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年間200件程度、2日に1件以上発生…駐車後に車が勝手に動く「自然発車」の怖さ
自然発車による死亡事故が起きやすい場所は?
自然発車とは、「運転者の行為以外の原因で車両等が動き出すこと」です。車が勝手に動き出すことだけでなく、駐輪したバイクや自転車が道の勾配によって動き出してしまうことも自然発車といえます。
この自然発車による人身事故は、年間200件程度、2日に1件以上発生しています。中には、自然発車した車に轢かれて死亡してしまったという事例もあります。
交通事故総合分析センターのデータによると、自然発車による死亡事故のうち、約60%が勾配3%以上の場所で発生していました。勾配3%とは、100m進んで3m高くなる坂で、角度にするとおよそ1.7度です。急な坂とは言えない角度ですが、自然発車による事故は、緩やかな坂であっても死亡事故に発展する危険性があるということがわかります。
このような危険な自然発車の原因は約92%が人的要因、つまりパーキングブレーキのかけ忘れなど不適切なブレーキ操作によるものが多いこともデータで明らかとなっています。
また、自然発車による人身事故は、年齢層が高いほど多いことも特徴です。年代別の自然発車の事故割合は、60代が23%、50代が18%、40代が16%、30代が14%、70代が13%、20代が11%となっています。
このようなデータから、高齢ドライバーがパーキングブレーキをかけ忘れたことによる事故が目立つといえるでしょう。
サイドブレーキの引きが甘い場合は車が動き出してしまうことも……
車の自然発車を防ぐためには、ギアをパーキングにし、サイドブレーキを確実に引いておく必要があります。マニュアル車の場合には、ギア(バックギアまたはローギア)を入れてサイドブレーキを引いておきます。
また、寒冷地でサイドブレーキを使用しない方がよいシーンでは、輪止めを使って車輪が動かないようにしておきましょう。
自然発車を防ぐ方法について、教習所の指導員は次のように話しています。
「自然発車を防ぐためには、駐車措置をしっかりと行っておくことが大切です。また、サイドブレーキを引いても、引きが甘い場合は車が動き出してしまうことがあります。そのため、車から降りる前に、車が動かないことを確かめておくことがポイントだといえるでしょう。」
また、京都府警察や福岡県警など各都道府県警察も自然発車に対する注意喚起ポスターなどを制作して警告しています。
自然発車は、ちょっとした油断や焦りによって起きてしまう事故です。そのため、ギア(AT車ではP、MT車ではRまたは1速)の入れ忘れやパーキングブレーキのかけ忘れがないようにするだけでなく、車を降りる前に一呼吸おいて車が動かないことを確かめることが自然発車を防ぐ方法だといえるでしょう。
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- 執筆者プロフィール
- 齊藤優太
- 1991年生まれ。自動車販売、教習所での勤務、タクシードライバーの経験を経てライターとなる。現在は自動車ライター/インストラクター(安全運転講師)などを中心にクルマに関する情報を発信している。愛車はア...