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【ディーゼルエンジンオイル交換】費用や交換時期、オイルの選び方まで徹底解説
ディーゼル用のエンジンオイルは、ガソリン車に使うものとは添加剤やオイル粘度の基準が異なります。交換時期はガソリン車と同じでも構いませんが、ディーゼルエンジンの特性上、ガソリン車よりもエンジンオイルが汚れやすい性質があります。
ディーゼル用のエンジンオイルについて、交換時期やオイル粘度など基本的な部分をご紹介していきます。
目次
ディーゼル用のエンジンオイルの基礎知識

ディーゼルエンジンオイルとガソリンエンジンオイルの違い
ディーゼル用とガソリン用、それぞれのエンジンオイルはの違いを表にしてみました。
項目 | ガソリン車 | ディーゼル車 |
---|---|---|
オイル粘度 | 0w20or10w-30 | 10w-30or15w40 |
オイル量 | 約3.0~5.0リットル | 約4.5~8.0リットル |
交換頻度 | 5000㎞ごと | 5000㎞ごと |
交換の値段(オイルのみ) | 3000円~8000円前後 | 5000円~1万円前後 |
分かりやすく違いを書いているだけで、この表がすべてではありません。ガソリン車でも10w-40と高い粘度を使うガソリン車もあります。また、オイル量も平均的な数値を書いてみました。
ディーゼル用は粘度が高く、清浄分散剤が多めに入っている
ディーゼル用のエンジンオイルは、乗用車であればDL-1と呼ばれるものが使われています。また、ガソリン車に比べ圧縮圧力が高いので、粘度が高めに設定されています。
そして、一般的に使われている粘度の違いはあるものの、一番の違いは添加剤です。ディーゼル車の場合、エンジンの特性上、燃焼のときに酸化化合物が多く排出されます。
酸化化合物をそのまま放置していると、エンジン内部の腐食につながります。そのため、ディーゼル用のエンジンオイルには、アルカリ性の添加剤が多く含まれているのです。
酸性である酸化化合物と添加剤のアルカリ成分がくっつくと、中和され水ができます。その水を清浄分散剤によって、エンジン内にとどめないようにしているのです。
そのため、ディーゼル用のエンジンオイルは、清浄分散剤も多めに入っています。
このように、ディーゼル用のエンジンオイルは、ベースとしてはガソリン用と同じではあるものの、粘度や添加剤などたくさんの違いがあることを覚えておきましょう。
ディーゼルエンジンオイル交換の値段の目安

ディーゼル車のエンジンオイル交換費用の目安は、5000円から1万円前後です。もちろん、車によって、そしてどの店舗で交換するのかによって、値段はかなり変わったりします。
また、オイルフィルターの交換も追加されると、1万円を超えることも珍しくありません。
ディーゼル車のエンジンオイル交換が高い理由は?
ディーゼル車のエンジンオイル交換費用は、ガソリン車に比べると高くなりがちです。
その理由は、ディーゼル車の方が使われるエンジンオイルの使用量が多いからです。オイル量は1〜3リットルほどの違いがあります。
また、ディーゼル用とガソリン用のエンジンオイルを比べた場合、ディーゼル用のエンジンオイルの性能の方が高いため、オイル自体の値段の差も関係しています。このように、同じ大きさで比較した場合、ディーゼル車の方がオイルの交換費用が高くなってしまうのです。
ディーゼル車に普通のオイルを入れたらどうなる?

ディーゼル車に普通のオイル、つまりガソリン車用のエンジンオイルを入れてもすぐには壊れません。ただし、長期にわたってガソリン車用のエンジンオイルを使っていると、トラブルに発展してしまうので注意しましょう。
先ほどお伝えしたように、使う種類が違うということは、求められる性能が違うということ。つまり、ガソリン車用のエンジンオイルは粘度や清浄分散性能、また中和性能がディーゼル用に比べ低く、エンジンだけでなくDPFまでも故障してしまう可能性があるのです。
ディーゼル車に乗っているのであれば、エンジンオイルの交換の際は必ずディーゼル用のエンジンオイルを使用しましょう。
ディーゼル車とガソリン車兼用のエンジンオイルもある
ディーゼル車とガソリン車兼用のエンジンオイルも存在しています。ディーゼル車用、ガソリン車用と違いはあるものの、ベースとなる性能は同じです。
そして、どちらかといえばディーゼル車用のエンジンオイルの方が性能が高いという特徴があります。そのため、兼用オイルはディーゼル車用のエンジンオイル性能に近い作りとなっています。
ディーゼル用エンジンオイルのグレード表

ディーゼル用のエンジンオイルは、ガソリン用のエンジンオイルとグレードの規格そのものが違います。そして、エンジンオイルのグレードはどの団体が示しているのかで表記も基準も変わります。
日本で一般的な規格はAPI規格です。API規格とは、アメリカの石油協会が定めた規格であり、日本ではエンジンオイルによく使われます。
ディーゼル用エンジンオイルのAPI規格

グレードのなかには2サイクル専用、建設機械の使用を前提としたものも含まれます。
そのため、全てにおいて車に当てはまるわけではないものの、下にいけばいくほど高負荷に耐えられる高性能なエンジンオイルとなっています。
また、表には記載していませんが、CDよりも低いグレードにCA、CB、CCがあり、これらは初期に設定され性能が低いことから現在では使用されていません。
ディーゼル用エンジンオイルのグレードは、API規格だけではありません。欧州車向けのオイル規格もあります。
こちらの表はACEA規格であり、欧州車で使われているオイルのグレード表となっています。参考までに知っておくとよいでしょう。
規格 | 性能 |
---|---|
C1 | ・省燃費オイル ・硫酸灰分0.5%m/m以下 |
C2 | ・省燃費オイル ・硫酸灰分0.8%m/m以下 |
C3 | ・エンジン保護性能が高い ・硫酸灰分0.8%m/m以下 |
C4 | ・エンジン保護性能が高い ・硫酸灰分0.5%m/m以下 |
C5 | ・超省燃費オイル ・硫酸灰分0.8%m/m以下 |
※硫酸灰分とはDPFの詰まりに関する数値です。この数値が低い方がDPFが詰まりづらくなります。
オイルの粘度は10W-30や15W-40が一般的
ディーゼル用のエンジンオイルの粘度は、10w-30もしくは15w-40が一般的です。ガソリン車と比べ、粘度が高い、つまり粘り気が高くなっています。
しかし、最近ではディーゼル車でも低燃費を実現するため、5w-30などといった粘度の低いエンジンオイルも普及し始めています。今後、ディーゼル車が増える可能性は低いものの、このように、ディーゼル車も進化しているのです。
ディーゼル用エンジンオイルのおすすめ3選
マツダ ディーゼルエクストラ SKYACTIV-D 0W30 20L
マツダから販売された、SKYACTIV-D専用のエンジンオイルです。クリーンディーゼル車の普及に一役買ったマツダ車ですが、エンジンオイルも専用のものを販売しています。高温高圧の環境下で着火される軽油を清浄する性能が高く、低温時の粘度が低いため、燃費も向上します。
TOYOTA キャッスル ディーゼルエンジンオイル DL-1 5W-30
トヨタ自動車から販売されているディーゼル専用オイルです。お値段もお手頃価格となっています。
ハイエースなどたくさんのエンジンオイルを使用する車には、経済的にもおすすめです。
JXエネルギー ディーゼル DH-2/CF-4 (DH-2/CF-4 DPF対応ディーゼルエンジン油 ) 20Lペール缶
ENEOSから販売される、JASO規格がDH(大型車用)、かつ、最高ランクCF-4のディーゼル用エンジンオイルです。DPFの装着の有無に関わらず、適用可能となっています。高品質であり、経済的でもある商品です。
ディーゼルエンジンオイルの交換時期

ガソリン車と同じ5000㎞ごとでOK
ディーゼル用エンジンオイルの交換時期はガソリン車と同様の5000㎞ごとで構いません。オイルフィルターは1万kmごとの交換です。
交換時期に関しては、ディーゼルエンジンの方が汚れづらいからガソリン車よりも早めの方がよいという意見もあります。確かに、ディーゼルエンジンは圧縮圧力の高さ、そして直噴という特性上、エンジンオイルは汚れやすい、つまりゴミを含みやすいという特徴があります。
もちろん、早めに交換する方がエンジンへのダメージは少なくなるでしょう。しかし、交換頻度を上げるということは、維持費の向上、そして手間が増えてしまうデメリットがでてきます。
無理な交換時期を設定することで、結局、思ったようなタイミングで交換できなかったとならないように、この記事ではガソリン車と同じ交換時期をおすすめします。
交換時期がガソリン車と同じであっても、ディーゼルエンジンは簡単には壊れません。大切なのは、定期的にきちんと交換すること。
無理な設定をするよりも、現実的に通える頻度を設定しておきましょう。
オイル量が増えることがあるが異常ではない
ディーゼルエンジンはオイル量が増えることがあります。理由は、直噴を採用しているからです。
直噴とは、燃料を燃焼室に直接吹き付ける構造です。そのため、エンジンオイルと混ざりやすくなります。
結果的に、爆発によって燃焼しきれなかった燃料が、エンジンオイル内に取り込まれ、エンジンオイルが増えたように見えてしまうのです。ディーゼル車の場合、エンジンオイルが多少増えている現象は異常ではありません。
減っている場合はオイル下がりやオイル上がりが考えられる
エンジンオイルが減っている場合、オイル下がりやオイル上がりが考えられます。その他にオイル漏れなども考えられるでしょう。
オイル上がりやオイル下がりとは、オイルが燃焼室に入り込み、爆発と同時に燃焼してしまう現象です。オイルが燃焼してしまうことで、エンジンオイルが減ることがあります。
このような場合、パッキンやオイルリングを交換しないと原因は解決できません。
多少、減っている程度であれば、様子を見ながら乗り続けることも可能ですが、放置しても直ることはないのでその点だけ注意しましょう。乗り続けたいのであれば、費用やタイミングを見計らいながら、修理をおすすめします。
まとめ
ディーゼル用のエンジンオイルは、ガソリン用のエンジンオイルとは性能が少し違います。添加剤の種類であったり、粘度の違いなどが挙げられます。
仮に、ディーゼル車にガソリン用のエンジンオイルを入れたとしても、すぐに壊れることはありません。しかし、長期的にみるとトラブルの原因となってしまうので注意が必要です。
オイル規格もディーゼル用とガソリン用では違いがあり、ディーゼルエンジンは欧州車で多く採用されていることから、欧州用のオイル規格も存在します。
そして、ディーゼル車は使われているエンジンオイルの量が多いことから、交換費用が高くなる傾向にあります。このように、ディーゼル用のエンジンオイルは、ディーゼルエンジンの特徴に沿って作られていることがわかるのではないでしょうか。
日本車でディーゼル車は少ないものの、もしディーゼル車に乗っているのであれば、エンジンの特徴を知り適切なメンテナンスを心がけましょう。
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- MOBY編集部 カー用品チーム