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コイルスプリングとは?構造と車のサスペンションに多く採用される理由とへたりについて
なぜコイルスプリングが採用されるのか
世界初の量産乗用車として誕生したフォードT型には、簡素な横置き板ばねが装備されていました。
現代の車は、それよりはるかに重量を増し、パワーも比べものにならないほど上がっています。
さらに、コーナリング性能や乗り心地なども要求されるのと同時に、広い室内スペース効率も求められるのが現代の車です。
それらの要求を満たすためには、設計自由度の高いコイルスプリング形状がベストでした。
コイル形状のスプリングは線径、巻き径、巻き数の3つの要素を調整することで、バネ鋼鋼材質だけに依存しない、車に最適なバネ特性を与えることが可能になります。
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現代においても板バネを採用する車
現代においては、ほとんどの車がコイルスプリングを採用しています。
板バネが使用されるのは、なにより堅牢性が求められるトラックくらいでしょう。
しかし、誕生当初から一貫して板バネを採用し続ける高性能スポーツカーが存在します。
それがシボレー コルベット。
1954年に誕生したC1コルベットから、現行のC7まで、一貫してV8・OHVエンジンと横置き板バネを採用し続け、今やコルベットの特徴となっています。
その高性能グレードであるZO6やZR1は、板バネを採用ながらも”世界のサスペンション試験場”であるドイツ・ニュルブルクリンクで、他の高性能車と型を並べるタイムを叩き出すのですから、コイルスプリングの絶対的な優位性というのには疑問を持ってしまいます。
とはいえ、C7コルベットが採用する板バネの材質は一般的なバネ鋼鋼材ではなく、カーボン複合材であり、その軽量さがもたらす性能であると推測することもできます。
新素材によるバネは、もはや形状に依存しないのかもしれません。
板バネでニュルブルクリングをアタックするC7 コルベット ZR1
スプリングの新技術
コイルスプリングについてご紹介してきましたがいかがでしたか?
長期に渡ってへたらず、安定した走行が可能となった現在のサスペンションスプリングには、もはやこれ以上の進化は必要ないと思われます。
しかし、スプリングの進化はとどまることを知りません。
今までにない精度で、一定のバネレートを発生させる、米国HYPERCOILS社の通称「ハイパコ」は、世界で戦う多くのレース車両で採用されています。
日本の各自動車メーカーのサプライヤーである中央発條株式会社の「SASC」は独自のバネの成形技術により、ダンパーの動きを邪魔しない最適なスプリング形状で乗り心地に貢献します。
より軽量なスプリングを目指し、カーボン複合材製によるコイルスプリングの研究開発もされています。
コイルスプリングはどんどん進化しています。
たかがバネと侮ることはできません。
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- 執筆者プロフィール
- MOBY編集部
- 新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...