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加入義務が進む自転車保険の現状を関係者へ質問してみたら衝撃の加入率だった
フードデリバリーの普及や健康づくりのためにサイクリングが流行していますが、同時に自転車が絡んだ交通事故が後を絶ちません。近年では、「自転車保険」の加入を義務付けている自治体が増えています。自転車保険へ加入する人は増えているのでしょうか。
自治体によっては”4人に3人”が加入している!
神奈川県では「県民ニーズ調査結果」というアンケート調査を実施しており、2021年には「自転車保険」に関する調査を行い、公表しています。
約3,000件へ無作為にアンケートを配布し50%程度を回収。約3割の回答者が自転車を利用している中で、4人のうち3人程度が自転車保険に加入しているとのことでした。
この結果について、「神奈川県交通安全対策協議会」で交通安全の周知・広報活動を行っている関係者に話を伺いました。
「国土交通省で令和3年に「自転車活用推進計画」という自転車専用道路の整備や交通安全、放置自転車の解消を目指す計画を策定しました。その中に、自転車保険への加入を促進する項目があり、令和7年度までに自転車利用者の75%が加入しているという指標を立てています。
神奈川県で集計したアンケートで見れば、既に75.9%の加入率を実現しており、国土交通省で数年後に設定した指標を既にクリアし、高い水準を達成しているのが強みです。
au損害保険や損保ジャパン、楽天損害保険と協定を結び、自転車の交通安全を推進する運動も行っています。街頭でのチラシ配布や交通安全を訴えかけるイベントを開催して、自転車保険への加入を促す取り組みを行っているので、今後も継続して取り組んでいく予定です。」
全国各地の自治体で自転車保険への加入を義務としている中、神奈川県は既に国土交通省が指標を掲げている加入率目標を達成できている点に、自転車利用者の意識の高さが伺えます。
従来の「任意保険」が徐々に義務化
自転車を使って仕事や通勤、運動をする人が増えている昨今、車や歩行者との事故も増えています。
警察庁ウェブサイトによれば、令和3年に発生した自転車関連の事故件数は69,694件となり、交通事故の全件数に占める比率は22.8%と、5件に1件は自転車が絡んでいることになります。
自治体により加入が義務付けられるようになってきた「自転車保険」は、自転車を運転している人が歩行者に怪我を与える事故を起こしてしまった時の賠償請求に対応できる保険です。これは、自動車の保険に例えるなら「任意保険」に当てはまります。
未成年から高齢者までが加入対象となっており、2億円以上の補償が降りる保険コースが用意されています。また、被害者側となり、ケガしたときの補償も受けられるシステムも取り入れられています。
このように、加害者・被害者どちらになっても、自転車保険なら手厚くサポートしてもらえます。
自転車版「自賠責保険」の登場は現状見送られている
自転車には、自転車保険と銘打った任意保険は用意されているものの、自賠責保険は存在しません。
かつては国土交通省により「自転車版自賠責制度」の導入が検討されていました。しかし、自動車やバイクに設定されている自賠責保険と同様の補償内容を実現するには、結果として任意保険の加入が避けられない点が指摘されています。
加えて、市町村へ登録にかかる費用と手間や、自転車用のナンバープレートを作成する手間など、負担が増える点がネックとなって実現に至っていません。
現状、自賠責保険の導入は未定となっており、任意保険への加入しか万が一に備える方法がない状況です。
交通安全のルールを今一度確認するとともに自転車保険も検討すると、より安全なサイクリングを楽しめるようになるでしょう。
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- 執筆者プロフィール
- 長谷川 優人
- 1990年生まれ。30代突入と同時期にライター業を開始。日常系アニメと車好き。現在所有はワゴンR(MH95S)。アニメ作品の聖地巡礼などで、各地へドライブに出かける。