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「過積載って知ってる?」乗用車にはどのくらいの荷物を積んでいいのか
クルマの故障や運転中の事故を引き起こしかねない
簡単に言ってしまえば、過積載はクルマの故障や運転中の事故に直結するためです。
車を設計する際には、それぞれに想定される積載量(これが最大積載量となる)を決めて、強度や大きさ、エンジンやブレーキのキャパシティを計算していきます。つまり、設計時の想定より重いクルマになっている状態で動かすことは、車の損傷に直結する行為なのです。
そして、筆者が最も危険かつ悪影響と感じることが、重量増による制動力の低下です。
同じ速度が出ている物体を停止させる際に、より大きな力が必要なのは物体の重量が大きい方となるのは、想像がつくでしょう。相撲の立ち合いやラグビーのスクラムでは、それぞれの体重が重い方が相手に大きな衝撃を与え、相手を突き飛ばすことができます。
過積載の状態の車では、車両設計上の制動力では十分にクルマを停止させることができず、制動距離が伸びてしまうのです。
筆者自身も、自動車ディーラー勤務時代に何度も積載車を運転する機会がありましたが、軽自動車を載せている時よりも、大型セダンや大型SUVを載せている時の方が、積載車のコントロールが難しくなります。ブレーキも効きにくくなるので、重いクルマを積むときほど、車間距離を長くとり、安全に運行することに努めていました。
また、講習会等で私有地内を過積載状態のトラックで運転する機会がありました。発進、停止はもちろん、クルマが重くなりコーナリング時の遠心力が増えるため、バランスを崩しやすくなります。フラフラと動くトラックをステアリング一つでは十分に制御できず、恐怖を覚えた経験があります。
また、重いクルマほど道路や橋脚などのインフラに対して、多くの負荷を与えます。道路が早く傷んでしまい、結果として他のクルマの走行にも悪影響を及ぼすこととなるのです。
乗用車にはどのくらいの荷物を積んでいいの?
貨物車であれば、最大積載量は車検証に記載がありますが、乗用車の場合、具体的な数値は規定されていません。乗用車はどのくらいの荷物を積むことができるのでしょうか?
乗用車の場合、車両総重量+αが、設計上の最大重量となっています。
自動車メーカー数社に問い合わせたところ、「基本的には乗車定員数×55Kgに加えて、乗車定員数×10Kg(これは手荷物の想定)を合計した重量の範囲内に抑えて欲しい」という回答がありました。
つまり、5人乗りのSUVの場合、55Kg×5=275Kgと手荷物分の50Kgを加えた、325Kgが最大積載量となります。この重量は人+モノの合計になるので、ドライバーや乗員の体重によって、載せることができる荷物の重量は変わってきます。
マイカーで引っ越しを行う際などに、紙や本を詰め込んだ段ボールをクルマ一杯に積み込むと、車が許容できる積載重量を大きく超えることがあります。
この状態で車を動かすと、サスペンションやブレーキ、エンジンなどに大きな負担をかけるとともに、ボディが大きく沈み込むことによって下回りの破損につながりかねませんまた、過積載の貨物車と同様に、曲がる・止まるといった動作が難しくなり、事故の原因にもなるのです。
荷物の積みすぎは百害あって一利なしです。マイカーに載せることができる重量を把握しておき、多くの荷物を積み込む際や、フル乗車する際には、十分に気を付けて運転してください。
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- 執筆者プロフィール
- Red29
- 1980年代生まれ。国産ディーラーでの営業職として働き、自動車関連の執筆者として独立。ユーザー目線に立った執筆を心掛けています。愛車はトヨタプリウス。ホットハッチに代表される、小規模小パワーのクルマが...