更新
車検切れ時の仮ナンバーとは?申請や取得方法から取り付け・費用まで
仮ナンバーとは?
白地に赤い斜線が付いたナンバープレートは仮ナンバーといいます。仮ナンバーとは正式名称を「自動車臨時運行許可番号標」といい、未登録車両や車検切れ、自賠責保険切れなどの理由で公道を走行できない車に対して一時的な許可を付与するためのナンバープレートです。
仮ナンバーは特定の用途に限り最大5日を上限に市区町村から貸与され、これを提示することで本来公道を走行できない車でも自走して車検や登録等の手続きが行えるようになります。
ただし、この仮ナンバー制度を利用する際には多くの制約と注意点があることを理解しておかなくてはなりません。また近年は押印廃止や車検証の電子化、ペーパーレス化などで、仮ナンバーの取得方法にも変化が現れています。
自動車臨時運行許可(仮ナンバー)制度が使える条件は?
- 新規車検および継続検査、それにともなう整備を受けるための移送
- 車検有効期限外の車を顧客に届けるための移送
- ナンバープレート盗難などによりナンバー再交付および封印取付のための移送
仮ナンバーの使用はおもに以上の特定用途に限られます。そのため日常生活での移動目的はもちろん、イベントやサーキットへの単なる車の移動では許可が下りません。また、保安基準に適合しない車は仮ナンバーを取得したとしても公道の走行は認められません。
加えて、事前に申請した移送経路を大きく逸脱した場合や、申請した車両以外の車で仮ナンバーを使用した場合など、虚偽申請があった場合は道路運送車両法第107条に基づき1年以下の懲役、もしくは50万円以下の罰金、またはその両方が科せられます。
あくまで仮ナンバーが使えるのは、検査や登録、整備や販売に関わる車の移送目的における最短期間のみです。制度の趣旨にそぐわない理由での仮ナンバー取得は禁止されており、申請書には「条件を満たさない使用が確認された場合、申請に関する情報を管轄する警察署に情報提供します」といった注意も記載されています。
仮ナンバーの取得方法
仮ナンバー申請は自宅がある市区町村の行政機関に加え、移送先までの経路上にある自治体であればどこでも手続きが行えます。手続きの正式名称は「自動車臨時運行許可申請」といいますが、受付窓口で「仮ナンバー申請をお願いします」と伝えれば対応してくれるでしょう。
手続き自体にとくに難しい点はなく、申請にかかる時間も15分程度です。必要事項を記入した申請書類と確認書類を提出して受理されれば、手数料の支払い完了後すぐに仮ナンバーが発行されます。手続きは原則として移送日の当日もしくは前日に行うのが一般的ですが、土日祝日を挟む場合は閉庁日の前日でも受け付けてくれます。
仮ナンバー申請時の必要書類
- 自動車臨時運行許可申請書
- 有効な自賠責保険証明書の原本
- 車名や形状、車体番号等が確認できる書類(車検証、登録事項等証明書、抹消登録証明書など)
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、在留カードなど)
- 手数料750円前後(1件あたり)
- 警察で発行される盗難届受理番号(ナンバープレート盗難の場合)
電子車検証では車検有効期間が確認できないため、車両証明書類には電子車検証に加えて、必要な情報が記載された「自動車検査記録事項証明書」なども必要です。また、2021年10月1日から申請書が全国統一様式に変更されたことにともない押印が不要になっています。
それにより、窓口でもらった申請書やインターネットからダウンロードした従来の手書き書類の提出に加え、自治体によっては表計算ソフト(エクセル等)で電子入力した印刷書類の提出や自治体ホームページの専用フォームから事前申請ができる地域もあります。
なお、自賠責保険の有効期限内でなければ仮ナンバーの使用許可が下りません。車検切れの場合は自賠責保険も期限切れになっている可能性があるため、自賠責保険証明書に記載された契約期間を確認し、必要であれば事前に加入手続きを済ませておきましょう。
自賠責保険の加入は保険会社の窓口に加え、代理店の整備工場やカー用品店などで申し込み可能です。自賠責保険証明書は即日発行されます。
仮ナンバーの取り付け方
仮ナンバーの使用許可が下りると、前後用の2枚の仮ナンバープレートと紙面の臨時運行許可証が発行されます。
仮ナンバーは既存のナンバープレートの位置に取り付け、臨時運行許可証をダッシュボード上に掲示すれば公道の走行が可能になります。ただし、いかなる事情があっても仮ナンバーを車内に掲示しての走行は認められません。
また登録車(普通車)と軽自動車やナンバープレートの有無によって取り付け方に違いがあります。仮ナンバーの正しい取り付け方を解説します。
前側の取り付け方
車の前側は、既存のナンバープレートと交換するかたちで仮ナンバーを取り付けるだけです。ボルトの付け外しは、サイズのあったレンチもしくはドライバーを使い、走行中の脱落を防ぐためにも極力交換するかたちでしっかりと取り付けましょう。ナンバープレートが付いていない場合は、そのままボルト締めで仮ナンバーを取り付けます。
後側の取り付け方
普通車の後側ナンバーには封印が施されているためナンバープレートの脱着ができません。ナンバーの変更を行う予定でない限り継続車検の場合は封印をそのまま外さず、仮ナンバーを重ねて片側だけボルトで共締めしましょう。浮いてしまう封印側は強力な粘着テープなどの固定で十分です。
ナンバーが付いていない普通車や軽自動車は封印がないため、前側と同じようにボルトでしっかりと固定してください。
仮ナンバーの返却方法
目的地に到着したら仮ナンバーを外し、汚れをよく落としてから速やかに許可を受けた行政窓口に返却しましょう。
返却期限は仮ナンバーの使用期限満了日から5日以内とされており、期日までに返納しない場合は道路運送車両法第35条第6号および第108条に基づき6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金刑に処される恐れがあります。
土日や祝日が期限日だった場合の返却方法は各行政機関により異なり、休日専用の窓口が設けられている場合や翌開庁日の提出が認められる場合があります。郵送での返却を受け付けている機関もあるため、その場合は事前に郵送返却をする旨を電話連絡し、送付先の部署名などを確認しておきましょう。
また、やむを得ない事情がある場合は返却期限を延長してくれる場合もあります。返却が遅れそうな場合は、まず申請を行った行政機関に連絡をしてください。
使用期間の延長はできない
仮ナンバーは使用期間の延長が認められません。そのため検査に通らず車検取得までに予定外の時間がかかる場合であっても、申請した期限内に一度仮ナンバーを返却し、必要な場合は再度申請を行わなくてはなりません。
盗難・紛失・破損した場合は?
仮ナンバーの盗難や紛失、破損させてしまった場合は、罰則を避けるためにもすみやかに申請した行政機関に連絡をして事情を話しましょう。
盗難や紛失の場合は、最寄りの警察署に盗難届および遺失届出書を提出し、その際に発行される受理番号も申請した行政機関に伝える必要があります。また、いずれの場合でも申請した行政機関に「亡失・毀損届」を提出したうえで、1,700〜2,000円程度の弁償金を支払わなくてはなりません。
車検切れを防ぐ方法
仮ナンバーによる車の移動は、車検切れを起こした際にもっとも有効な事後対処法といえるでしょう。
しかし、仮ナンバーの申請手続きができるのは行政機関が営業している平日のみです。手続きを行政書士などに委託しようにも費用がかかります。車検切れを起こしてしまうと余計な手間と出費が増えることは免れません。そのため、車検切れ防止は予防対処が肝心です。
車検切れは、スマートフォンのリマインダーアプリやカレンダーアプリの活用で車検切れを防止できます。また、車検満了日の1~3ヵ月前にハガキやメールで案内通知をくれる整備工場やディーラーを利用することでも車検切れ防止が図れます。
ただしこれらの予防法も、携帯端末および電話番号の変更があった際や、引っ越しなどで住所が変わると通知が届かない場合があるため、おおよその時期を把握しておくことは車の所有者として最低限の心得です。
無車検車の運転には重い罰則が科せられます。車検時期を忘れないように予防策を講じたうえで仮ナンバーの取得方法も覚えておき、万が一の車検切れに備えましょう。
特殊ナンバーとは?全4種類や数字の意味など解説
字光式ナンバーはダサい?取付方法や費用など解説
ナンバープレートの変更方法!必要書類や引っ越しした場合などを解説
- 執筆者プロフィール
- MOBY編集部
- 新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...