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サイドカーの運転に必要な免許とは?犬を乗せても法律的に大丈夫?税金や車検、任意保険も
目次
サイドカーの歴史と構造
サイドカーは馬車のようにより多くの荷物を自転車に積みたいという発想から19世紀初頭のヨーロッパで生まれました。
19世紀末に自転車に内燃機関を搭載したオートバイが誕生すると、自然発生的に側車つきのオートバイも誕生し、普及して行きました。
20世紀初頭は庶民にとって四輪自動車はまだまだ高嶺の花であり、自動車よりも安価で維持費が安いオートバイに側車がついたサイドカーは、庶民のアシ、あるいは荷物の運搬用として急速に普及して行きました。
その当時は家族や友人とサイドカーでツーリングやピクニックに行ったり、商店がサイドカーで荷物を運搬したりする光景が当たり前に見ることができたと言います。
サイドカービルダーの隆盛
サイドカーが普及するにともって側車を製作するコーチビルダーも隆盛を極め、馬車風の豪華な側車、トラックの荷台やコンテナを備えた側車を製作されました。
なお、これらのコーチビルダーの中には、のちに高級車メーカー「ジャガー」に転身する「スワロー・サイドカー・カンパニー」もありました。
サイドカーの軍事利用
1914年に第1次世界大戦が勃発すると、連合国(協商国)と中央同盟国の両陣営は、四輪車の不足を補うために多数のサイドカーを戦線に投入。
これらのサイドカーは機動性を活かし、輸送、斥候(偵察)、伝令、連絡、警戒任務に活躍しました。
第2次世界大戦時には、ベルサイユ条約によって軍用車両の保有制限を受けていたナチス・ドイツがサイドカーを多用しています。
サイドカーの衰退
しかし、第2次世界大戦後は大量生産によって四輪自動車が安価となり、庶民でも手が届く大衆車が普及したことから民間市場においてはサイドカーの需要が次第に減少して行きます。
また、軍用サイドカーもジープに代表される小型軍用車両にその役割を取って代わられて行きました。現在では式典用や儀礼用を除き、多くの軍隊ではサイドカーが装備から外されています。
先進国においては実用の道具としてのサイドカーの役割は終了し、その需要は大幅に縮小しています。
かつてはBMWやハーレー、カワサキなどメーカー純正のサイドカーが販売されていましたが、現在ではウラルなど少数のメーカーを除いて、純正サイドカーの新車販売は行われていません。
しかし、サイドカーには独特の操縦性や希少性があり、趣味性の強い乗り物として、多くのエンスージアストに愛され続けています。
サイドカーの構造
サイドカーはオートバイの左右どちらかの側面に専用のフレームを装着して側車を取つけます。
乗用に用いる側車のことは「カー」もしくは「フネ」と呼び(対してオートバイは「本車」と呼びます)、オートバイの右側に側車がついたものを「右カー」、左側に側車をつけたものを「左カー」と呼びます。
日本や英国のような左側通行の国はオートバイの左側に、米国やドイツのような右側通行の国はオートバイの右側に側車を取りつけが一般的です。
わが国では構造的にオートバイと側車の切り離しの有無により、サイドカーの法的な取り扱われ方が大きく異なります。
側車部分を外しても走行できる構造を持つ、一般的なサイドカーは、道路運送車両法施行規則において「側車付二輪自動車」として扱われます。
いっぽう、側車部分を外して走行できない構造を持つ、「ウラル2WD」や「ドニエプル」などのサイドカーは道路運送車両法施行規則において「三輪自動車」の扱いとなります。
すなわち、前者はオートバイに区分され、後者は三輪自動車(=四輪自動車にほぼ準じます)となるわけです。
サイドカーの新車・中古車価格相場
サイドカーは稀少車のようで、中古車市場でもあまり出回っていません。
サイドカーの中古車価格はピンキリで、下は10万円台から上は800万円を超えるものまであります。サイドカーの価格はベースとなるオートバイの価格とリンクしています。
人気があるのは普通自動車免許で運転できるロシア製のウラルサイドカー(普通自動車免許で運転できる2WDの中古車が多いようですが、ラインナップの中には大型自動二輪免許が必要な1WDモデルもあるので注意が必要です)、ハーレーサイドカー、ホンダGLサイドカーなどの大型バイクベースのものです。
中古車価格は、ウラルサイドカーが100万円から360万円(中心価格帯は100万円台半ば) 、ハーレーサイドカーが100万円から450万円(中心価格帯は200万円前後)、ホンダGLサイドカーが60万円から800万円(中心価格帯は100万円から200万円ほど)となります。
サイドカーの取り付けと取り外し方法
サイドカーの取り付け、または取り外ししたいときは、販売店や専門店に依頼するようにしましょう。取り付けにはステアリングやフレームの装着が不可欠で、何より安全性を考慮して設計しなければなりません。
また、自動二輪車にサイドカーを取り付けたら「側車付二輪車としての車両登録手続き」が必要となります。この手続きも販売店や専門店に依頼すると安心です。
さらに、現存するバイクを改造するときは、車両の構造変更を報告する「改造自動車等の届出手続き」も必要となるので覚えておくとよいでしょう。
これらの登録なしに公道を走ると、トラブルがあった際に保険が適用されない、他人や物を傷つけてしまった際に不利な立場になることもあるので注意しましょう。
サイドカーに乗ってみよう!
サイドカーは「運転が難しそう」「維持が大変そう」「価格が高そう」といったイメージがあるかもしれません。
ですが、茨城県の「サクマエンジニアリング」、東京都の「ブリストルドッグス」、京都の「サッシュ」をはじめ、全国にはサイドカーを得意とするスペシャルショップが多数存在します。
これらの専門店はサイドカーの販売だけでなく、オートバイへの側車の取り付け、車検・一般整備、運転方法のアドバイスなど、ユーザーのサイドカーライフをサポートしてくれます。
サイドカーに興味がある方は、購入を考える前に一度こうしたスペシャルショップを訪れることをおすすめします。
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- 執筆者プロフィール
- MOBY編集部
- 新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...