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四輪独立懸架とは?メリットと採用車種【ちょっと得する自動車雑学】
目次
四輪独立懸架の定義とは
四輪全てに独立懸架式サスペンションを採用した自動車
四輪独立懸架とは、四輪(左右前後のサスペンション)に独立懸架式サスペンションが採用されていること示す表現です。
前後左右合わせて4つのサスペンションが、それぞれ独立して車両に取り付けられているものを四輪独立懸架式サスペンションと言います。「4つ」それぞれが「独立」しているので四独というわけです。
独立懸架式サスペンションに対立するのが車軸懸架式サスペンションになります。左右のサスペンションが車軸(アクスル)と呼ばれる1本の棒のようなもので繋がっている仕様です。
前後のサスペンションで繋がることはありませんが、左右サスペンションが繋がっているので、例えば車軸懸架式の右側のサスペンションが段差を乗り越えた場合、左側にもその衝撃が伝わることとなります。
乗り心地がよく、セッティングの幅も広い
四輪独立懸架式サスペンションは、全てのサスペンションが独立して動くことで他のサスペンションの影響を受けず、車軸懸架式と比べて乗り心地が良くなります。
例えば、右フロントタイヤが段差の上を走ったとして、地面からタイヤへの入力が伝わるサスペンションは右フロントサスペンションのみです。
モータースポーツの側面では、アライメント調整によるセッティングの幅が広がる点がメリットとなります。そして、四輪独立懸架であるというステータスへの満足度も忘れてはなりません。
アライメント調整の手間がかかるうえ、高コスト
悪い点を挙げると、まず四輪全てをアライメント調整することになるため手間が増えます。モータースポーツではセッティングにこだわりすぎて沼にはまってキリがなくなることも。リアが車軸懸架式の車両と比べると、部品点数が多くなって高コストです。
前輪駆動のコンパクトカーの多くは、フロントサスペンションが独立懸架式で、リアサスペンションがトーションビーム式になっています。トーションビーム式は車軸懸架式と独立懸架式を足して2で割ったようなもので、「車軸式」と呼ばれることが多いです。
巷では独立懸架式に含まれることが少なく、四輪独立懸架ではないと認識されているように感じます。コンパクトカーの多くには車軸式が採用されていて、低コストとスペース確保の2つが主な理由です。
独立懸架式サスペンションの種類
マクファーソン・ストラット式
独立懸架式サスペンションの中でもシンプルな構造を持つのがマクファーソン・ストラット式です。コンパクトカーや軽自動車のフロントサスペンションには、大体コレが採用されています。
アメリカの自動車エンジニアのアール・スティール・マクファーソンが開発したことから、この名称がつけられました。
ダブルウィッシュボーン式
高級車やレーシングカーへ採用されている独立懸架式サスペンションです。ロワアームとアッパーアームという一対のアームが採用されていて、これはダブルウィッシュボーンの特徴的な見た目として知られています。
ダブルウィッシュボーン式サスペンションの特長には、ストラット式と比べてアライメント変化が少ないこと、そしてもう1つはセッティングし易いことなどが挙げられます。
問題点としては、部品点数が多いので高コストになりがちなこと、そしてバネ下重量が重くなることなどです。
このようにメリットもデメリットもありますが、多くの高級車やスポーツカー、スーパーカーに採用されていることから、サスペンションとしてより高い性能を誇っていることに間違いはないでしょう。
マルチリンク
ダブルウィッシュボーンと共に高級サスペンション形式として知られるのがマルチリンク式になります。
ダブルウィッシュボーンが上下2本のアーム(ロワアームとアッパーアーム)で固定されているのに対し、マルチリンクは4本あるいは5本のリンク(=両端にブッシュを持つ棒状のアーム)によって固定されています。
四輪独立懸架の定番組み合わせ
四輪独立懸架には定番の組み合わせがあります。まとめると次の通りです。
組み合わせ | 採用車種 |
前後マクファーソン・ストラット式 | ホンダ S660、マツダ オートザムAZ-1 |
前ストラット式・後マルチリンク | 三菱 CJ系ミラージュ、アルファロメオ ジュリエッタ |
前ストラット式・後ダブルウィッシュボーン | ポルシェ911、トヨタ 86 |
前後ダブルウィッシュボーン | CR-X、インテグラ、エキシージ |
前ダブルウィッシュボーン・後マルチリンク | ポルシェ パナメーラ、ジャガー XE |
このように四輪独立懸架の自動車にも種類があるのです。そしてこれらのサスペンションの組み合わせは、その車種ごとのエンジンやモーターの馬力・トルク、駆動方式などのスペックなどを踏まえた上で考えられています。
例えば、高級車かつスポーツカーの1つとして知られるポルシェ 911 カレラのフロントサスペンションはストラット式、そしてリアサスペンションはマルチリンク式です。
RR(リアエンジン・後輪駆動)のレイアウトを持つため、リアサスペンションにはより高い性能が求められます。
フロントサスペンションがストラット式となっているのは、それで十分性能を発揮できるという開発陣の結論とも読み取れます。ただし別モデルの911 GT3(現行)ではフロントサスがダブルウィッシュボーンとなっています。
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- 執筆者プロフィール
- 監修者プロフィール
- 鈴木 ケンイチ
- 1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレー...