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スタッドレスタイヤの履きつぶしはNG!危険性や交換時期・保管方法
目次
スタッドレスタイヤを履きつぶす危険性とは?
冬用タイヤであるスタッドレスタイヤは、オールシーズンの使用に適しません。通年使用によるスタッドレスタイヤの履きつぶしは危険性が高く、ドライバーに多数のデメリットをもたらします。
乾いた路面で止まりにくくなる
スタッドレスタイヤは乾いた路面に対するグリップ力が弱く、夏タイヤ(サマータイヤ)とくらべて制動に距離を要します。このため、通年でスタッドレスタイヤを履いていると、追突事故や衝突事故を起こす危険性が高まります。
独自の素材と構造が制動力を低下させる
スタッドレスタイヤの素材には、氷点下でも硬化しない柔らかなゴムが使用されています。このため冬場に安定した性能を発揮しますが、気温の高い夏場にはゴムの軟化によりグリップ力が低下してしまいます。
また、スタッドレスタイヤの特徴である細かなサイプ(溝)も、制動力を下げる要素の1つです。サイプは氷雪路とタイヤとの密着度を高めますが、表面が変形しやすく、乾燥路では制動に必要なグリップ力を逃してしまいます。
これらのデメリットが制動距離に与える影響は小さくありません。スタッドレスタイヤを装着している車は、ブレーキ性能が大きく低下していると思ったほうがよいでしょう。
雨の日の危険性が高まる
スタッドレスタイヤは雨の日に滑りやすく、オールシーズンで使用するとスリップ事故を起こす危険性が高まります。氷雪路に強いスタッドレスタイヤは、ハイドロプレーニング現象(路面とタイヤ間に生じる水膜でスリップする現象)を起こしやすいタイヤでもあるのです。
水はけの悪さがスリップを招く
スタッドレスタイヤには深い溝があり、細かいサイプも無数に刻まれています。このため、一見すると濡れた路面で滑りにくいタイヤに見えるかもしれません。
しかしながら、深い溝やサイプはあくまで氷雪路用の仕様であり、雨の日の排水やグリップにはあまり役立ちません。また、スタッドレスタイヤのゴム素材は吸水性が高く、雨が降ると多量の水分を含んでしまいます。
これらの特徴からスタッドレスタイヤは水はけが悪く、雨の日にハイドロプレーニング現象を起こしやすいのです。気温と湿度の高い季節には、この傾向が強まると思ってください。
バーストの危険性が高まる
スタッドレスタイヤは摩擦熱の影響を受けやすく、高速道路の走行に適しません。タイヤの状態によっては高速走行中にゴムが変形してしまい、バースト(破裂)する可能性があります。
空気圧不足と夏場の乗車に要注意
走行中にタイヤがバーストする原因には、摩擦熱のほかに空気圧不足があげられます。夏タイヤも空気圧が不足すると破裂しやすくなりますが、スタッドレスタイヤはその危険性がより高いと思ってください。
また、気温の高い夏場はゴムが変形しやすくなるため、タイヤのバーストが生じやすくなります。一般道でスタッドレスタイヤが破裂するケースもあるため、高速道路に乗る機会の少ない方も注意が必要です。
燃費と快適性が低下する
スタッドレスタイヤの通年使用で生じるデメリットには、燃費の低下もあげられます。夏タイヤとくらべてスタッドレスタイヤは摩擦抵抗が大きく、かつ重量が重いため燃費を低下させてしまうのです。
付け加えると、スタッドレスタイヤは静音性が低く、車内に入るロードノイズを大きくします。以上のデメリットを持つスタッドレスタイヤは、シーズンオフには夏タイヤに交換すべきタイヤといえるでしょう。
スタッドレスタイヤの交換時期とは
スタッドレスタイヤから夏タイヤへの交換は、適切な時期に行う必要があります。また、交換の際には履き終わったタイヤを点検して、次のシーズンも使えるか否か判断しなければなりません。
スタッドレスタイヤから夏タイヤへの交換時期と、新品への交換タイミングについて詳しく見ていきましょう。
夏タイヤへの交換時期
スタッドレスタイヤから夏タイヤへの交換時期は、3月初旬〜4月下旬あたりが適切です。この時期には降雪や路面の凍結が起こらなくなり、夏タイヤで安全に走れるようになります。
より具体的な交換タイミングは、お住いの地域の気候に応じて判断してください。気象庁が公開している「霜・雪・結氷の初終日」を参考にすると、交換時期を決めやすくなります。
なお、夏タイヤの多くは気温7度以上で性能を発揮します。お住まいの地域の最低気温が7度を下回らなくなったら、夏タイヤへの交換時期がきたと思ってよいでしょう。
新しいスタッドレスタイヤへの交換タイミング
スタッドレスタイヤの買い替えの判断基準には、ゴムの摩耗の度合いと、製造からの経過年数があげられます。タイヤの摩耗が少なかったとしても、製造からの年数によっては新品に交換しなければなりません。
摩耗による交換のサイン
スタッドレスタイヤのトレッド面(地面と接する面)には、摩耗による使用限界を示す次の2種類のサインが設けられています。
- スノープラットフォーム
- スリップサイン
「スノープラットフォーム」は冬タイヤとしての使用限界を示すサインで、タイヤの溝の残りが50%以下(概ね5mm以下)になると露出します。このサインが出た状態で走行しても違法にはなりませんが、氷雪路での危険性は高くなります。
「スリップサイン」はタイヤとしての使用限界を示すサインです。溝の残りが1.6mmになると出現し、そのまま公道を走ると違法になります。
以上の2つのサインのうち、摩耗によるスタッドレスタイヤの交換時期はスノープラットフォームを基準に判断したほうが安全です。
経年による交換時期
スタッドレスタイヤは製造から3〜5年程度で寿命を迎えます。未使用時もタイヤの劣化は進むため、使用頻度や走行距離にかかわらず、製造年から3〜5年が経ったスタッドレスタイヤは交換を検討しなければなりません。
なお、スタッドレスタイヤの製造年は、タイヤ側面の4桁の数字で確認できます。たとえば「1522」と刻印されたタイヤは、2022年の15週目(4月の3週目)に製造されています。
スタッドレスタイヤを買い換える際は、なるべく製造時期の新しいタイヤを選び、管理のために次の交換時期をメモしておくとよいでしょう。
スタッドレスタイヤは交換して保管しておこう
冬シーズンが終わり、スタッドレスタイヤから夏タイヤへの交換が済んだら、取り外したタイヤを適切に保管しなければなりません。
オフシーズンの保管方法によってタイヤの寿命は大きく変わります。スタッドレスタイヤを長持ちさせたいなら、保管前のチェックやメンテナンスを念入りに行うことが肝要です。
タイヤの状態をチェックする
スタッドレスタイヤを保管する際は、まずタイヤの摩耗やダメージの度合いを確認しましょう。具体的なチェックポイントには、次の3つがあげられます。
- スノープラットフォームやスリップサインが露出していないか
- ひび割れや偏摩耗を起こしていないか
- 釘やガラス片などの異物が突き刺さっていないか
- サイプに小石が入っていないか
タイヤの摩耗やダメージが大きい場合は、新品への買い替えを検討しましょう。
また、サイプに入った小石は必ず取り除いてください。小石が入ったままスタッドレスタイヤを保管すると、サイプが広がった状態で硬化してしまい、氷雪路でのグリップ性能が低下します。
タイヤの汚れを落とす
冬シーズンを越したスタッドレスタイヤには、泥やオイルなどの汚れが付着しています。これらの汚れはゴムの劣化を早めるため、保管前に洗い落とさなければなりません。
タイヤの洗浄方法は水洗いで十分です。ただし、汚れが頑固で落ちない場合は、水で薄めた中性洗剤で洗浄してください。また、タイヤワックスが塗ってある場合は必ず洗い落としましょう。
タイヤを洗い終えたら、水分を拭き取って日陰で乾燥させてください。乾燥が不十分なままタイヤを保管すると、水分がゴムの劣化やカビなどの原因となるので注意しましょう。
空気圧を調整する
ホイールが付いたスタッドレスタイヤを保管する際は、空気圧を指定値の半分程度に調整しましょう。指定空気圧のままタイヤを保管すると、パンパンに張った空気によりゴムに負担がかかってしまいます。
また、空気を完全に抜いた状態でのタイヤの保管もNGで、ホイールの重さによりゴムが変形したまま硬化して、最悪は元に戻らなくなります。保管時のスタッドレスタイヤの空気圧は、タイヤの形状が変わらない範囲で抜くようにしましょう。
スタッドレスタイヤの最適な保管方法・保管場所
屋内保管は風通しのよい冷暗所へ
スタッドレスタイヤの保管場所は、 紫外線と熱が避けられる風通しのよい冷暗所が最適です。
とはいえ、屋外で使用されることを前提に造られるタイヤなので、絵画を保管するような厳重な管理は必要ありません。雨風をしのげて、太陽の光にさらされない場所で十分です。車庫や倉庫内の直射日光が当たらない場所、もしくは生活室内が最適といえます。
また、空気中の酸素も樹脂を酸化させてしまうため、わずかではありますがタイヤ劣化の原因になります。 保存状態を最良にしたい場合は、タイヤを真空パックする製品を利用しましょう、
屋外保管するときの注意点
屋内に保管場所が確保できない場合は、 直射日光や紫外線が当たらないよう、カバーやケースなどでタイヤを覆いましょう。 特に紫外線は樹脂に対する攻撃性が強く、プラスチック製品をほんの数ヶ月ほど屋外に放置するだけでボロボロにしてしまいます。
野ざらしだったり一階のベランダでの保管したりする場合、盗難に注意する必要があります。
シーズンを終えたらスタッドレスタイヤは交換しておこう
スタッドレスタイヤを履きつぶせば、夏タイヤの購入費を節約できて得するように思うかもしれません。しかしながら、スタッドレスタイヤをオフシーズンに履いていると、タイヤ性能と路面とのミスマッチにより事故の危険性が高まってしまいます。
カーライフには節約も必要ですが、自身や周囲の危険につながる行為は避けたいところです。愛車で安全に走り続けられるように、冬シーズンが終わったら必ずスタッドレスタイヤを夏タイヤに交換しましょう。
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スパイクタイヤとは
- 執筆者プロフィール
- MOBY編集部
- 新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...