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「対決」シリーズ~基本は変わらぬシンプル・イズ・ベスト?なスズキ今昔対決~「スズライト」と「スズライド」【推し車】
意欲的な新型車か、原点回帰か?特小コンセプト「スズライド」
「スズライト」発売から68年たった2023年、東京モーターショー改め「ジャパンモビリティショー」で発表されたコンセプトカーが、この「スズライド」。
一文字違いの車名と、タイヤが4つあることを除けば何も共通点はありませんが、ザックリ言ってしまえばクルマなんてタイヤが4つあって、走って曲がって止まりさえすれば、どれも大した違いはないものですから、細かいことを気にしても仕方ありません。
他にも共通点があるとすれば、スズライドにはエアコンもパワステもないことでしょうか…見た感じ、キャビンどころか屋根すらなく、2輪車のようなバーハンドルなので、付けようもないですが。
実は初代スズライト発売から68年経つ間、スズキでは大小の2輪車や、ミニカーからSUVまでの4輪車以外に、高齢者向けの電動車椅子を1974年から、より積極的に動き回る発展型とも言える「セニアカー」を1985年から販売しています。
2023年7月に最高速度は車道は20km/h、歩道は6km/hで16歳以上なら免許不要の新たな原付自転車規格、通称「特小」(特定小型原動機付自転車)が生まれた時、2輪や3輪ではなく4輪のコンセプトカーを作ったのは、スズキが長年セニアカーで積んだ経験から。
見るからにシンプル・イズ・ベストで、収納ボックスに腰掛けているようにしか見えない座席からは、「余計なものは一切不要!」という、スズキの強い意思を感じさせます。
スズキといえば現在の鈴木 俊宏 社長は、初代アルト開発時に社長だった父・鈴木 修 相談役を思わせる勢いで、新型車の開発現場に「余計なものは不要!」と檄を飛ばしているそうですが、スズライドほどそれを体現した「クルマ」もなさそうです。
それでいて、多少の段差などものともせず、アウトドアでも使っても乗り心地が良さそうな4輪独立懸架など、ツボはしっかり抑えているあたりにスズキらしさを感じます。
2024年時点でこのまま市販するような話は出ていませんが、仮に市販されたらこれが21世紀の「スズライト」と名乗り、初心に返ったことにしてもいいかもしれません。
今年で50歳になった筆者ですが、15年後や20年後に高齢者として1人でオデカケする時、「スズライド」ならセニアカーと違って年寄り臭くなくていいかな…と思います。
「これで出かけようかな?」と思わせる意味で、「スズライド」は間違いなく「スズライト」の末裔なのでしょう。
※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。
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- 執筆者プロフィール
- 兵藤 忠彦
- 1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...