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よく見かける道路に段差スロープの設置、道路法違反の可能性もあるって本当?
路肩などに置いてある段差スロープ。縁石をスムーズに乗り越えるために役立つアイテムですが、場合によっては違反になる可能性があるといいます。なぜ、段差スロープの設置が違反になるのでしょうか?
段差スロープの置きっぱなし、これっていいの?
段差スロープは、カー用品店などで簡単に入手できます。そのため、自宅駐車場の出入り口に設置してあるのをよく見かけます。
ところが、道路交通法第76条には「信号機若しくは道路標識等又はこれらに類似する工作物若しくは物件をみだりに設置してはならない」、道路法第43条には「みだりに道路に土石、竹木等の物件をたい積し、その他道路の構造又は交通に支障を及ぼす虞(おそれ)のある行為をすること」と、禁止事項が定められています。
段差スロープは便利な一方で、縁石に段差スロープを設置することで、歩行者や自転車がつまずいて転倒するリスクや、風で飛ばされて車道に投げ出され車と接触するリスクが考えられますので、基本的には置きっぱなしにしない前提で販売されていると考えられます。
段差スロープに違法性はある?罰金・罰則は?
筆者自身、納車時にマンション入口の共有の段差スロープが邪魔だったため、歩道脇に片付けた経験があります。普段であれば邪魔だとは感じることがなくても、使わない人にとっては障害物になると実感しました。
とはいえ、段差スロープが設置してある場所は多くあり、すべてを取り締まるのは現実的ではありません。
段差スロープの違法性について、警視庁交通相談センターにうかがいました。
「段差スロープについては、月に1度くらい、邪魔になっているという連絡が来ます。本来存在しない場所に段差スロープを設置してしまうと、使わない人にとっては障害物となり危険です。
車の出入り口になるような場所は、縁石の高さを低くするなどして、段差を乗り越えやすい構造にしている道路も多くあります。そうではない場所は段差がきつくて乗り上げにくいかもしれませんが、減速して慎重に乗り上げれば問題なく通れることも多いです。
その他にも、歩道や車道にある障害物としては、カラーコーンに広告を付けた不動産案内の看板や、飲食店入り口のメニュー看板、商店のセールをアピールするのぼり広告などがありますが、それらはすべて違反です。
基本的に、道路に何かを設置する場合には、邪魔になっていなくても自治体などの許可が必要になります。
邪魔になる、危険という場合には、その持ち主に相談して撤去してもらってください。持ち主が分からない場合は、遠慮なく警察に相談してくださって構いません。」
警察は段差スロープによって危険が生じている、あるいは、近隣住民からの苦情があるものを取り締まっていると思われますが、邪魔だからという理由だけでその場ですぐに持ち主が罰則の対象になったり、罰金を課されたりすることは少ないでしょう。
ただし、危険性が高く、何度警告しても撤去されない場合には罰則の対象になる可能性があります。無許可で道路に物を置くことは違法であると認識しておくことが必要です。
置きっぱなしにせず、使わないときは格納するのがベスト
どうしても段差スロープが必要な場合、その代わりに縁石の高さを下げるなどの工事を行うことができます。しかし、これにも自治体の承認が必要であったり、工事費用が自己負担になったりするため、手軽に実施するのは難しいでしょう。
また、すべての縁石を最初から低くして道路を作ればいいという意見も見られます。しかしそうなると、車道と歩道の区別が曖昧になったり、雨水を排出する側溝を設置しにくくなったりするため、すべての縁石を低く設置するのは難しいのが現状です。
以上のことから、段差スロープは、歩行者や自転車の通行の妨げになったり、風で飛ばされたりする危険もあるため、置きっぱなしにせず、使わないときは格納するのが最善の方法と言えるでしょう。
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- 執筆者プロフィール
- 室井大和
- 1982年生まれ。ライター歴6年、自動車業界9年。合わせて約15年。雑誌編集、記者、指定自動車教習所員資格保有。愛車はスズキスイフトスポーツ(33型)、BMW323i(E90型)、ジムニー(JB23型)。車はセダンではじ...