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ホモロゲーションモデルとは?意味と代表モデルから幻の288GTOモデルもご紹介
ホモロゲーションモデルとは?
ホモロゲーションモデルとは「市販車をベースとした車両が参戦するモータースポーツにおいて、その競技に参戦するために生産・販売された車のこと」です。
そもそも「ホモロゲーション」とは、英語で「承認」や「認証」を意味します。そこから転じて、自動車競技において「ホモロゲーション」はレースに出場する車両が受けなければならない認可のことを指します。
自動車レースには以下の2種類があります。
- そもそもレース専用に設計された車両が参戦するレース(例:F1世界選手権)
- 市販車を改造した車両が参戦するレース(例:世界ラリー選手権、世界ツーリングカー選手権)
このとき、市販車を改造した車両が参戦するレースの車両規則には「参戦する車両は年間○○台以上生産された車両でなければならない」という規則が含まれている場合があります。
この規則をクリアして認可を受けるために生産・販売された車が、いわゆるホモロゲーションです。ホモロゲーションモデルは実際に販売された車種のことを指すので、街で見かけた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
レース専用に設計された車両の例
ホモロゲーションモデルを作る理由その1
なぜ普通の市販車と区別した「ホモロゲーションモデル」をメーカーは生産・販売するのでしょうか。
その理由は、レースに少しでも有利な条件で出場できるようにするためです。例えば、レースではエンジンが酷使されることからエンジンの排熱処理が課題となる場合があり、これを解決する手段としてエンジン上部に穴を開けて排熱をうながす方法があります。
しかし、レースの車両規則で「外装部品をレース用に改造することを禁ずる」となっている場合はどうすれば良いのでしょうか。この場合は、市販車からレーシングカーに改造する過程でボンネットに勝手に穴を開けることはできません。
ボンネットに穴の開いていない一般的な市販車(三菱 ランサー)
レースで勝てる車両を作りたいけれど、ベースの市販車をむやみに改造できないとき、メーカーの担当者はこのような秘策を実行します。「市販車の段階からボンネットに穴を開けてしまおう!そうすれば『改造』には当たらない」
このような背景から、改造のベースとなるホモロゲーションモデルには、レースを目的とした特殊なパーツが装着されている場合が多いです。
特殊なパーツはボンネットに開けられた穴に限らず、特別に軽量化された部品や、全長・全幅を拡大するための部品、場合によってはエンジンの仕様変更など、その範囲は多岐にわたります。
またレースによって車両規則は異なるので、改造できる範囲も変動します。つまり自動車メーカーは参戦するレースを厳選したうえで、最適な仕様で販売できるホモロゲーションモデルを製作するのです。
ボンネットに穴が開いているホモロゲーションモデル(三菱 ランサーエボリューション)
ホモロゲーションモデルを作る理由その2
5,000台限定で生産されたトヨタ セリカGT-FOUR RC
普通の市販車と区別した「ホモロゲーションモデル」を生産・販売する理由はもう一つあります。それは、ホモロゲーションモデルは特殊なパーツを使用することで製造ことが高く、常時販売することが難しいからです。
また、ホモロゲーションモデルはレース仕様に近い見た目となっている場合も多いことから、万人に好かれるデザインとは言いづらいと思われます。
これらの理由から、自動車メーカーは常時販売するモデルとホモロゲーションモデルを区別して販売しています。そして、ホモロゲーションモデルの多くは○○台限定という形式で販売されます。
こうすることで常時販売される車種のコスト上昇が抑えられるほか、ホモロゲーションモデルにプレミア感が出るというメリットもあります。
代表的なホモロゲーションモデル
三菱 ランサーエボリューション
三菱 ランサーエボリューションは、普通の小型セダンである三菱 ランサーに、スポーツカー顔負けの高性能エンジンと四輪駆動システムが移植された、高性能スポーツセダンです。
スポーツカーとして設計された車体にスポーツエンジンが搭載されたのではなく、スポーツ性が比較的低いセダンをベースにして開発された点が特徴です。
この三菱 ランサーエボリューションは、世界ラリー選手権への参加資格を獲得するために開発されたホモロゲーションモデルです。1992年9月に2500台限定で販売され、実際に翌年の世界ラリー選手権に参戦し、好成績を収めました。
この後もランサーエボリューションは改良を施され続けながら販売され、結果的にランサーエボリューションⅩまでシリーズ化されました。
似たような経緯を持つ車種として、同じく世界ラリー選手権のホモロゲーション取得を目的に開発されたスバル インプレッサWRXシリーズが挙げられます。
ランエボに搭載されたミスファイアリングシステムとは?仕組みからデメリットまで解説!
スバル インプレッサWRX
ホンダ NSX-R GT
ホンダ NSX-R GTは、ホンダ NSX-Rをベースとして、専用のエアロパーツを装着し、2005年に販売されたホモロゲーションモデルです。
現在でも日本を中心として開催されている人気レースカテゴリー「スーパーGT」にホンダは参戦を継続し続けているのですが、このレースにも「市販車をベースとした車両のみ参加できる」というルールが存在しているため、外観の大幅な変更が許されていません。
そのためホンダ NSX-R GTは、通常のNSX-Rには装着されていない大型のエアロパーツや、ドライバー後方に搭載されているエンジンに空気を取り入れるエアインテークを装備した限定車として、5台限定で発売されTました。
このホンダ NSX-R GTの特筆すべき点は2つ存在します。通常のNSX-Rが1,200万円程度であるのに対してNSX-R GTは5,000万円という超高額な価格設定であった点と、これだけ価格差があったにも関わらずエンジンなどのメカニズムは何も変更されなかった点です。
この2点が意味することは、エアロパーツのみで4,000万円近い価格差が生まれているということです。この価格差については今でも評価が別れます。
ちなみに、上述した通りNSX-R GTは5台限定販売でしたが、実際に購入した人は1人、あるいは2人のみであったと言われています。
フェラーリ 288GTO
そして、数あるホモロゲーションモデルの中でも伝説的な存在となっている車が、1984年から1985年に販売されたフェラーリ 288GTOです。フェラーリ 288GTOは、世界ラリー選手権の車両規定である「グループB」のホモロゲーション取得を目的に誕生したホモロゲーションモデルです。
フェラーリ 288GTOはフェラーリ 308GTBをベースとして製作された車ですが、エンジンやエクステリアなどに大幅な改造が施され、モータースポーツでの活躍が期待されていました。
ところが、結果としてフェラーリ 288GTOが自動車レースで活躍することは叶いませんでした。理由は、グループBの廃止です。
世界ラリー選手権のトップカテゴリーとして位置付けられていたグループBでしたが、この車両規定は車両の改造範囲が広範囲に設定されていたことから、高性能すぎるマシンを制御しきれないドライバーが続出し、重大事故も頻発していました。
1985年から1986年には、グループB車両による事故によってドライバーや観客が相次いで死亡したことから、フェラーリ 288GTOが参戦する前にグループBによるラリーは行われなくなりました。
ホモロゲーションモデルとして誕生したにもかかわらず、実際にモータースポーツに参戦することはなかったことから、フェラーリ 288GTOは伝説のマシンとして今でも語り継がれています。
【自動車の歴史】フェラーリの歴史、ルーツと車種の特徴を知ろう!
ホモロゲーションモデルの魅力
日産 フェアレディZ TypeE
ホモロゲーションモデルの魅力は、エクステリアやメカニズムの特殊性にあります。
厳しい規則をクリアするために多くの個性的なホモロゲーションモデルが生まれることで、オーナーはまるでレースカーのような車種を所有できるワクワク感が味わえます。
みなさんも、レーシングカーを所有するようなロマンを味わえるホモロゲーションモデルを探してみてはいかがでしょうか。
※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点(2016年7月1日)のものです。
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- MOBY編集部
- 新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...