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「硬派だったアイツも最近は見かけなくなった」昔のSUVにあった装備「マニュアルフリーホイールハブ」とは?

「四駆テイスト」の現代のSUVにはない”硬派”な装備

80年代、90年代にかけて日本を席巻した四輪駆動車。オフロード4WDや四駆などといった名前でも呼ばれました。

そもそもはジープから派生した実用車でしたが、レジャー用に転換したことで徐々に一般にも広がり、ついにはバブル経済の追い風にのって大ヒットを記録します。

かつては三菱・パジェロやいすゞ・ビッグホーン、トヨタ・ランドクルーザー、そしてスズキ・ジムニーが飛ぶように売れた(画像は初代ビッグホーン イルムシャーRロング)

ユーザーの視線はステーションワゴンやライトクロカンへと移り、2000年頃にはSUVへとスイッチされたものの、昨今はジムニーが大ヒットしたことをきっかけに、再びヘビーデューティな四輪駆動車に脚光が集まっています。

SUVも四輪駆動車のテイストをフィーチャーした車種が増え、アフターパーツも80年代当時の香りを持ったものがリバイバルヒット。しかし、当時の四輪駆動車と比べると、現代のモデルは性能的に比べものになりません。メカニズム的にも進化し、造りや装備に変化が見られます。

かつてはパートタイム式4WDの定番だった

現代のSUVには見られなくなった装備のひとつが「マニュアルフリーホイールハブ」です。このパーツは、2WD↔4WDの切り替えが任意にできるパートタイム式4WDのクルマに付いているものです。

マニュアルフリーホイールハブ
撮影:山崎友貴

四輪駆動車は前後輪にエンジンの駆動力を伝えるという構造上、タイヤとドライブシャフトが繋がっています。

しかし2WDにした場合は、前輪に駆動力が伝わっていないにも関わらず、重いドライブシャフトの駆動抵抗を引きずりながら走ることになります。それが動力損失となり、結果的に燃費を悪化させる要因になります。

そこで、タイヤとドライブシャフトの接合部分であるハブに、解除とロックができる機構を加えたのです。これは「フリーホイールハブ」と呼ばれるメカニズムです。2WD時に前輪の回転がドライブシャフトから切り離されることから、走行時の抵抗が減るわけです。

手動(マニュアル)式からオート式へと進化

フリーハブは当初、手動で解除とロックを行っていました。そのため、4WDにシフトする時はクルマを一度降りてロックし、2WDに戻した時は再びクルマを降りて解除しなければなりませんでした。

これは、ドライバーにとっては操作が面倒なだけでなく、路面状況が変わってとっさに四輪駆動にしたい時に対応できないという弱点があったのです。

オートフリーホイールハブ
撮影:山崎友貴

それを解消するために生まれたのが、オート式のフリーホイールハブです。オートフリーホイールハブは、サブトランスファーレバー(またはボタン)を4WDに入れると、電気信号が送られてソレノイド(電磁石)が閉じてフリーハブがロックされるという仕組みです。

ただし、初期のオートフリーホイールハブは、解除は一度クルマをバックさせてタイヤを逆回転させることで行っていました。

オフロードではスタックした際などは、前進後退を何度も繰り返す動作が発生するため、意図せずしてフリーホイールハブが解除になってしまうことがありました。つまり、大切な場面において後輪のみの駆動となってしまうのです。

そのため、本格的なオフロード走行を行うユーザーは、わざわざマニュアルフリーホイールハブを購入して付け替えるという、本末転倒な事例もあったのです。

スズキ jimny

ちなみに、現行型のジムニーやJeepラングラーの前輪にもオートフリーホイールハブが付いていますが、4WD時には後退した時でもフリーホイールハブが解除されないよう工夫がされています。

執筆者プロフィール
山崎 友貴
山崎 友貴
1966年生まれ。四輪駆動車専門誌やRV雑誌編集部を経て、編集ブロダクションを設立。現在はSUV生活研究家として、SUVやキャンピングカーを使った新たなアウトドアライフや車中泊ライフなどを探求中。現在の愛車は...

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