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〈中国の本気〉今まで中国車が日本国内で販売されなかった【理由】とは?

紅旗 H9はどうやってナンバーを取得した?

これまでフォルクスワーゲンと上海汽車の合弁会社の車が日本に輸入された例はあります。しかし純中国車が正規輸入された例は前例がありません。

では紅旗 H9はどのようにしてナンバーを取得したのでしょうか。

58協定に加盟しておらずとも、車の安全性や信頼性などの証明さえできれば、どのような車でも登録は可能です。

輸入する車の製造者、つまり自動車メーカーが行った強度試験や安全試験結果などの資料を提出して安全性が確認できれば、わざわざ車体を壊すような試験をせずとも日本に輸入してナンバー取得ができるということです。

ただし、こういった資料を用意できるのは正規輸入のみであり、並行輸入業者に対してメーカーがこのような書類を発行することはほぼありません。

つまり、紅旗 H9が日本でナンバーを取得できたのは、正規輸入ということで中国の国有自動車メーカーである第一汽車の手厚い支援を受けられたためといえるでしょう。

それに加え、H9は当初から世界戦略車として設計されていたため、安全性や排ガス規制値なども問題なくクリアできました。灯火類や排気音量などの保安基準適合のための改善作業も、中国の保安基準は日本とほぼ同じであるため修正箇所は極小です。

中国車の他に輸入が難しい車はある?

紅旗 H9が容易にナンバー取得できたのは、メーカーのバックアップが受けられる正規輸入であったためであり、58協定に加盟していない国からの並行輸入が難しいのには変わりありません。

とくに中国とアメリカからのハイブリッドカー(HEV)や電気自動車(EV)などの並行輸入は事実上不可能といえるほど困難を極めます。

©Robert/stock.adobe.com

HEVやEVを輸入するには、国連協定規則における「R100」と呼ばれるモーターやリチウムイオンバッテリーの技術基準に適合する必要があります。58協定加盟国以外の国からHEVやEVを輸入する場合は、R100に適合することを証明する書類がなければ登録はできません。

もちろん、輸入後に日本国内で検査して証明を取得することはできますが、バッテリーやモーターの火炙りテストなどを経て安全性・信頼性を証明しなければならず、テストサンプル車代と検査費用が過大にかかるため輸入は非現実的です。

そのため、正規輸入されていないアメリカのHEVやEVや、ハイブリッドシステムを搭載したトヨタ、ホンダ、日産などの逆輸入車は日本に輸入しても登録することは難しいでしょう。同じ理由で、中国の格安EVや高性能EVの並行輸入も現状では困難です。

©Federico Rostagno/stock.adobe.com

ただし、バスやトラックは乗用車とは基準が異なるため比較的通しやすい傾向にあり、中国のEVトップメーカーであるBYDのEVバスはすでに日本で利用されています。

また、BYDの日本法人であるBYDジャパンは乗用EVの正規輸入を決定しており、2023年1月から3車種を順次発売するとのことです。これが実現すれば、日本のナンバーを取得した純中国車メーカーは紅旗に続いてBYDが2社目となります。

執筆者プロフィール
伊藤友春
伊藤友春
1981年生まれ。自動車専門Webライターとして執筆活動中。自動車の構造に明るく、ほとんどの整備や修理をDIYでこなす。輸入車・コンパクトカー・変わったデザインやコンセプトの車が好きで、現在の愛車はその最た...

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