更新
車のエンジンのオーバーヒートの意味とは?症状から原因、対処法、修理費用まで
エンジンのオーバーヒートとは?

オーバーヒートとは、エンジンの温度が下がらず、異常なほど高温になった状態を指します。エンジンの適温は、約80度から100度です。車がオーバーヒートすると、エンジンが100度以上の高温になるので、さまざまな装置に大ダメージを与えてしまいます。
エンジン内を循環しているエンジンオイルも、一般的なものは120度から130度を超えると劣化が加速し、性能も急激に下がってしまうケースも見られます。つまり、温度が高すぎるとエンジンオイルの役割も期待できないということです。
冷却水が正常に循環できてないことがオーバーヒートの主な原因ですが、循環できていない原因はさまざまです。原因について詳しくは後述します。
オーバーヒートの症状3選

水温警告灯(赤)が点灯する
オーバーヒートすると水温警告灯が赤色に点灯します。水温警告灯は名前のとおり水、つまり冷却水の温度を管理しています。
エンジン始動直後などは青色に点灯しますが、青色なら問題ありません。しかし赤色は要注意です。
赤色は温度が上がりすぎている警告なので、オーバーヒートしているもしくはオーバーヒートになりかけている証拠です。すぐに安全な場所に停車しエンジンを冷ましましょう。
エンジンルームから異音がする
エンジンから異音が発生します。主に「キンキン」や「カンカン」などの金属音が聞こえます。
そのほかに「キーキー」といった音などが聞こえることもあり、いつもと音が違うなと感じた場合オーバーヒートを疑いましょう。エンジンオイルの性能が極端に下がったり、オイルが漏れてしまい潤滑性能が発揮できていない状態です。
エンジンルームから白煙が出る
エンジンルームから白煙が発生します。白煙はオイルが燃えている状態です。また、オイルだけでなく水漏れを起こしている可能性も高く、オーバーヒートだけでなく焼き付きを起こすのも時間の問題でしょう。
白煙が出るほど深刻な状態であればほかの症状も出ているはずです。エンジンへのダメージはかなり大きいと予測できます。すぐにエンジンを切りましょう。
オーバーヒートしたまま走行するとどうなる?
オーバーヒートしたままの走行はエンジンの焼き付きにつながる
オーバーヒートしたままエンジンを動かし続けると、オーバーヒートだけでなくエンジンの焼き付きが発生してしまいます。エンジンの焼き付きはエンジンオイル不足によって引き起こされる故障です。
オーバーヒートでも発生する理由はエンジンが高温になりすぎることで、ガスケットが劣化したりエンジンに使われている金属が歪み、オイル漏れを引き起こしてしまうから。
また、オイルの通路と冷却水の通路が繋がり、エンジンオイルの中に冷却水が入り込んでしまうなんてこともあります。
オーバーヒートに加え焼き付きも発生させてしまうと修理できる可能性は低くなります。オーバーヒートしたら、すぐにエンジンを冷ますように心がけましょう。
オーバーヒートの前兆

エアコンがきかなくなる
オーバーヒートの前兆としてエアコンが効かなくなります。ラジエーターを冷ますファンが動かないことでオーバーヒートした場合、このような前兆があらわれます。
なぜならラジエーターファンは、冷却水だけでなくエアコンガスも同時に冷ますからです。なんらかの原因によってファンが回転せずコンデンサーと呼ばれるエアコンガスの冷却装置が冷まされないことで、エアコンが効かなくなるのです。
そのため夏場にエアコンを付けているのにもかかわらず、冷たい風が出ない場合オーバーヒートの可能性もあると覚えておきましょう。
注意点としてエアコンが効かない=オーバーヒートではありません。エアコンガスの不足によってもエアコンが効かなくなりますし、エアコンが効いているけどオーバーヒートすることもあります。
場合によってはエアコンが効かなくなるということを理解しておきましょう。
水温警告灯(赤)がついたり消えたりする
水温警告灯が点いたり消えたりする場合も、オーバーヒート気味である可能性が高くなります。水温警告灯が点いたり消えたりするということは車の状態によって多少水温に変化があると考えられます。
そのためオーバーヒートの温度に達したり、少し温度が下がることで点いたり消えたりするのでしょう。しかし水温が高くなりすぎていることには変わりありません。
センサーの故障でない限りオーバーヒートは時間の問題です。すぐに車を停め、エンジンを冷ましましょう。
いつもと違うなと感じたときは要注意
いつもと違うなと感じた場合オーバーヒート気味になっていることもあります。オーバーヒートは前兆が発生する場合と発生しない場合があります。
そのため前兆ばかりに捉われてしまうと発見が遅くなることも。自分の車を一番分かっているのは、いつも乗っている運転手です。
いつもより加速が遅いような気がする。いつもは鳴らない音がしている。このように感じたなら、一度車を停めて異常がないか確認しましょう。
オーバーヒートを防ぐには?原因と予防法

オーバーヒートの原因
オーバーヒートの原因は以下のようにさまざまです。
- 冷却水の漏れ
- ラジエーターの故障
- ウォーターポンプの故障
- ベルト切れ
- サーモスタットの故障
- 電動ファンの故障
しかしひとつだけいえることは、冷却水がうまく循環できなければオーバーヒートするということです。
そのためオーバーヒートをした場合、冷却水の動きを確認しましょう。見える部分は限られていますが、もしかするとラジエーターのサイドタンクが割れているかもしれません。
また、電動ファンが回っていない可能性も考えられます。冷却水の量の確認も大切です。
サブタンクに冷却水が入ってなければ、水漏れの可能性が考えられます。このように、オーバーヒートの原因はいくつかあるものの冷却水の流れをたどることで、ある程度原因を突き止めることができます。
オーバーヒートの予防法
オーバーヒートは以下のような基本的なメンテナンスで予防できます。
- 定期的な冷却水の交換、補充
- 水漏れの点検
- サーモスタットやラジエーターキャップなど消耗品の交換
しかし車いじりが趣味でもない限り、サーモスタットの交換など特殊な作業を自分で行うのは難しいでしょう。
冷却水の交換だけを見ても方法を間違うとオーバーヒートしてしまう可能性があります。そのため、自分で行える予防法としては定期的に冷却水の量を確認すること。
水漏れの点検や消耗品の交換は、ディーラーなどの整備工場でお願いすることをおすすめします。
オーバーヒートだけに限らずメンテナンス不足は事故のもと
車のメンテナンスは、オーバーヒートだけに限らずさまざまなトラブルを予防することができます。しかしメンテナンスをきちんとしなければ、事故を起こす可能性が高くなります。
タイヤのバーストやブレーキ制動力の低下など、メンテナンスをきちんとしていれば予防できた事故はたくさんあります。安全に走行するためにも車のメンテナンスは怠らずにしっかりと行いましょう。
オーバーヒートの修理費用
オーバーヒートの修理費用の相場はありません。どの部分が壊れているか、そして壊れ具合によって修理費用が変わります。
例えばラジエーターが割れ、割れた部分から水漏れをしていたのであればラジエーターの交換で走れる状態まで回復するかもしれません。
しかしオーバーヒートの原因がラジエーターであったとしても、エンジンのダメージがひどく、エンジンのヘッド交換など追加の修理を行うと修理費用はさらに高くなります。
また、オーバーヒートの症状がひどい場合、エンジンを載せ替えなければならないこともあります。エンジンを載せ替えると、車種によっては100万円以上の費用がかかることも。
修理費用の相場はなく、エンジンや周りの装置のダメージ具合によって修理費用は変わります。
修理できても後遺症が残ることも
例えば、修理時に水漏れが発生していなかった箇所でも、無事修理が終わり修理後の走行で水漏れが発生してしまう…といったケースも。
水漏れが発生してしまうとオーバーヒートは時間の問題です。再度、オーバーヒートとして整備工場へ持ち込まなければならない可能性もあります。
どんな症状なら後遺症が残るかといった細かな条件はないのですが、オーバーヒートの症状が深刻なのであれば車に後遺症が残る可能性は高いと考えておきましょう。
オーバーヒートはそれほどエンジンへのダメージが大きい故障だということです。
メンテナンスを忘れなければ、オーバーヒートは怖くない!

オーバーヒートはメンテナンスをきちんと行えばある程度予防できる故障の一つです。定期的な水漏れ点検や消耗品の交換、冷却水の量の確認など、ほかのメンテナンスと同じようにメンテナンスすれば問題ありません。
オーバーヒートを引き起こすと修理費用もかかります。安全に走行するためにもオーバーヒートをしない、させないように心がけていきましょう。
ラジエーターの交換は自分でできる?費用は?
冷却水でエンジンを冷やせない「空冷エンジン」は、オーバーヒートしないの?
オーバーヒートならぬ「オーバークール」って知ってる?冬場の燃費悪化の原因に
- 執筆者プロフィール
- MOBY編集部
- 新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...