアバッグなどは意外と安く買えます。
その「意外と」がどれくらいの金額になるかですが、装備の値段は同じメーカーから仕入れた同一の製品でも、大量に購入するメーカーは仕切り価格が安く、購入数の少ないメーカーは仕切り価格が高くなります。
ゆえに断言はできないのですが、一例として手元にある資料から紹介すると、アルミホイールが1本1万円、タイヤが2,000〜5,000円、パワーステアリングやエアバッグが3〜5万円、エアコンが5〜10万円ほどだそうです。
市価に比べると大幅に安く感じられるかもしれませんが、これは装備品を大量購入している自動車メーカーの仕切り価格だからこうした値段になっているわけです。

サスペンションとは

パワーステアリングとは

車の原価率

工場原価にメーカーのマージン(儲け)を加えたものが工場出荷価格になります。
そして、メーカーの希望小売価格は、この工場出荷価格に輸送費などの経費やディーラーの儲けが上乗せされて決まります。

では、車の原価率とはどのくらいなのでしょうか?
車種によって原価率は異なりますが、一般的には車両本体価格のうち80%くらいと言われています。
ただし、これはひとつの目安としての数字です。
一例として、150万円の大衆車の場合は、大雑把には以下のような内訳になります。

現材料費+人件費・・・・・・・・・・・90万円
開発費・生産設備投資の分担+諸経費・・30万円
メーカーの利益・・・・・・・・・・・・15万円
ディーラーの利益・・・・・・・・・・・15万円

上記はあくまでも例に過ぎません。
同じメーカーの車種でも大衆車よりも高級車、装備の少ないベーシックグレードよりも満艦飾の上級グレードのほうが原価率は低く(利益率が高く)なります。
軽自動車などは利益率が低く(原価率が高く)、スズキ会長だった鈴木修氏は、記者から軽自動車の利益率を訪ねられた際に、展示していた車両のサイドミラーをボキッと折って「軽自動車なんて1台売っても正味の儲けはミラー1個分だよ」と答えたとの伝説が残るほどです。

軽自動車が有名なスズキ社についてはこちら

車の原価率から考えるお得な車種とグレードは?

マツダ デミオ13C(ベーシックグレード)

マツダ デミオ13C

「原価率が高い=お買い得」ということでクルマ選びをするなら、軽セダンや小型大衆車のいちばん安いベーシックグレードを買うことです。
先ほども述べた通り、工場原価を考えればベーシックグレードと上級グレードの差はほとんどありません。
それなら装備の少ないベーシックグレードほどお買い得になると言うことになります。
また、ハイブリッド車に搭載されているシステムは原価率が高く、一説ではハイブリッドのメカニズムはほぼ原価提供されているとも言われています。
そう考えると、トヨタ・アクアLグレードやカローラ・ハイブリッド(ベースグレード)は相当にお得です。

上記で紹介されたお得な車種についてはこちら

車の原価率を考えて少しでも安く車を買おう

未使用車 まとめ 計算機

車の原価についてのまとめ記事はいかがでしたでしょうか? 
こうして見て行くと自動車メーカーの1台当たりの利益率が少ないことに驚かされると思います。
自動車、とくに大衆車は利益率が低いために基幹車種を1台はずしただけでも企業業績は大きく傾きます。
大メーカーでも主要車種を2〜3車種モデルチェンジに失敗すれば倒産のリスクが浮上してくるのです。
しかし、ユーザーとしてはメーカーの都合など知ったことではないでしょう。
いい車を少しでも安く、お得に買いたいと言うのが人情というもの。
そういった方にはぜひとも、原価率も踏まえて車の購入を検討することを推奨します。

よりお得に車を買うための記事はこちら

購入しやすい車に関する記事はこちら

この記事の執筆者

山崎 龍この執筆者の詳細プロフィール

1973年1月東京生まれ。自動車専門誌の編集を経てフリーライターに。自動車専門誌を中心に、航空、ミリタリー、映像作品、オタクカルチャー、政治などの 様々なジャンルに寄稿する雑文ライター。 著書に『最強!連合艦隊オールスターズ』『萌えだらけのクルマ選び』(共にイカロス出版)、『「...