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「アチャー!やっちまったな!」作りすぎて迷走も?1990年代レトロカーの火付け役となったスバル車たち【推し車】

飽きるほど出た1990年代レトロカーのキッカケはスバル

初代プレオ ネスタも1999年発売なので、ギリギリ1990年代レトロカーではある

1990年代、バブル崩壊後の日本がそろそろ「もしかして、もうダメかもしれない」と気づき始めた頃に「レトロカー」というちょっとしたブームがありました。

日産パイクカー軍団の影響、バブル時代に増えた、旧ミニのような輸入小型車の影響…というわけではなく、たまたま作った特装車をキッカケに、「ちょっとした部品交換で価値がだいぶ違う」事に気づいたメーカーが中心となり、軽自動車/小型車でよく作られたのです。

2000年代以降も、日産の「ボレロ」シリーズや光岡のカスタムカーなど一部は残りましたが、「また作ったのか、そろそろもういいよ!」と言いたくなるくらい多かったのはやはり1990年代で、今回はその火付け役となったスバルのレトロカーを紹介します。

サンバーディアスクラシック(1993年)

平成初期に生まれた、元祖レトロカー

筆者の手元の資料では1993年10月22日から開催された「第30回東京モーターショー」に12月発売の市販予定車として出展、前々回(1989年)に展示後、長崎のハウステンボスで採用された特装車を好評につき市販する事に…という事らしく。

1993年以前の出展は確認できなかったものの、実際1993年12月に発売されていますから、「東京モーターショー1993への出展で好評だったから」という説は、不正確なようです。

ただ、1992年3月開園のハウステンボスで使われて人気になり、市販されるや街のアチコチで見かけるようになったのは確かですから、このクルマが1990年代、あるいは平成レトロブームの火付け役と見て間違いありません。

ボディパネルや内装の一部を入れ替えるだけで「クラシックカーみたいでカワイイ」(あるいは「カッコイイ」)と言われるのですから、メーカーとしても純正カスタムモデルの作りがいがあったようですが、スバルは元祖だけあってどのモデルも気合が入っていました。

ヴィヴィオ ビストロ(1995年)

雰囲気を味わうクルマかと思っていたら、気がつくと普通にボンネットに穴開いたスーパーチャージャー車もラインナップされ、それはそれでカッコよくまとまっていた

いかに見栄えがいいとはいえ、サンバーディアスクラシックは基本的にユーザーが限られる軽1BOXワゴンでしたから、誰もが気軽に所有できる本格的な火付け役は、このヴィヴィオビストロだったかもしれません。

最初はSOHC自然吸気エンジンの5ドア車限定モデルでしたが、後に3ドアでフロントマスクが1950年代に試作で終わったスバル1500風の、「ビストロ・シフォン」を追加。

さらにSOHCスーパーチャージャーの5ドア車「ビストロ・スポーツ」、DOHCスーパーチャージャーの3ドア車「ビストロ・SS」が登場したあたりで、あれ?もしかして今のヴィヴィオってビストロの方が主力なのでは?と気づきました。

発売直後にはサファリラリーでも活躍した、本来スポーティで国際的な軽ハッチバックでしたが、ヘタするとビストロの記憶ばかり鮮烈で、「元のヴィヴィオってどんな顔だっけ?」と忘れている人がいるかもしれません。

大抵のレトロカーはベース車の添え物、派生車扱いですが、ビストロはベース車を完全に食うほどの大人気という、珍しいケースでした。

今もこういう顔つきのクルマが欲しい、なんで新車で出さないのか疑問に思う人もいますが、最近は衝突時の歩行者保護という縛りがあるからか、あまりフロント周りに余計な装飾や出っ張り、特に衝突する側へ向けたデザインはやりにくいようですね。

インプレッサ カサブランカ(1998年)

サンバーとヴィヴィオであれだけの傑作レトロカーを輩出したスバルが、なぜ…と絶句してしまったインプレッサ カサブランカ

ライバル各社が似たようなレトロカーを作り出し、中にはデザインを煮詰めきれていない、あるいはそもそもレトロカーとして似合わない車種も無理やり飾ったような急増車種も多く、スバルのレトロカーなら安心感は高い…と思っていたのですが。

初代インプレッサ スポーツワゴンをベースにした「カサブランカ」ばかりは、見た瞬間に「アチャー!スバルもついにやっちまったな!」と思いました。

そもそもWRXルックのC’zスポルト系が普通に人気だったはずですが、なぜインプレッサワゴンでレトロカーを作ろうと思ったのか…出来心か、若さゆえのあやまちかわかりませんが、街でたまに見かけると、なんとなく動揺というか、妙な胸騒ぎがしたものです。

当時のニュースリリースには「エレガントなデザインとスポーツワゴンとしての機能性を両立させた、存在感のある個性的なモデル」と書かれていましたが、確かにかなり個性的ではあります。

なお、1998年12月に5,000台限定で発売後、ほとんど見かける機会もないまま翌年9月に改めて「標準ラインナップ同様の一部改良を施し、継続して販売」とアナウンスされており、カタログモデル化というより、単に在庫がダブついていたのかもしれません。

レトロカー火付け役のスバルとはいえ、何台も作っていればこういうクルマも1台くらいは出てくる…というお話でした。

※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。

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執筆者プロフィール
兵藤 忠彦
兵藤 忠彦
1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...

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