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ヒルディセントコントロールとは?急な下り坂を安全に走るための機能
下り坂の強い味方 ヒルディセントコントロールとは?
ヒルディセントコントロールとは、急な下り坂を降下する際、自動的に安全速度を保つ運転補助機能。「ヒル」は日本語で「丘」、「ディセント」は「下山」を意味し、下り坂でアクセルやブレーキを操作せずとも安全な降下速度を保ち、ドライバーがステアリング操作へ集中できるようにサポートします。
おもに高斜度の走行を想定したSUVに装着され、急勾配や滑りやすい下り坂で姿勢と速度を自動コントロールし、安全に坂を下れるように補助するように機能します。自動車メーカーによっては「ダウンヒルアシストコントロール」やメーカー固有の名称で呼ぶ場合があります。
ヒルディセントコントロール 主な搭載車種
ヒルディセントコントロールはトヨタ ランドクルーザーやスズキ ジムニーなどの本格SUVはもちろん、トヨタ RAV4や日産 エクストレイル、スバル フォレスターなどのオン・オフロード両方をこなせるSUVに搭載されています。
また、スズキ ハスラーやスズキ イグニス、ダイハツ キャスト アクティバなどのSUVテイストの小型車、軽自動車にも搭載されています。
急勾配や滑りやすい下り坂で効果を発揮!
ヒルディセントコントロールを必要とするシーンは、急勾配や滑りやすい下り坂。具体的には、冬季の凍結した坂道や、砂利や土砂、泥などで覆われた滑りやすい傾斜で効果を発揮します。反対に、一般的な道路は勾配率9%以下(最大でも12%以下)と定められているため、路面状況のよい一般道を走行している限り、ヒルディセントコントロールが必要になるケースは稀でしょう。
また、クロスカントリー競技コースのような、アップダウンのある不整地での下りを安全に走行するためにもヒルディセントコントロールが用いられます。
ステアリング操作に集中できるため、安心
急な下り坂は速度制御とともに、姿勢制御が重要です。走行する勾配が急になるほど、前輪に荷重が集中し、後輪は荷重が抜け、ホイールロックしやすく非常に滑りやすい状態に。車が傾斜に対して斜めになっている状態で後輪が滑ってしまうと、重力にしたがって後輪だけが下方へ滑り出し、スピンや横転の危険性が高まってしまいます。
ヒルディセントコントロールを用いると、アクセルとブレーキを踏まずとも低速度を維持できるようになるため、ドライバーはステアリング操作に専念し、姿勢制御に集中できるようになります。
制御・性能・作動条件はメーカーや車種で異なる
ヒルディセントコントロールの制御はメーカーや車種ごとの装備によって異なります。
トランスミッションは最低速にシフトし、エンジンブレーキと駆動抵抗を積極的に用いて重力にあらがうように制御。ブレーキバランスやスタビリディコントロール、ABSおよびEBD(電子制御制動力分配ブレーキ)を適切に制御して車の姿勢を極力乱さず、車速を上げないように自動制御されます。
ただし、簡易的なヒルディセントコントロールシステムでは、車速の維持を自動ブレーキ制御に依存するため、過度の使用ではブレーキの過熱が発生してしまう場合があるため注意が必要です。
作動条件と解除条件もメーカーによって異なるので注意!
また、作動条件もメーカーや車種によって異なります。多くの車種は特定の条件を満たした状態で、スイッチをオンにするとスタンバイモードに切り替わります。そして、一定の傾斜角度が検知された場合にヒルディセントコントロールが作動を開始。インジケーターでシステムが作動中であることが確認できるようになっています。
しかし、車種によるシフトポジションの違いやデフコントロール有無、作動条件となる速度や傾斜角度などはメーカーや車種によってさまざまです。なかにはヒルディセントコントロール作動中にアクセルやブレーキを操作すると一時的に解除されたり、過度の使用では安全装置が働き、自動的にコントロールが解除される車種もあります。
また、作動時にブレーキランプの点灯するかどうかや、車速の設定ができるかどうかなど、動作環境もメーカーや車種によってさまざまです。使用前には取扱説明書を確認のうえ、できれば安全な場所でテストしてからの使用を推奨します。
- 執筆者プロフィール
- MOBY編集部
- 新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...