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電気自動車は本当にエコ?日本人が見落とすEV普及における各国のエネルギー事情

急速に進むEV化、EV専業を発表するメーカーも

近年、世界中の自動車メーカーが電気自動車(EV)を発表するようになりました。そればかりか、メルセデス・ベンツやゼネラルモーターズ、そしてホンダなどの大手自動車メーカーが今後EV専業となることを発表したり、日本を含むいくつかの国が、2035年〜2050年頃をめどに、ガソリンエンジンのみを動力とする車の新車販売を規制する方針を示したりしています。

多くの国や自動車メーカーがEVを推進する最も簡潔で明確な理由のひとつは、当然のことながら地球環境に対する影響です。

ガソリンエンジンは、その原理上、温室効果ガスを含む排気ガスの発生は避けられませんが、EVはそもそも排気ガスを出すことがありません。

車の排気ガスが地球環境に悪影響を与えることは周知の事実です。そのため、排気ガスを出すことのないEVは、ガソリンエンジン車に比べて「エコ」というイメージを持たれています。

EVは本当にエコ?その2つの視点

一方、EVは本当にエコなのかという指摘も少なくありません。

EVが走行時に温室効果ガスを排出しないのは事実ですが、EVのエネルギーの元となる電気の多くは、火力発電によって発電されます。火力発電は、石油や石炭、液化天然ガス(LNG)といった化石燃料を燃やすことでタービンを回しており、その際には温室効果ガスが発生します。

火力発電は最も一般的な発電方法のひとつであり、環境エネルギー政策研究所の発表によれば、日本は2020年の総発電量のうち、74.9%が火力発電によるものであったとしています。

EVが普及すればするほど、必要な発電量は増加することが予測されますが、その電力の大部分が火力発電によって供給されるのであれば、結局のところ温室効果ガスの排出量は変わらないのではないかという指摘があります。

また、車の製造から使用、廃棄という一連の流れで見ると、EVが環境に与える影響は決してガソリンエンジン車に比べて小さいわけではないという、LCA(ライフサイクルアセスメント)と呼ばれる考え方による視点もあります。

たしかに、EVは使用時(走行時)にはエコかもしれませんが、EVの心臓部であるリチウムイオンバッテリーの製造には非常に多くの電力を使用し、また、廃棄時にも特殊な処理が必要となります。

つまり、より大きな視点で比べると、EVとガソリンエンジン車のどちらがエコであるかはまだまだ議論の余地があると言えます。

「エネルギー安全保障」という考え方で見ると…

しかし、実際には日本を含む多くの国が、ガソリンエンジン車廃止の方向へと舵を切っています。

特に日本は、おもにガソリンエンジン車を主力とする自動車メーカーが経済の中心的役割を担っているにもかかわらず、ガソリンエンジン車を廃止する方針を採用していることから、特に自動車業界関係者からの疑問の声は少なくありません。

ただ、それでも日本がEVを推進せざるを得ない背景には、「エコ」とは異なる視点があります。それは「エネルギー安全保障」という視点です。

電力の安定供給が行われないと、日常生活や経済活動に大きな支障が生じますが、上述の通り、日本の発電の大部分は火力発電によってまかなわれています。

資源の少ない日本は、火力発電に使用する石油や石炭、LNGなどを海外からの輸入に頼らざるを得ません。資源エネルギー庁の発表によれば、2019年には99%以上の石油を海外から輸入していますが、その大部分が中東からによるものです。

もし、世界情勢の変化などで中東からの石油の輸入がストップすれば、日本は甚大な影響をこうむることになります。

そこで、太陽光発電や風力発電、地熱発電といった再生可能エネルギーが、化石資源の輸入に頼らない自給自足の発電方法として期待されているのです。

もちろん、EVを増やしたところで、火力発電の発電量が増えれば結局エネルギーの海外依存は解消されません。

しかし、火力発電以外の発電方法で生まれたエネルギーを利用できるモビリティが普及すれば、将来的にエネルギーの大本を海外に依存している体制を脱却できる、というのが日本政府のねらいと考えられています。

ドイツや中国、アメリカの事情は?

テスラ モデルX

現在、EVを特に推進しているのがドイツです。その背景には様々な事情がありますが、エネルギー安全保障という考え方で見ると、ドイツも日本と同じ事情が見えてきます。

2000年以降原子力発電からの脱却を図るドイツですが、それに代わって年々発電量が増えているのが、再生可能エネルギーです。2020年時点ではすでに火力発電を超える電力を供給しており、エネルギーの自給自足が進みつつあります。日本と同様に産油国でないドイツは、石油資源に頼らない国家づくりが求められていたと言えます。

一方、中国やアメリカもEVに熱心な国ですが、この両大国は、どちらも資源を豊富に算出できる国です。つまり、発電の自給自足が進んでいる国と言えます。

このように考えると、EV推進は単なる「エコ」を目指した問題ではなく、将来の国家存亡を視野に入れた、重要なエネルギー安全保障の問題を含んでいることがわかります。

もちろん、ガソリンエンジン車かEVかという単純な二者択一ではなく、ハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)、そして燃料電池車(FCV)のような選択肢もあります。

現時点では、どれを選ぶかは消費者の自由にゆだねられていますが、日本に関して言えば、エネルギー安全保障の観点から脱ガソリンエンジン車という流れになることは避けられないと言えます。

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執筆者プロフィール
清水 圭太
清水 圭太
1995年生まれ。自動車やファッション、高級時計などのライターとして執筆活動中。現在の愛車はランドローバー、輸入車が好き。週末はSUVで旅行に行くのが楽しみになっている。
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