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大地震発生時に電気自動車は非常電源として何日分の電気を利用できるのか

電動化の機運が世界的に高まるなか、「日本はEV化の波に乗り遅れている」といった声がしばしば聞かれます。日本の消費者がEVを敬遠している理由はさまざまに考えられますが、そのひとつに「電力供給に対する懸念」が挙げられるでしょう。

災害大国といわれる日本では、台風や地震などによる停電のリスクを考慮しなければいけません。2022年3月22日には、地震や寒暖差を原因に、東京電力・東北電力管内において「電力需給逼迫警報」が発令され、SNSなどには電力供給に対する不安の声が多く寄せられました。

電力が断たれた場合、EVへの充電もできなくなってしまうため、「EVは電力逼迫状況で役に立たない」といった意見も見られます。一方で、EVには「蓄電池」としての役割が期待されており、「停電時にも非常用電源として役に立つ」という話も耳にします。

電力が逼迫している状況で、EVは蓄電池としてどのくらい活躍できるのでしょうか。

EVは蓄電池としてどのくらい役に立つ?

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まず、EVのバッテリーにはどのくらいの電力を溜め込むことができるのでしょうか。

日産の公式ホームページでは、リーフの蓄電池としての性能を紹介しており、そこでは「約4日分」の電力をまかなえる旨が記載されています。この数字は、リーフe+のバッテリー容量「62kWh」を基準に、1世帯あたりの電力消費量の全国平均から1日あたりの使用量として「11.8kWh」を算出し、計算したものです。

総務省の資料「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」によれば、2021年1月1日時点での平均世帯人数は「2.13人」です。つまり仮にリーフe+が満充電の状態であれば、「2人暮らしの家庭の消費電力を4日分まかなえる」ほどの電力が車側に蓄えられていることになります。

もちろん季節などによって電力消費量は変わりますが、とくに節約をしているわけではない平均的な消費量で、これほど長い時間使用できるのは心強いでしょう。

一般に、EVに搭載されるバッテリーの容量は、家庭用蓄電池と比べてかなり大きくなっています。市場に流通している家庭用蓄電池は、大容量タイプでも10kWhに満たないものが多いのに対し、先のリーフはスタンダードモデルでも40kWh、比較的小さなHonda eでも35.5kWhと、かなりの余裕があることが見て取れます。

EVは蓄電池としてどれくらい使える?実証実験の結果は?

「EVが蓄電池としてどれくらい使えるか」に関しては、実際にさまざまな団体などが実験を行っています。

たとえば日本自動車連盟(JAF)は、2018年にEVやPHEVなどの車両を使い、「車のバッテリーでどんな家電がどのくらい使えるか」を実験しています。この際用いられたEV車両は日産・e-NV200であり、バッテリー容量は「40kWh」です。

実験によれば、EVの電源により電子ポットやホットプレートといった電力消費の大きな家電も問題なく動かすことができ、さらに電子ポットについては30回沸騰させた後にもバッテリー容量は「7/12程度」残されていたといいます。

(参照:JAF「災害時におけるクルマからの電源供給」)

こうしたEVの有用性は被災地への支援活動にも活かされています。たとえば2019年9月の房総半島台風の際には、長引く停電状況において自動車メーカー各社がEVやPHEVなどの車両を被災地に派遣し、避難所や個人宅への給電活動を行いました。

(参照:資源エネルギー庁「災害時には電動車が命綱に!?xEVの非常用電源としての活用法」)

EVの「移動式電源」としての側面に着目し、災害対策として導入する地方自治体なども増えています。たとえば日産は、自動車の電動化を通じて社会的課題の解決を図る「ブルースイッチ」というプロジェクトを通じて、地方自治体や企業との連携を進めており、EVを自治体に貸与し防災力を高めるための取り組みを見せています。 

日本では「V2H」が有効か

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EV購入を考える際、非常用電源としての活用を期待する場合には、「V2H」というシステムの導入を検討するとよいかもしれません。

「V2H」とは「Vehicle to Home(自動車から家庭へ)」の略であり、EVに蓄えられた電気を家庭側に供給する仕組みのことをいいます。デンソーやニチコンといったメーカーが手掛けるV2H機器を自宅に設置することで、EVへの充電に加え、EVから家庭への給電も可能になるのです。

V2H機器には大きく「系統連系」と「非系統連系」という2つのタイプがあります。前者の「系統連系」は電力会社からの電力と、EVの電力、もしくは太陽光発電による電力など、異なる供給源を組み合わせて利用可能です。

もう一方の「非系統連系」では、それぞれを連携させることができず、一度に使える供給源はひとつだけです。たとえばEVから家庭に電力を供給している間、太陽光発電による電力も利用するには「系統連系」のタイプが必要になります。

V2Hの設備がなくとも、車両内部の電源を利用したり、また車両に外部給電設備(V2L:Vehicle to Load)があればそれを利用するなどしてEVの電力を使うことはできますが、やはりV2Hの「家でそのまま電力が使える」というメリットは大きいでしょう。

なお、海外メーカーの生産するEV車種の多くは、V2Hの設備に対応していません。ヒョンデ IONIQ5など一部の車種はV2Hに対応しており、今後も状況が変わっていく可能性はあるでしょう。しかし現在のところ、V2Hの機能を期待する場合には、基本的に国産のEV車種を選ぶ必要があります。

その他、住宅環境や設置費用の問題など、V2Hの普及には少なからず課題が残されています。とはいえ災害の多い日本においてはとくに、「非常用の電源としてEVの大容量バッテリーが利用できる」というのはユーザーの安心につながるでしょう。地方自治体による導入例が増えていることからも、今後は災害時の臨時インフラとしての役割も担っていくと考えられます。

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執筆者プロフィール
鹿間羊市
鹿間羊市
1986年生まれ。「車好き以外にもわかりやすい記事」をモットーにするWebライター。90年代国産スポーツをこよなく愛し、R33型スカイラインやAE111型レビンを乗り継ぐが、結婚と子どもの誕生を機にCX-8に乗り換える...
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