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「アクスルシャフト」「ドライブシャフト」とは?構造など解説

ドライブシャフトとジョイント

道路に止まっている車
@HannaIvanova/stock.adobe.com

エンジンが発生する力は回転エネルギーに変えられ、ドライブシャフトを伝って車輪を回します。ドライブシャフトは「車軸」「ハーフシャフト」とも呼ばれる鋼鉄製・中空構造のパイプで、シンプルながらクルマのパーツの中でも重要なものです。

ドライブシャフトは、ディファレンシャルギア(デフ)と接続されています。ディファレンシャルギアはカーブを走行する際に、左右の駆動輪で生じる回転差を調節するものです。

ドライブシャフトとデフとの接続は「ジョイント」というパーツで行われています。

駆動方式に関わらず、現代のクルマの多くは独立懸架式サスペンションを採用している車種がほとんどのため、どのようなジョイントを採用するかが重要になってきます。

なぜなら、サスペンションが上下に動くのに対して、シャフトの長さは変化しないからです。

かつては、太さの違う2本のシャフトをスプラインで繋ぐことで、長さを変化させていました。しかし現在は、「スライド式等速ジョイント」「摺動式等速ジョイント」という、内部で距離変化に対応するジョイントを使うのがスタンダードになっています。

FF車は等長ドライブシャフトが主流

走る車
@naka/stock.adobe.com

FF車ならではのドライブシャフトの機構

FRの場合はデフを車軸の中央に置くことができますが、FFトランスミッションとデフが並ぶため、デフを中央に配置できません。

そのため、かつては左右車輪までのドライブシャフトの長さが違う、「不等長ドライブシャフト」が使われていました。

しかし急加速時、エンジンからの駆動力が急に伝わる際に、ドライブシャフト長の違いから車輪付近にトルク差が生じて、車両を旋回させようとする現象(トルクステア)が出てしまいます。それを解消するために、長い方のシャフトを太くして剛性を高めていました。

しかし、現在のFF車の多くは、車輪に接続されるシャフトは左右同じ長さとし、デフまでの足りない距離にもう1本のシャフトを足すという「等長ドライブシャフト」を採用しています。

プロペラシャフトが真っ直ぐな4WDは少数派

スバルのボクスターエンジン
©Jan/stock.adobe.com

余談ですが、フルタイム4WD車の場合、多くのモデルはFF車ベースで造られています。

そのため、フロントは等長ドライブシャフトの配置で、デフに接続されたプロペラシャフト(後輪に駆動力を伝えるシャフト)はズレており、途中にあるトランスファーからセンター位置に修正して、後輪軸中央のデフに伸びるような形になっています。

しかし、スバル車や一部のホンダ車では、フロントからリアにかけてプロペラシャフトが真っ直ぐに伸びており、バランスの良さを確保しています。

特にBOXERエンジンを搭載しているスバルの4WDは、前輪軸からプロペシャフト、後輪軸まですべてのパワートレーンがシンメトリー(左右対称)になっており、優れた運動性能の根幹になっているのです。

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リジッドアクスル式サスの場合はアクスルシャフトと呼ぶ

オフロードを走る車
©Grafvision/stock.adobe.com

本格4WDならではのドライブシャフトの機構

リジッドアクスル式(車軸式)の場合、駆動力を伝えるシャフトはドライブシャフトと言わず、「アクスルシャフト」というのが一般的です。

リジッドアクスル式とは、アクスルハウジング(ホーシングとも)という鋼鉄でできたケースの中に、ドライブシャフトとデフが内蔵された車軸を持つサスペンションの呼称です。

最近では、乗用車でリジッドアクスル式サスペンションを使っている車種は少なくなっています。

このサスペンションの特徴は、頑丈なアクスルハウジングを持っていることから車体自体の重さ、積載物の荷重、路面からの衝撃を分散できるという点にあります。激しい悪路を走るためのオフロード4WDや重い物を積載するトラックも、このタイプのサスペンションを使っています。

また、構造がシンプルでコストが安いというメーカー側のメリットがあります。かつて、名車と言われるAE86型カローラレビン/スプリンタートレノはリアサスがリジッドアクスル式でしたが、これは安価なスポーツカーを若年層に提供するという目的ゆえです。

シャフトが保護される構造のため、オフロード4WD向き

リジッドアクスル式を採用するジムニー
リジッドアクスル式を採用するジムニー

ドライブシャフトは剥き出しのまま回転していますが、アクスルシャフトはハウジングの中を通り、その中で回っています。つまり、ハウジングにシャフトが保護されている状態です。

これはオフロード4WDがリジッドアクスル式を採用する理由のひとつで、岩などに足回りをヒットさせても、頑丈なアクスルハウジングがガードすることでシャフトが曲がったり折れたりすることがないからです。

ちなみに、独立懸架式サスペンションでは上下動に伴う距離変化への対応を、摺動式ジョイントで行うと前述しましたが、リジッドアクスル式の場合はスプリング位置を支点に車軸ごと動くために、それほど大きな距離変化はありません。

とはいえ、横方向に多少の動きは出るため、ディファレンシャルギアとアクスルシャフトをスプライン嵌合することで逃がしています。

車の性能に直結する「アクスルシャフト」「ドライブシャフト」ってなに?

乗用車と大型トラックでは車輪とシャフトの接続方法が異なる

©xiaosan /stock.adobe.com

独立懸架式サスペンションの場合、ホイールにかかる荷重は主にサスペンションアームで支えます。一方のリジッドアクスル式の場合、アクスルで支えます。ただし、車輪(ホイール)の取り付け部構造に2つの方式があります。

アクスルハウジング(ホイールハブを含む)全体で荷重をさせる「全浮動式」、そしてアクスルハウジングとアクスルシャフトの両方で支える「半浮動式」です。

アクスルシャフトは駆動力を車輪に伝えるという大切な役割があるため、車重が重くて荷物を多く積載する大型トラックのリアアクスルでは、シャフトに無理がかからない「全浮動式」を使います(フロントはアクスルビーム式サスペンションを使用)。

一方、比較的車重が軽い乗用車や小型トラックでは「半浮動式」を使うのが一般的です。

ただし、フロントにもリジッドアクスル式を使っているオフロード4WDの中には、前輪軸に全浮動式、後輪軸に半浮動式を採用しているものもあります。

エンジンの力を、車輪を回転させる駆動力として伝えるドライブシャフト、アクスルシャフト。

もちろん、パワートレーンにはプロペラシャフトやディファレンシャルギア、トランスミッションといった部品がまだありますが、最後の役割を担う大切な部品なのです。

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執筆者プロフィール
山崎 友貴
山崎 友貴
1966年生まれ。四輪駆動車専門誌やRV雑誌編集部を経て、編集ブロダクションを設立。現在はSUV生活研究家として、SUVやキャンピングカーを使った新たなアウトドアライフや車中泊ライフなどを探求中。現在の愛車は...

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