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「昔の話?それとも今も?」ハンドルの据え切りは車に悪い?現役整備士の回答は
据え切りとは何?
据え切り(すえぎり)とは、車が完全停止している状態でハンドルを操作することを言います。
微低速であっても、走行しながらであれば小さな力でハンドルを操作できるのに対し、完全停止状態ではやや大きな力が必要になります。これはタイヤが路面と擦れ合い、大きな摩擦が発生するためです。
重い車や、タイヤが太い車ほど路面との摩擦は大きくなり、停止状態で前輪を転舵するにはより大きな力が必要になります。それをパワーステアリング(パワステ)で無理やり動かすことは、パワステおよびステアリング機構へ負担をかけるため、据え切りはしてはいけないとも言われています。
据え切りは絶対にダメ?
パワステがなかった時代には、大きな力が必要であったため、あえて据え切りをしようとする人はあまりいませんでした。しかしハンドル操作を油圧で補助する油圧パワステが登場したことで、軽い力で据え切りが可能になり、車庫入れや縦列駐車が格段にしやすくなりました。
パワステのおかげでハンドルを操作するための腕力は必要なくなりましたが、タイヤを動かすために必要な力自体は変わっていません。油圧パワステ登場初期の頃は、据え切りによる負荷でパワステ機構からのオイル漏れや動作不良、操舵機構のトラブルが多く発生したため、世の中は「パワステで据え切りはしてはいけない」という風潮になりました。
しかし、現在の車はほどんとがモーターのみで補助を行う電動パワステに変わっています。また近年は車両の大型化に伴い最小半径が大きくなっているため、据え切りせざるを得ないシーンも増えています。現在の車も、やはり据え切りをしてはいけないのでしょうか。この疑問を現役自動車整備士にきいてみました。
- 執筆者プロフィール
- 伊藤友春
- 1981年生まれ。自動車専門Webライターとして執筆活動中。自動車の構造に明るく、ほとんどの整備や修理をDIYでこなす。輸入車・コンパクトカー・変わったデザインやコンセプトの車が好きで、現在の愛車はその最た...