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中身が日産車なのに、ベンツマークをつけて売られた車?海外メーカーから発売された日産車たち【推し車】
「日本車」といえば、クルマ好きでもなければ「日本で作るか輸出している国産車」のイメージが強いと思いますが、実際には「企画・設計・開発・生産全て海外で、日本車なのはブランドだけ」というクルマが多数あります。
そういうクルマが日本で輸入販売されている事もあれば、海外で独自に他メーカーへOEMに出されたり、別メーカーで販売するにあたって独自の進化を遂げていたりと、「日本の枠にとどまらなかった日本車」が多数ある状態です。
今回はそんな日本車生まれ他メーカー育ちのクルマから、日産車を紹介しましょう。
サーイパー ザムヤードZ24(1970年)
3代目ジュニアのイラン版
名前の割にはダットサントラックより大きいジュニアは、日本でフルキャブオーバーの小型トラックへ取って代わられた後も海外での需要は根強く、1983年で国内販売を打ち切った3代目ジュニアなど、生産設備を移転したイランでその後も作り続けられました。
生産を担当したのはイランの自動車メーカー、サーイパー傘下の商用車部門ザムヤードで、Z24の名で2010年代以降も生産を継続しており、商用からレジャー向けまで手広く使われています。
現在のイランは諸事情による世界各国からの経済制裁下にあるうえ、国内情勢悪化でイランへのインターネット接続が難しいのか、記事執筆時点ではZ24が今でもラインナップにあるのか確認できませんでした。
しかし、民生用新型車の開発が困難な同国の状況を考えると、、まだ生産継続していてもおかしくはありません。
ルノー パルス(2012年)
4代目K13マーチのインド製ルノーブランド版
先日ついにモデル廃止、在庫販売のみとなったK13型4代目マーチですが、タイで生産され、日本へ輸入されていた事はクルマ好きなら周知の事実です。
しかし、アジア・オセアニア向けマイクラ(マーチの海外名)はタイ製だけでなく、インドの日産・ルノー合弁工場でも生産されていて、ルノー版は「ルノー パルス」と名付けられ、マイクラともども新興国向け低価格車として販売されていました。
基本的には内外装に若干の違いがある程度で、エンジンは1.5Lディーゼル(日本のマーチには設定なし)、または1.2Lガソリンエンジンの5ドアハッチバック車のフロント先端に小さくルノーエンブレムを設けたシンプルなフロントグリル以外、マーチとあまり違いません。
販売不振が著しかったのは日本のK13マーチと同様だったらしく、ずっと早く見切りをつけたルノーは、2017年にインドでパルスの生産を終了、一代限りで廃止してしまいました。
メルセデス・ベンツ Xクラス(2018年)
11代目ダットサントラックにあたるD23型NP300ナバラのベンツ版
現時点では、メルセデス・ベンツ史上唯一のピックアップトラックで、インフィニティQ50(V37スカイライン)へのエンジン供給、2代目スマートフォーフォーをルノー トゥインゴ(3代目)姉妹車とするなど、関係の深かったルノー日産アライアンスが由来。
ダットサントラック海外版の末裔、NP300ナバラ(4代目D23型)をベースに、メルセデス・ベンツ流の内外装と一部エンジンも同社製を搭載、南米や南アフリカなど主要市場向けではなかったものの、「あのベンツがピックアップトラックを?!」と話題になりました。
ただ、販売戦略の変更、あるいはブランド戦略によるものか、2018年にスペインで始まった生産が2020年には早々に打ち切られてしまい、その後も復活や後継車を作るという話題は全く伝わってきません。
「結局は中身が日産車なのに、わざわざベンツのマークをつけて売るまでもなかったクルマ」といえばそれまでですが、あまりにも短く寂しい結末でした。
※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。
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- 執筆者プロフィール
- 兵藤 忠彦
- 1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...