更新
タイヤ周辺の黒いパーツ「フェンダーモール」なぜ増えた?無塗装樹脂パーツの魅力
昨今、タフネスやヘビーデューティなイメージを演出するクルマが増えています。SUVはさることながら、軽自動車の多くのモデルも、オフロードユースを思わせるエクステリアを採用しています。
そういったエクステリアの特徴といえば、無塗装の樹脂パーツを多用していること。バンパーやフェンダーアーチをはじめ、ドアモールやサイドシルガードに無塗装樹脂パーツが使われています。
そもそも、こうした流れはなぜできたのでしょうか。
無塗装樹脂パーツの魅力とメリットは?
無塗装樹脂パーツのメリットは、衝撃吸収性があって、ぶつけてもキズが目立ちにくいこと。ある程度までの補修が容易にできるうえに、価格が安いので、パーツ交換にかかるコストも低く抑えることができます。
デメリットは見た目がチープなことでしょう。樹脂の質感そのままなので、塗装されているものに比べると他の車体部分との一体感がありません。その部分だけ黒く見えるため、見た目のシャープさに欠けるとも言えます。
しかし、その“野暮ったさ”がヘビーデューティやタフネスといった雰囲気に繋がっているのです。
そもそも、こうした無塗装樹脂パーツは海外で好まれます。欧米では、前後バンパーは縦列駐車の度にぶつけるのが当然のパーツなので、キズが目立ちにくく、再塗装する必要がない無塗装樹脂パーツの方がいいと思っているユーザーが多いのは確かです。
トヨタ ランドクルーザーなど、日本ではボディ全体が念入りに塗装されているモデルでも、海外向けモデルだと無塗装樹脂パーツ…ということは少なくありません。
無塗装パーツトレンドを先取りした、ゴルフⅡ「カントリー」
80年代末期になると、今のクルマのトレンドを先取りした画期的なモデルが登場します。VWのゴルフⅡ「カントリー」、いわゆるクロスオーバー車の先駆けで、昨今のクルマの手本になったモデルです。
このクルマはゴルフⅡに、車高アップサスペンション、グリルガード、スキッドプレート、背面スペアタイヤキャリアなどを装着したクロスオーバーです。
当時の日本はまだバブルの影響が残っていた時期で、いかに無塗装の部分を減らして高級化するかが命題だったため、無塗装パーツはかえって新鮮だったのです。
このゴルフカントリーに影響されて登場した三菱 RVRやスバル インプレッサ・グラベルXなどは、相変わらず塗装されていましたが、バンパーやフェンダー、ドアシルガードの色をボディと変えたり、スリットを入れることで、タフな雰囲気作りをしたのです。
- 執筆者プロフィール
- 山崎 友貴
- 1966年生まれ。四輪駆動車専門誌やRV雑誌編集部を経て、編集ブロダクションを設立。現在はSUV生活研究家として、SUVやキャンピングカーを使った新たなアウトドアライフや車中泊ライフなどを探求中。現在の愛車は...