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「昔の話?それとも今も?」ハンドルの据え切りは車に悪い?現役整備士の回答は
現役自動車整備士の回答は
現在は、油圧式のパワステ自体が大幅に少なくなっています。タイミングベルト式エンジンよりは多いものの、急速に減りつつあり現在では電動パワステが主流になっています。そのため、据え切りに関しても極端に多くなければ問題ありません。
油圧式パワステであれば、据え切りすることでパワステオイル内の圧力差が発生し、油内に気泡ができてしまいパワステが効かなくなったという事例もあったようですが、電動パワステであればその心配はありません。
また、据え切りによるタイヤの摩耗に関しては昔同様、タイヤの一部分だけ減ってしまうということはあるかもしれませんが、こちらも極端に多くなければ問題ないと考えます。
懸念する部分としてはブーツ類でしょうか。ほとんど乗っていない車や高年式車両の場合、タイロッドエンドブーツやドライブシャフトブーツはとても硬くなっている可能性も。
その状態で急に据え切りを行うと破けてしまいますよね。ブーツの破れに気づかずに放置していると、金属部分が固着し、交換しなければならなくなってしまいます。
そのような車は、据え切りをしてもしなくてもいつかは破けるので、その点ではこの情報はいらないかも知れませんが、据え切りに関するトラブルとしてお伝えしておきます。
毎日乗っている車や、きちんとメンテナンスしている車なら、極端な据え切りでなければ問題ありません。
据え切りの結論
現役整備士によると、極端な頻度でなければ据え切りをしても問題はないとのことです。
ただし油圧パワステでは、現在でも過度な据え切りはトラブルの原因になるようです。また電動パワステでも過度な据え切りによって保護機能が作動し、パワステが一時的に動作しなくなる事例が報告されています。
また、タイヤは据え切りによって消しゴムのように路面に擦り付けられるためどうしても摩耗が進みます。とはいえ、据え切りする度に同じ場所が削れるわけではないため、タイヤの摩耗もそれほど気にするほどのことではないでしょう。
むしろ、何年も同じ場所で据え切りすることになる自宅の駐車場などでは、地面への心配が必要です。実際に自動車教習所では、度重なる据え切りによって路面の方も削れてしまうそうです。
電動パワステの車に限定すれば、据え切りに関してそれほど神経質になる必要はないといえるでしょう。しかし、わずかとはいえ車への負担にはなるため、負担を掛けずに済むのならそれに越したことはありません。
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- 執筆者プロフィール
- 伊藤友春
- 1981年生まれ。自動車専門Webライターとして執筆活動中。自動車の構造に明るく、ほとんどの整備や修理をDIYでこなす。輸入車・コンパクトカー・変わったデザインやコンセプトの車が好きで、現在の愛車はその最た...