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「本物と同じカタチ」がウケた!高級SUV・ハマーH2がブランドの主力車種となった理由【推し車】

H1は買えなくとも、H2なら自慢のタネにもできるハマー

ハマーH1の原型、軍用のハンヴィーのイメージを維持しつつ中身は一般的なSUVであるハマーH2だが、悪路走破性もアピール

アメ車好きな筆者の知人が、「知り合いがハマーを買ったって自慢してくるんだけど…」と、珍しく困惑した表情で話を切り出しました。

ほう、そいつはスゴイじゃないか。あのハマーだろ?と探り探り、合いの手を入れた筆者に知人は一言、「でもH3なんだよなー」…なんだいそりゃ、H3じゃただハマーっぽカタチをしたSUVじゃないか、せめてフルサイズのH2じゃないと自慢にならないぞ?!

「だよねー!俺もそう思ったんだよ!」まあH2も普通のSUVではありますが、ベース車からアレコレ強化されててH1ソックリのサイズ感と外観、それでいて車内は広く使いやすく、何より安いのでよく売れたハマーでした。

読者のみなさんが見かけた「ゴツくてデカいハマー」も、実はH2かも?!

最新「ハマーH2」中古車情報
本日の在庫数 181台
平均価格 350万円
支払総額 149~1,228万円

本物じゃなく、「本物のカタチ」が大事なのは日米共通

シボレー タホをベースにエンジンやプラットフォームサスペンションを強化し、箱型ボディの高級フルサイズSUVとしたのがハマーH2

日本でも1980年代後半〜1990年代前半あたりにピークを迎えた「クロカンブーム」。

セダンハッチバックを除く、乗用車としてはそれまで傍流だったジャンルが大人気になったRVブームを象徴する出来事でしたが、中でも最高の人気を誇ったのが三菱のパジェロで、ゴツゴツした外観へさらにグリルガードなどで着飾るオシャレマッチョでした。

ただ、バブル崩壊後の経済低迷が本格的に長期化の兆しを見せると評価は一変、「別にこんな本格的じゃなくたって、パリダカ(※)走るわけじゃないし…」というわけで、もっと安くて燃費良く、快適だけどカタチはそのままなクルマが求められたわけです。

(※「パリ~ダカールラリー」…現在のダカールラリーで、パジェロが砂漠の王者をして大いに名を上げた事により、大ヒットへつなげた)

それがトヨタ RAV4やホンダ CR-Vの初代モデルに始まる国産クロスオーバーSUV人気へつながり、現在に至るわけですが、実はアメリカでも事情は全く同じ。

軍用高機動車の「ハンヴィー」民生版として1992年に発売した「ハマー」はセレブのオモチャとしてはウケたものの、軍用フルスペックなんて一般向けには不要な装備のため非常に高価なうえ、快適性が素晴らしいわけでもありません。

「ハマーみたいなカタチでもっと安いのがいい!」というわけで、メーカーのAMゼネラルから「ハマー」ブランドを買い取ったGMが「外観はハマーのSUV」を開発、2002年に発売したのが「ハマーH2」でした(同時に従来のハマーは「ハマーH1」へ改名)。

顧客が欲しがったもの…カタチはハマーでも中身は高級SUV!

運転席と助手席間が巨大なトランスファーで隔てられたH1と異なり、ごく常識的なSUVのレイアウトとなったH2の車内©tannujannu/stock.adobe.com

H1と同様にAMゼネラルで生産されたハマーH2ですが、武装と追加装甲を施せばそのまま洗浄に行けそうなH1ほどではないとはいえ、ハマー風、つまり「ハンヴィー風」の外観を極力維持しつつ、中身は全くの別物でした。

具体的にはGMでシボレー タホ(2代目)などへ用いられていたフルサイズSUV用のGMT820をベースに、大型・大重量へ対応する強化を施したGMT825プラットフォームを採用、リアサスペンションなどもセッティングし直されたもの。

4.8~5.7リッター級V8のタホより強力な6リッターV8エンジンを搭載し、2008年には出力向上した新型の6.2リッターV8へと換装、H1のようにガラスごと垂直面構成ではなかったものの、箱型に見えるボディによって、ハマーのイメージを損なう事はありません。

悪路走破性は高いものの、価格上昇要因だったリダクションハブはなくなって低床化、快適性を大いに損なう巨大なトランスファーもなくなって、遠く離れていた運転席と助手席も常識的な距離になりました。

それでいて側面や背面はしっかり垂直に立ち、水平に長いルーフと相まった箱型ボディで車内は広く、豪華な高級SUVをH1よりはるかに安価で提供したのです。

なお、「カタチはハマー」の副産物として、クロカン車で重要なアプローチアングルやデパーチャーアングルといった「不整地でボディ前後や底部を障害物に叩きつけないよう配慮されたスペック」は維持され、悪路走破性もソコソコでした。

「ハマー」ブランドの主力車種となったH2

H2にはワゴンタイプのほか、SUT(スポーツユーティリティトラック)版も存在した

そうそうこれだよ、俺たちが欲しかったのはハンヴィーそのもののH1じゃなく、ハンヴィーのカタチをしたH2だったんだ…というわけで、人気とは裏腹に販売は低調だったH1に代わる主力車種に成長したH2のセールスは好調!

ハンヴィーの民生化には成功したとはいえ、乗用車に経験の浅いAMゼネラルを横目に「ウチならこうするのに」と思っていたであろうGMの「ハマー」ブランド買収とH2の開発は見事に成功します。

これに勢いを得たGMは、さらに小型化したベビーハマー「H3」を開発してさらにヒットさせるのですが、それはまた別のお話…。

※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。

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執筆者プロフィール
兵藤 忠彦
兵藤 忠彦
1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...

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