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タイヤローテーションとは?やり方からメリット・費用の目安まで
目次
タイヤローテーションとは?
タイヤローテーションとは、タイヤの位置を入れ替えて装着することです。車のタイヤは駆動方式やエンジン搭載位置、足回りの状態や運転環境などによってそれぞれの位置の摩耗進行具合が異なります。
とくに車体前方に重量物であるエンジンを搭載し前輪で駆動するFF(前輪駆動車)は、フロントタイヤが極端に摩耗しやすく、タイヤローテーションをせずに走行を続けていると、フロントタイヤだけが早期に寿命を迎えます。また、それ以外の駆動方式でも前輪と後輪では細かな摩耗状態に違いがあります。
定期的に前後左右のタイヤを入れ替え、4本のタイヤの摩耗進行を均等にしてやることでタイヤの総合寿命を伸ばすためのメンテナンスがタイヤローテーションです。タイヤローテーションを実施する目安は、おおよそ5,000km走行ごとに1回が望ましいとされています。
タイヤローテーションのメリット
タイヤコストを抑えられる
タイヤローテーションをすることで新品タイヤに交換するサイクルを延ばせるようになるため、そのぶん車の維持費を抑えられます。とくに恩恵を受けられるのは、タイヤが高額な車や前後重量バランスが偏った車、駆動輪が摩耗しやすい高出力エンジン搭載した車や偏摩耗を起こしやすい車などです。
安全運転に貢献する
定期的なタイヤローテーションは安全運転のためのメンテナンスでもあります。タイヤは摩耗して溝が少なくほど排水性能が低下しウェットグリップが低下します。摩耗が進行して前後のタイヤ性能に大きな違いが出ると、雨天走行時に前輪もしくは後輪だけがスリップして交通事故に発展しかねません。
タイヤローテーションのデメリット
実施に手間や費用がかかる
タイヤローテーション作業は、通常のタイヤ交換以上に手間がかかります。タイヤを1輪づつ持ち上げてローテーションをする場合は、車に付いているタイヤと合わせて5本のホイール付きタイヤが必要となり、合計5回の着脱作業をしなくてはなりません。整備工場などに作業を依頼するにしても相応の費用がかかります。
振動やノイズが増える場合がある
タイヤローテーションを行った直後は、微振動や異音が発生する場合や、グリップやハンドリングに違和感を覚えてしまう場合があります。ただしこれらはタイヤの接地状態がそれまでと変わったことで起こる一時的な異常であり、摩耗が一定量進行すれば解消されます。
タイヤローテーションのやり方
ローテーション作業に際するタイヤの着脱方法はタイヤ交換作業と同じです。しかし、リジットラックなどで4輪を同時に持ち上げない限り、1輪を予備タイヤと交換してから作業しなくてはならないため、ホイール付きタイヤや応急用タイヤなどが手元にない場合はローテーション作業が行えません。
また、入れ替えるタイヤの位置は駆動方式によって異なるうえ、装着しているタイヤによっても入れ替える位置が変わるなどの決まりがあり、作業を行うためにはこれらの基本ルールも覚えておく必要があります。
前輪駆動車(FF)の場合
前輪駆動車は、遊輪となる後輪の左右を入れ替えて前輪として取り付けます。駆動輪として使っていた前輪は、左右を入れ替えずに後輪として取り付けます。
エンジンを搭載する車体前側が極端に重いうえ、前輪が駆動と操舵の両方を受け持つFF車は、フロントタイヤだけが摩耗しやすいため定期的に摩耗状態をチェックし、早めのタイヤローテーションをおすすめします。
後輪駆動車(FR・MR・RR)の場合
FRなどの後輪駆動車は、遊輪である前輪の左右を入れ替え、後輪としてに取り付けます。駆動輪である後輪は、左右を入れ替えずに前輪として取り付けます。
後輪駆動車のなかでも車体後側にエンジンを搭載しているMRやRRは、前後で異なるサイズのタイヤを装着している場合がほとんどです。このような前後異経タイヤを装着する車は、前後タイヤを入れ替えるローテーションができません。
四輪駆動車(4WD)の場合
四輪すべてが駆動輪となる4WDは、主となる駆動輪が前後どちらかで、ローテーションの方法が異なります。FFベースの4WDの場合は前輪が主駆動輪となるため前輪駆動車と同じ方法で入れ替え、FRベースであれば後輪駆動車と同じ方法でローテーションを行います。
主となる駆動輪がどちら判断できない場合は、車両の取扱説明書の記載にしたがって作業をしましょう。
回転方向指定タイヤの場合
トレッドパターンが左右非対称形状になったタイヤのように、回転方向が指定されているタイヤを装着している場合は、左右輪を入れ替えると回転方向が逆になってしまい、タイヤの性能が発揮できなくなります。
そのため回転方向指定タイヤをローテーションする場合は、遊輪の左右入れ替えは行わずに前後輪を入れ替えるのが鉄則です。このようなタイヤには、サイドウォールに回転方向を示す矢印が刻印されています。
標準タイヤと同じスペアタイヤが備わる車の場合
クロスカントリーSUVや古い輸入車のように、車に備わるスペアタイヤが応急用(テンポラリータイヤ)ではない場合は、5本のタイヤを使ってローテーションさせることもできます。
その場合は、はじめにスペアタイヤと遊輪を交換し、残りのタイヤはそれぞれの駆動方式に応じた方法で行います。4WDの場合は主駆動輪ではないタイヤにスペアタイヤを装着してください。
タイヤローテーションの工賃・価格の相場
タイヤローテーションはディーラーや整備工場をはじめ、タイヤショップやカー用品店、ガソリンスタンドなどに作業依頼をすることができます。かかる費用はタイヤホイールのサイズや店舗によって価格が上下する場合があるものの、ローテーション作業の工賃相場は1台あたり2,000〜3,000円程度です。
タイヤローテーション作業は通常のタイヤ交換よりも多くの手間がかかります。設備が整った業者に依頼すれば、肉体的な負担をなくせるだけでなく、自分で行うよりも圧倒的に早く作業が終わるメリットもあります。
タイヤローテーションは自分でやってもいい?
タイヤローテーションを自分で行えば、タイヤの状態を正しく把握できるとともに、摩耗状態に応じた柔軟かつ適切な作業ができます。
ただし、車体をジャッキで持ち上げる必要があるタイヤの着脱作業は危険を伴ううえ、作業に不備があるとケガやタイヤ脱落などの重篤な事故に発展する恐れがあります。また、近年はタイヤの着脱に必要な工具やスペアタイヤが装備されていない車も多く、自分でローテーション作業を行うのが困難なケースも珍しくありません。
少しでもタイヤの着脱作業に不安を覚える場合は、無理をせず整備工場などに作業を依頼しましょう。もし作業を依頼するのであれば、適切なタイヤローテーションのタイミングと前後したとしても、タイヤの着脱を伴う点検や車検などの整備ついでにお願いすると工賃を浮かせられる場合があります。
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- 執筆者プロフィール
- MOBY編集部
- 新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...